
過去にアスベスト(石綿)を扱う仕事をしていた方が、息苦しさを感じて病院を受診し、「びまん性胸膜肥厚」と診断されるケースがあります。
聞き慣れない病名のため、仕事との関係に気づかないことも多いです。
しかし、びまん性胸膜肥厚は石綿関連疾患の一つであり、労災保険などの補償を受けられる可能性があります。
1 びまん性胸膜肥厚とは?アスベストとの関係

びまん性胸膜肥厚とは、肺を包む「胸膜」に慢性的な炎症が起き、胸膜が広い範囲で厚く硬くなってしまう病気です。肺が十分に膨らまなくなるため、息切れなどの呼吸機能の低下を引き起こします。
主な原因は石綿の粉じんを吸い込んだことであり、石綿にばく露してから数十年経って発症することも珍しくありません。
なお、同じく胸膜に生じる「胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)」は、それ自体では呼吸機能への影響が小さいことが多く、びまん性胸膜肥厚とは区別されます。
建設現場での吹付けや解体作業、石綿製品の製造工場、造船、配管・断熱作業などに従事していた方は、特に注意が必要です。
2 私は対象?労災として認められるための「3つの条件」

厚生労働省の認定基準では、びまん性胸膜肥厚が労災として認められるためには、主に次の3つの条件を満たす必要があります。
(1)石綿ばく露作業の期間
石綿にばく露する作業に、通算して3年以上従事していたこと
(2)胸膜肥厚の広がり
胸部CT画像で、肥厚が片側にのみある場合は側胸壁の2分の1以上、両側にある場合は側胸壁の4分の1以上に広がっていること
(3)著しい呼吸機能障害
肺機能検査の結果などから、著しい呼吸機能障害があると認められること
これらの条件は医学的な検査結果に基づいて判断されるため、「自分は当てはまらないかもしれない」と自己判断せず、専門家に相談することをおすすめします。
3 受けられる補償と必要な書類

労災と認められれば、治療費(療養補償給付)、休業中の収入の補償(休業補償給付)、亡くなられた場合のご遺族への補償(遺族補償給付)などを受けることができます。
さらに、建設現場や石綿工場で働いていた方は、一定の要件のもとで、国から給付金や賠償金を受け取れる可能性もあります。
また、労災保険の対象とならない方でも、石綿健康被害救済法に基づく救済給付を受けられる場合があります。
手続きを進めるにあたっては、主に以下のような資料が必要となります。
- 当時の勤務先や勤務期間がわかる「被保険者記録照会回答票」(日本年金機構が発行)
- 胸部CT画像やレントゲン写真
- 肺機能検査の結果・医師の診断書
これらの資料をもとに、石綿ばく露作業に従事していたこと、そしてそれが原因でびまん性胸膜肥厚を発症したことを立証していくことになります。
4 「当時の会社が倒産している」「資料がない」場合も弁護士へお任せを!

石綿を扱う仕事からすでに数十年が経過しているケースがほとんどであるため、当時の勤務先がすでに倒産・閉鎖していることも珍しくありません。
しかし、勤務先が倒産・閉鎖していても、労災保険の申請をすることは可能です。
ただし、労災保険の給付には時効があり、休業補償給付は2年、遺族補償給付は5年で請求できなくなりますので、早めの対応が大切です。
とはいえ、何十年も前の勤務記録を集めたり、医学的な要件を満たすことを立証したりするのは、ご自身だけでは非常に困難といえます。
当事務所の弁護士が、職歴の調査から労災申請、国や会社に対する請求まで、すべて代行いたします。ご自身やご家族が対象になるかご不安な方は、まずはお気軽にご相談ください。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、専門チームの弁護士は、各担当分野について知識・経験とも豊富で、大きな強みを持っています。まずは、一度お気軽にご相談ください。
この記事を書いた弁護士:弁護士 権田健一郎
労働災害(労災)
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所所属、埼玉弁護士会所属の弁護士。令和2年登録後、労災案件を中心に多数の損害賠償請求事件に対応。障害補償給付の申請、会社に対する安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求の示談交渉・訴訟等、多数の案件を解決してきた実績を有する。専門性の高い労災分野において日々知識の更新を行いながら、依頼者の気持ちに寄り添った迅速かつ丁寧な事件処理を心掛けている。




