
会社からの厳しい通告を前に、「もうどうしようもない」と諦めてしまうのは、まだ早いかもしれません。
なぜなら、多くのケースでは、「弁明の機会」が与えられており、その機会をどう活かすかが、その後の展開を大きく左右する可能性があるからです。
もし今、あなたが会社から解雇や懲戒処分を示唆され、大きな不安を感じているとしたら、この記事が少しでもお力になれれば幸いです。
なぜ「弁明」があなたの未来に影響を与えるのか?

会社が従業員を解雇したり、重い懲戒処分を下したりするには、客観的に合理的な理由と、社会通念上相当と認められるだけの事情が求められます。
しかし、会社側の一方的な情報や誤解に基づいて、不本意な処分が下されるケースも少なくありません。
ここで大切になるのが、会社に対して自身の意見や状況を説明し、誤解を解き、あるいは処分が不当であることを主張する「弁明」のプロセスです。
弁明は、単なる言い訳ではありません。置かれた状況を正確に伝え、会社側の誤認を正し、そして何よりも、権利を守るための大切な機会です。
この弁明の機会を適切に活用することで、以下のような効果が期待できます。
解雇・懲戒処分の回避
弁明によって会社側の誤解が解消されたり、新たな事実が判明したりすることで、そもそも処分が必要ないと判断される可能性もあります。
処分の軽減
たとえ何らかの処分が避けられない場合でも、弁明によって情状酌量の余地が認められ、より軽い処分へと変更される可能性が高まります。
例えば、解雇が減給や出勤停止処分に変わるなど、キャリアへのダメージを最小限に抑えることができるかもしれません。
後の争いにおける有利な材料
万が一、不本意な処分が下され、それが不当であるとして法的な争いに発展した場合でも、弁明の機会で提出した内容や、弁明に対する会社の対応は、あなたの主張を裏付ける重要な資料となり得ます。
しかし、この弁明の機会を最大限に活かすためには、いくつかの注意点があります。感情的になったり、事実と異なることを述べたりすることは、かえって状況を難しくしてしまう可能性も秘めているからです。
弁明の難しさ、なぜ弁護士のサポートが有効か

「自分で何とかしたい」と考えるのは自然なことです。しかし、弁明を自己流で行うことには、いくつかの難しさがあります。
感情的な反論になりやすい
不当な処分だと感じていれば、感情的になるのは当然です。
しかし、感情的な反論のみですと、主張を効果的に伝える妨げになることがありますし、論理歴な反論をすることができないことにもなりかねませんので、注意が必要です。
事実関係の整理が難しい
混乱した状況の中で、何が起こったのかを客観的に整理し、論理的に説明するのは簡単なことではありません。曖昧な記憶に基づいて弁明すると、かえって信頼性を損ねることもあります。
証拠の重要性
ご自身の主張を裏付ける客観的な証拠がなければ、弁明は単なる言い分として受け止められてしまう可能性があります。どのような証拠が有効か、どのように集めれば良いかを知ることも大切です。
書面作成の難しさ
口頭での弁明だけでなく、弁明書として書面で提出する場合、その内容や構成が適切でなければ、主張が会社に伝わりにくくなります。
これらの難しさを乗り越え、弁明をより効果的なものにするために、法律の専門家である弁護士のサポートが有効である場合があります。
弁護士のサポート

解雇や懲戒処分をめぐる問題は、法的な知識が深く関わるデリケートな問題です。
このような状況で、弁護士はあなたの状況を客観的に分析し、最も効果的な弁明戦略を共に考えるパートナーとなることができます。
弁明書作成で提供する具体的なサポート
弁護士を介入させることで単なる言い訳ではなく、法的な反論をすることが期待できます。紛争解決の経験を活かし、状況をより良い方向へ導くためのサポートを提供します。
具体的には、以下のような点で弁護士のサポートが役立ちます。
事実関係の整理と法的視点での分析
何が実際に起こったのか、そしてその出来事が労働法上どのように評価されるのかを客観的に整理することが重要です。
会社側の法的な問題点や、こちらに有利となる事実関係を発見できることもあります。これにより、単なる言い訳ではなく、法的な根拠に基づいた、より説得力のある弁明が可能になります。
証拠収集のアドバイス
こちらの主張を裏付けるためには、客観的な証拠が欠かせません。
弁護士にご相談いただくことで、どのような証拠が有効か、どのようにそれらの証拠を集めれば良いかについて具体的なアドバイスが可能です。
例えば、メールの履歴、業務日報、会議の議事録、タイムカードの記録、同僚の証言など、状況によって必要な証拠を特定し、その収集方法を助言します。
会社とのやり取りにおけるサポート
弁護士が交渉の前面に立つことで、会社側も事態の深刻さを認識し、より真剣に弁明内容を検討する可能性が高まります。
また、感情的な対立を避け、冷静かつ建設的な話し合いを進めるためのサポートも可能です。
不当な処分への牽制
弁護士が関わっているという事実は、会社側にとって、もし不当な処分を行えば法的な争いに発展するリスクがあるという一つの牽制となり得ます。
これにより、会社側はより慎重に判断を下すようになり、不当な解雇や重すぎる懲戒処分を避ける方向に傾くことが期待できます。
精神的な負担の軽減
解雇や懲戒処分を巡る問題は、当事者にとって計り知れない精神的ストレスを伴います。
弁護士に相談することで、複雑な手続きや会社とのやり取りを一部任せることができ、精神的な負担から解放され、より冷静に状況と向き合うことができるかもしれません。
弁護士のサポートで「期待できる」こと

弁護士がサポートし、適切に弁明を行うことで、以下のような具体的な効果が期待できます。
解雇処分の回避またはより穏やかな形への変更
懲戒解雇は、その後の再就職にも大きな影響を与えます。弁護士のサポートにより、懲戒解雇が撤回されたり、あるいは懲戒解雇ではなく、比較的影響の少ない普通解雇として扱われたりすることで、キャリアへのダメージを最小限に抑えることが期待できます。
懲戒処分の内容の軽減
何らかの懲戒処分が避けられない状況であっても、弁護士の適切な弁明によって、より軽い処分へと変更される可能性が高まります。
例えば、諭旨解雇(退職勧奨に応じない場合に解雇される処分)が降格や減給に、あるいは出勤停止期間が短縮されるなど、生活への影響を軽減することが期待できます。
退職条件の改善
万が一、会社を退職せざるを得ない状況になったとしても、弁護士が交渉することで、退職金の増額や、退職理由の変更(自己都合退職ではなく会社都合退職とするなど)といった、より有利な条件での退職が実現する可能性も期待できます。
ハラスメントなど二次被害の防止
今回の問題の背景にハラスメント行為が存在する場合、弁護士が関与することで、会社に対し適切な対応を促し、さらなる被害の発生を防止する効果も期待できます。
まとめ

解雇や懲戒処分は、人生に深刻な影響を及ぼす可能性のある、非常に重い判断です。
弁護士に相談することは、決して特別なことではありません。
早期にご相談いただくことで、より多くの選択肢を検討し、最善の戦略を立てることが可能となります。まずはご相談ください。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。