長年にわたって粉じんの舞う現場で働いてきた方が、息切れや咳が続き、病院で「肺気腫」と診断されるケースは少なくありません。

肺気腫はたばこが原因の病気というイメージが強いため、「仕事とは関係ない」と諦めてしまう方も多くいらっしゃいます。

しかし、仕事で吸い込んだ粉じんが関係している場合には、労災保険や会社からの賠償を受けられる可能性があります。

1 肺気腫とは?仕事で吸い込んだ「粉じん」との関係

肺気腫とは、肺の奥にある肺胞の壁が壊れて、酸素を取り込む力が低下してしまう病気で、慢性気管支炎とあわせて「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」と呼ばれています。

主な原因は喫煙ですが、トンネル工事、鉱山、石材加工、鋳物、溶接など、粉じんにばく露する作業に長年従事していた方の場合、「じん肺」が進行する過程で、肺気腫のような変化や肺機能の低下が生じることがあります。

このような場合、肺気腫の症状がじん肺によるものとして労災保険の対象となる可能性があります。喫煙歴があるからといって、直ちに対象外となるわけではありません。

2 私は対象?労災として認められるための「3つのポイント」

粉じん作業に従事していた方の肺の病気が労災として認められるかどうかは、主に次の点が問題になります。

(1)粉じん作業への従事歴

じん肺法で定める粉じん作業に、どの会社で、どのくらいの期間従事していたかを明らかにすること

(2)じん肺管理区分の決定

じん肺健康診断の結果をもとに、都道府県労働局長から「じん肺管理区分」(管理1から管理4まで)の決定を受けること

(3)療養が必要な状態であること

管理4と決定された場合、または管理2・3であっても肺結核、続発性気管支炎、続発性気胸、原発性肺がんなどの合併症がある場合には、療養が必要なものとして労災保険の給付対象となります。

肺気腫そのものは合併症に含まれていないため、診断名が「肺気腫」「COPD」のままでは労災申請に結びつかないこともあります。肺機能検査の結果などから「じん肺による著しい肺機能障害」があるといえるかが重要なポイントになります。

3 受けられる補償と、必要な書類

労災と認められれば、治療費(療養補償給付)、仕事を休んだ間の収入の補償(休業補償給付)、亡くなられた場合のご遺族への補償(遺族補償給付)などを受けることができます。

また、会社が防じんマスクの支給や換気設備の設置などの粉じん対策を怠っていた場合には、労災保険とは別に、会社に対して慰謝料等の損害賠償を請求できる可能性があります。

手続きを進めるにあたっては、主に以下のような資料が必要となります。

•勤務先や勤務期間がわかる「被保険者記録照会回答票」(日本年金機構が発行)
•じん肺健康診断の結果やレントゲン写真
•じん肺管理区分決定通知書
•医師の診断書・肺機能検査の結果

これらの資料をもとに、粉じん作業に従事していたこと、そしてそれが原因で現在の症状が生じていることを立証していくことになります。

4 「喫煙歴がある」「会社が倒産している」場合も弁護士へお任せを!

会社に損害賠償を請求すると、会社側から「肺気腫の原因は喫煙だ」と反論され、賠償額の減額を主張されることがよくあります。医学的な資料に基づく的確な反論が必要です。

また、勤務先がすでに倒産・閉鎖していても、労災保険の申請をすることは可能です。

損害賠償請求には時効がありますが、じん肺の場合、原則として最終の管理区分決定を受けた時(亡くなられた場合は死亡時)から時効が進行します(最高裁平成6年2月22日判決)。退職から長い年月が経っていても、請求できる可能性は残されています。

とはいえ、何十年も前の勤務記録を集めたり、管理区分の申請や会社との交渉・訴訟を進めたりするのは、ご自身だけでは非常に困難といえます。

当事務所の弁護士が、職歴の調査から労災申請、会社に対する損害賠償請求まで、すべて代行いたします。息切れや咳が続き、粉じん作業に従事した経験がある方は、まずはお気軽にご相談ください。

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グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、専門チームの弁護士は、各担当分野について知識・経験とも豊富で、大きな強みを持っています。まずは、一度お気軽にご相談ください。

この記事を書いた弁護士:弁護士 権田健一郎

労働災害(労災)

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所所属、埼玉弁護士会所属の弁護士。令和2年登録後、労災案件を中心に多数の損害賠償請求事件に対応。障害補償給付の申請、会社に対する安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求の示談交渉・訴訟等、多数の案件を解決してきた実績を有する。専門性の高い労災分野において日々知識の更新を行いながら、依頼者の気持ちに寄り添った迅速かつ丁寧な事件処理を心掛けている。