
持病が悪化した場合の労災認定は、因果関係の客観的証明が難しいですが、例外的に過労死ライン超えや深刻なハラスメントを示す客観的証拠があれば、認定される可能性もあります。まずは、証拠を揃えたうえで、専門家に相談することが重要です。
1 結論:業務による持病の悪化で、労災認定や慰謝料を獲得するのは「極めて困難」

元々、持病を患っている方について、業務が原因で持病が悪化したという場合、労災が認定される可能性は、率直に申し上げて難しいと言わざるを得ません。
持病がなにもなかったところに、業務が原因で発病したような場合には、労働災害であることは比較的容易に判断できます。
一方で、持病というその人がもともと持っていた要素を原因として発病した、と評価されると、業務との因果関係が明らかになりにくいという問題点があります。
2 【例外】労災認定されやすい持病の悪化事例とは?

⑴ 持病が急激に悪化した期間中に、過剰な長時間労働(過労死ライン超えなど)が行われていた客観的証拠がある場合
持病などの要素と、業務上の事由が、発病の原因として両方存在する場合、業務についても疾病を増悪させる原因となっていること、および、持病等よりも業務が相対的に有力な原因であることが認められれば、業務災害として労災認定を受けられる可能性があります。
例えば、持病が急激に悪化した期間中に、過剰な長時間労働(過労死ライン超えなど)が行われていた客観的証拠がある場合には、労災が認定される可能性があります。
過労死ラインとは、
- 発症前1ヶ月間に、おおむね100時間を超える時間外労働があった場合
- 発症前2〜6ヶ月間にわたって、月平均80時間を超える時間外労働があった場合
が認定の目安となります(上記の労働時間に該当しなくても、労働の負荷を総合的に判断して労災として認定されるケースもあります。)。
これらを裏付ける客観的資料としては、「タイムカード・出勤簿のコピー」「業務PCのログイン・ログオフ履歴」「メール送信のタイムスタンプ」「入退室管理システムのログデータ」「スマホのGPS位置情報履歴」などがあります。
⑵ 悪質なハラスメントを受けていた記録など、業務中の極度なストレスが証明できる場合
長時間労働だけでなく、職場での激しい精神的ストレス(パワハラ・セクハラ・著しい嫌がらせ等)によって、持病が急激に悪化した場合も、例外的に労災と認められる可能性があります。
精神的ストレスによる労災認定では、国が定める「心理的負荷による精神障害の認定基準」などに基づき、発生した出来事が強度のストレス(強い心理的負荷)であったかどうかが審査されます。
例えば、
- ひどい暴言や人格否定:「死ね」「辞めろ」「役立たず」といった精神的攻撃を執拗かつ継続的に受けた
- 身体的な暴力:上司や同僚から殴る・蹴るなどの暴行を受けた
- 性被害・重度なセクハラ:継続的に胸や腰を触られる、性的な言動や無理な関係を強要された
などがあります。
もっとも、これらのハラスメントは密室で行われやすく、内容によっては、会社側が「指導の範囲内だった」「本人の受け止め方の問題」と反論してくるケースも珍しくありません。
よって、「録音データ・動画」「メール・チャットツール(LINE等)の履歴」「精神科・心療内科のカルテや診断書」など、動かしがたい客観的証拠があることが望ましいです。
3 持病の悪化で労災申請を進める場合の手順とコツ

⑴ 療養の給付(治療費)は労災指定病院を経由し、休業補償などは労働基準監督署へ直接請求を行う
労災病院や労災保険指定医療機関では、労災による傷病の治療を無料で受けることができます。これを「療養給付」といいます。
療養給付については、受診した労災病院や労災保険指定医療機関を経由して請求を行います。
一方で、療養の給付以外の労災保険給付、例えば、休業補償などについては、労働基準監督署に対して請求を行います。請求書の様式は、ウェブサイトや労働基準監督署の窓口で入手することができます。
⑵ 請求書には、通常の労災以上に「業務の原因・発生状況・就労状況」を詳細に記載する必要がある
労災保険給付の請求書には、労災の原因・発生状況・就労状況などを記載する欄があります。
もちろん、通常の労災事故でも、これらの背景事情は詳しく書く必要があります。
もっとも、持病が悪化した労働災害のケースでは、労災であることを認めてもらうため、その記載内容がさらに重要な意味を持ちますので、非常に詳細に説明する必要があります。
⑶ 万が一不支給となった場合は、結果を知った日の翌日から3か月以内に「審査請求(不服申し立て)」が可能
労災認定を受けられなかった場合や、認定結果に不満がある場合には、審査請求を行うことができます。
審査請求を受理した審査官は、不支給処分が違法または不当であれば、処分を取り消して新たに処分を行います。
審査官の決定に不服がある場合や、審査請求をしてから3か月を経過しても審査官による決定が行われない場合などには、再審査請求を行うことができます。
また、審査請求に関する決定が行われた後は、管轄の裁判所に「取消訴訟」を提起して、不支給処分の取り消しを求めることができます。
持病の悪化が労災認定されずに納得できない場合は、不服申立ても選択肢の1つとなります。
4 当事務所のサポート方針

当事務所では、労働災害を多く取り扱っているチームの弁護士が、直接、ご依頼者様のお話を丁寧にお伺いし、また、ご依頼者様にわかりやすくご説明することを心がけています。
ご相談については、初回60分までご相談料は無料です。
2回目以降のご相談料は、30分まで5000円(税別)、以後30分まで5000円(税別)になります。
さらに、事案によっては、着手金無料でお受けしております。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、専門チームの弁護士は、各担当分野について知識・経験とも豊富で、大きな強みを持っています。まずは、一度お気軽にご相談ください。
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また、各分野について専門チームを設けており、専門チームの弁護士は、各担当分野について知識・経験とも豊富で、大きな強みを持っています。まずは、一度お気軽にご相談ください。
この記事を書いた弁護士:弁護士 赤木誠治
労働災害(労災)
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所所属、埼玉弁護士会所属の弁護士。平成30年に弁護士登録をおこない、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所に入所。事務所内においては交通事故とともに労災事故も担当している。両分野に共通する損害賠償論などを蓄積し、被害者が適切な損害賠償を受け取ることができるよう注力している。




