入社時・退職時等の場面において、企業と従業員との間で、「秘密保持誓約書」の取り交わしをすることがあります。これは、(元)従業員による営業秘密の漏洩を防ぎ、企業の利益を保持するといった目的があり非常に重要であります。

本ページは、秘密保持誓約書の書き方等について、専門家が解説するページとなっております。

秘密保持誓約書とは?

業務上の情報の流出や不正利用を防ぐ目的で、企業と従業員との間で取り交わす書面を指します。

秘密保持誓約書の取り交わしをしなかった場合、下記リスクがあります。

・従業員が退職時に顧客情報や技術情報などの「営業秘密」を持ち出した場合、当該従業員に対して法的手段を取れない。

・管理している顧客情報が漏洩され不正利用された場合に、自社の情報管理に不備があったという理由から、顧客から損害賠償請求されてしまう。

秘密保持誓約書の記載内容について

以下では、秘密保持誓約書の記載内容について、項目ごとに具体例を上げながらご説明いたいます。

1 秘密保持義務の範囲に関する条項

「私は、在職中のみならず退職した後も、貴社業務の遂行に際して又は貴社業務に関連して知り得た以下の情報(以下、「秘密情報」という)について、貴社の承諾なく、他の事業者その他の第三者のために、開示、漏洩、もしくは使用しないことを誓約します。

(1)顧客の住所、氏名、連絡先等の情報

(2)貴社と顧客との取引内容、取引価格、取引履歴に関する情報

(3)貴社の製品又はサービスの企画、開発・設計過程、製造過程、製造原価、価格、ノウハウ等に関する情報

(4)以上のほか、貴社が特に秘密保持対象として指定した情報」に関する情報」

具体的にどの範囲の情報を秘密にしなければならない対象とするのか明確に記載する必要があります。

2 不必要な複製や社外への持出禁止に関する条項

「私は、業務上必要な場合を除き、秘密情報を複写又は複製せず、秘密情報を含む書類その他資料(外部記録媒体・複写物・複製物を含む)を社外へ持ち出したり、社外へ送信・送付したりしません。」

業務上必要でない秘密情報の複製や秘密情報を含む資料の社外への持出を禁止する項目となります。

3 会社未承認のソフトウェアのインストール・使用の禁止に関する条項

「私は、貴社の承諾なく、貴社が私に貸与・提供するパソコン等において、会社が承認するソフトウェア以外のソフトウェアをインストールしたり、使用したりしません。」

インターネットのウェブサイト上で入手できるソフトウェアの中には、外部からの不正アクセスを可能としたり、外部に情報を漏洩させるウイルスなどが含まれている可能性がありますので、情報漏洩の防止の観点から上記条項を加えることをオススメします。

4 競業避止義務に関する条項

「私は、貴社に入社し、その職務を遂行するに際し支障となる競業避止義務等の義務を一切負担していないことを確認いたします。」

上記条項は、会社の秘密情報の漏洩防止を目的とするものではなく、他社との紛争防止を目的としております。

5 秘密情報の廃棄に関する条項

「私が、貴社を退職する場合又は貴社から要求された場合には、その時点で私が管理・保持している秘密情報及び秘密情報を含む書類、電磁的記録媒体その他の記録媒体の一切について、貴社の指示に従い、貴社に返還し、又は廃棄・削除・消去いたします。」

退職する場合や企業から指示があった場合には、従業員が管理・保持していた秘密情報を廃棄することを内容としており、秘密情報の漏洩防止を目的としております。

6 誓約違反した場合の責任に関する条項

「私が、本誓約書に違反した場合には、貴社からの差止等の請求を受けることに一切異議はなく、かつ貴社が被った一切の損害を賠償いたします。」

本誓約書に違反し企業に損害を被った場合には、企業は(元)従業員に対して損害賠償請求をすることが可能ですが、従業員の自覚を促す告的で明記する場合もあります。

まとめ

以上、秘密保持誓約書の記載内容等についてご説明いたしました。

上記のような条項はあくまで一般的な内容ですので、業種内容によってはより詳細に条項を定める必要がある場合がございます。

秘密保持誓約書の内容についてお悩みの方は、ぜひ弁護士に相談することをお勧めします。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 安田 伸一朗

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