株主が一人の中小企業はともかく、複数の株主がいる中小企業、さらには上場する大企業では、株主の利害得喪から、株主総会の決議の内容が争われる場合もあります。このページでは、埼玉県で30年以上、中小企業を中心とする企業法務を扱ってきた法律事務所の弁護士が、株主総会に関する法的リスク(主に訴訟)について、ポイントを絞って分かりやすく解説します。

Q.株主総会決議が争われる場合の法的手段とは?

A.株主総会の決議に問題(「瑕疵」(カシ)ともいいます。)がある場合、会社法上、以下の3つの訴え(訴訟)が想定されております。

 ① 株主総会決議取消訴訟

 ② 株主総会決議無効確認訴訟

 ③ 株主総会決議不存在確認訴訟

Q.3つの訴訟の違いは何でしょうか?

A.①株主総会決議取消訴訟と②株主総会決議無効確認訴訟とは、株主総会は開催されたものの、一定の瑕疵が認められる場合(①)、重大な瑕疵が認められる場合(②)です。裁判所が、取消や無効を判決により宣言すると、株主総会の決議が取り消され、または無効となります。

一方、③株主総会決議不存在確認訴訟とは、そもそも株主総会が開かれていない場合や、決議がなされた形跡はあるが著しい瑕疵があり法律上決議があったとは評価できない場合をいいます。

Q.①株主総会決議取消訴訟が認められるのはどのような場合ですか?

A.招集の手続・決議の方法に、法令・定款違反があり、または著しく不公正なとき、決議の内容の定款違反があるとき、特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議がなされたとき、です。

例えば、

・取締役会設置会社の取締役会決議を経ずに株主総会を招集した場合

・定款の規定を無視して株主総会を招集した場合

・株主に招集通知漏れがあった場合

・招集の通知機関が法令に不足した場合

・株主や代理人以外のものが決議に加わった場合

・不当に株主の議決権行使を拒んだ場合

・議案修正動議を無視した場合

・説明義務違反がある場合

・定款に定めた員数を超えて取締役を選任した場合

・親会社が議決権行使により子会社に著しく不利な取引を内容とする契約を承認した場合

などです。

★決議の日から3ヵ月以内に訴えを提起しなければなりません。

Q.②株主総会決議無効確認訴訟が認められるのはどのような場合ですか?

A.決議の内容に法令違反がある場合です。

上述した取消(取消は、一旦有効に成立したことが後から取り消されることになります。)の場合とは異なり、決議の内容が法令に違反する場合には、無効(最初からなかったこと)となります。

例えば、

・欠格事由がある者を取締役に選任した場合

・剰余金分配額の会社法規制に反する剰余金処分をした場合

・株主平等原則に違反する場合

・株主の固有権を侵害する場合

です。

★原則、訴える場合の期間制限はありません。

Q.③株主総会決議不存在確認訴訟が認められるのはどのような場合ですか?

A.不存在ですから、例えば、株主総会の決議を行った実態がないにもかかわらず、後から株主総会議事録を作成したような場合です。

★原則、訴える場合の期間制限はありません。

会社法メモ

(株主総会等の決議の不存在又は無効の確認の訴え)
第八百三十条 株主総会若しくは種類株主総会又は創立総会若しくは種類創立総会(以下この節及び第九百三十七条第一項第一号トにおいて「株主総会等」という。)の決議については、決議が存在しないことの確認を、訴えをもって請求することができる。

2 株主総会等の決議については、決議の内容が法令に違反することを理由として、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができる。

(株主総会等の決議の取消しの訴え)
第八百三十一条 次の各号に掲げる場合には、株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより株主(当該決議が創立総会の決議である場合にあっては、設立時株主)又は取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。以下この項において同じ。)、監査役若しくは清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。

一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。
三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。

2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 時田 剛志

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