2023年7月20日、最高裁判所で注目すべき判決が言い渡されました。
定年後に、定年前と同じ会社で有期労働契約を締結した従業員が、正社員(定年前)の基本給と賞与に相違があるのは、労働契約法20条に反するとして差額の支払いを求めた裁判について、最高裁は、「正職員と嘱託職員である被上告人らとの間で基本給の金額が異なるという労働条件の相違について、各基本給の性質やこれを支給することとされた目的を十分に踏まえることなく、また、労使交渉に関する事情を適切に考慮しないまま、その一部が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるとした原審の判断には、同条の解釈適用を誤った違法がある」と述べ、名古屋高等裁判所に審理を差し戻すと判断しました。
詳細な分析は今後行われると考えられますが、人件費が上がっている現状ですので、しばしば行われる再雇用や嘱託職員の賃金については、どちらの判断であっても影響があります。
名古屋高等裁判所の差し戻し審での判断が注目されます。


■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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