金属加工用機械(ボール盤)で発生する労働災害について弁護士が解説

【金属加工用機械(ボール盤)】とは?

【金属加工用機械(ボール盤)】とは?

ボール盤とは、ドリルを回転させて材料(ワーク)に穴あけ加工を行う切削機械です。これに対し、主に円筒加工を行う旋盤と、平面や溝などの多様な形状を削り出すフライス盤があります。

旋盤は、材料を回転させ固定工具で削るもの、フライス盤は逆に工具を回転させ材料を削るものです。

それぞれ回転する対象が異なり、得意な加工形状も異なります。

ボール盤は、自動車・輸送用機器産業、航空宇宙・防衛産業、一般機械・産業機械製造業、金属加工・部品製造工場、建設・建築業界、木工・家具製造業、電子機器製造業、教育機関・研究機関など、様々な製造業の現場で用いられています。

【金属加工用機械(ボール盤)】で多発する事故類型

【金属加工用機械(ボール盤)】で多発する事故類型

1 巻き込まれ事故

回転しているドリルや主軸に、身体や衣服などの身につけている物が触れ、巻き込まれるもの。

  • 手袋、軍手
  • 衣服、袖、

2 飛来物による事故

  • 切りくず(キリコ)の飛散
  • ワーク(加工材)の飛散

3 接触・操作ミスによる事故

  • 工具交換時の接触:
  • 機械操作ミス

【金属加工用機械(ボール盤)】で発生する労働災害の現状

【金属加工用機械(ボール盤)】で発生する労働災害の現状
  • ボール盤での穴あけ作業中、ボール盤台上にある不要な物を、手袋(軍手)をした右手で取り除こうとした時、回転中のドリルに手袋が巻き込まれた。
  • 投入口から投入された鋼材が自動穴あけ加工をされて排出される機会の横にいた従業員が、鋼材がドリルマシンから自動排出された際に、ローラー台と鋼材の間に挟まれた。
  • 切りくずが飛散した際に、防護メガネをしていなかったために目に傷害を負った。
  • 工具交換時に電源やスイッチを切り忘れ、作動する工具により手に傷害を負った。

労働安全衛生法・民法715条(使用者責任)

労働安全衛生法・民法715条(使用者責任)

労働安全衛生法とは、労働基準法とともに、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする法律です(同法1条)。

使用者側において、労働安全衛生法違反と認定されうる事実が認められるような場合には、使用者側である会社に対し、安全配慮義務違反や不法行為に基づく損害賠償を請求することができる可能性があります。

また、業務時間中などに、他の従業員の過失により事故に巻き込まれてしまった場合には、その従業員とともに会社に対しても使用者責任(民法715条)に基づいて損害賠償を請求することができる可能性があります。

この請求権は、事故を起こしてしまった従業員に資力が無い(賠償金を支払う経済的な余力が無い)場合に、大変有効です。

労災認定された場合に受けられる給付

労災認定された場合に受けられる給付

療養補償給付

これは、いわゆる治療関係費用です。

診察、薬剤や治療材料の支給、処置・手術その他の治療、居宅における看護、病院等への入院や看護などの療養に必要な費用が給付されます。

療養した医療機関が労災保険指定医療機関の場合には、「療養補償給付たる療養の給付請求書」をその医療機関に提出すると、請求書が、医療機関から労働基準監督署長に提出されますので、療養費を支払う必要はなくなります。

療養した医療機関が労災保険指定医療機関でない場合には、一旦療養費を立て替えて支払うことになります。医療機関への支払いの後「療養補償給付たる療養の費用請求書」を、労働者から労働基準監督署長に提出し、その費用が労働者に支払われることになります。

休業補償給付

これは、給与の代わりになるものとイメージできます。

労働災害により休業した場合には、第4日目から休業補償給付が支給されます。

「休業補償給付支給請求書」という書類を、労働基準監督署長に提出することで給付が受けられるようになります。

障害補償給付

残念ながら、労災によって後遺障害が残ってしまった場合には、認定された等級に応じて、一定額の年金または一時金が支給されます。

遺族補償給付

不幸にして、労災によって労働者が死亡してしまった場合には、遺族の方へ、遺族補償年金が支給されます。

葬祭給付

葬祭料が支給されます。

傷病補償年金

休業補償給付を受けていた方が、療養開始後一定期間経過しても治癒せず、一定の障害状態にある場合に支給される給付です。

ただし、労基署長の職権によることになっています。

労災認定された場合に受けられる給付の例

労災認定された場合に受けられる給付の例

療養補償給付

これは、いわゆる治療関係費用です。

診察、薬剤や治療材料の支給、処置・手術その他の治療、居宅における看護、病院等への入院や看護などの療養に必要な費用が給付されます。

療養した医療機関が労災保険指定医療機関の場合には、「療養補償給付たる療養の給付請求書」をその医療機関に提出すると、請求書が、医療機関から労働基準監督署長に提出されますので、療養費を支払う必要はなくなります。

療養した医療機関が労災保険指定医療機関でない場合には、一旦療養費を立て替えて支払うことになります。医療機関への支払いの後「療養補償給付たる療養の費用請求書」を、労働者から労働基準監督署長に提出し、その費用が労働者に支払われることになります。

休業補償給付

これは、給与の代わりになるものとイメージできます。

労働災害により休業した場合には、第4日目から休業補償給付が支給されます。

「休業補償給付支給請求書」という書類を、労働基準監督署長に提出することで給付が受けられるようになります。

遺族補償給付

不幸にして、労災によって労働者が死亡してしまった場合には、遺族の方へ、遺族補償年金が支給されます。

会社に損害賠償請求する場合

会社に損害賠償請求する場合

労災給付は、労働者が仕事中に遭難した事故に対する一定の保障を提供しますが、必ずしも、その損害の全額が補填されるとは限りません。

また、事故が、企業や使用者の安全配慮義務違反によるものであった場合には、労災給付では補償されない損害が生じることがあります。

このように、企業や使用者に安全配慮義務違反が認められる場合、企業や使用者に対して民事訴訟を起こし、損害賠償を請求することが可能と考えられます。

弁護士介入のメリット

弁護士介入のメリット

①会社に対して代理人として交渉を行うことができる

弁護士は、社労士や司法書士と違い、被害者の代理人として交渉を行うことができます。

会社との交渉は在職中であっても退職された後であっても一般の方には負担が大きいと思いますし、法的な内容になると交渉の能力も必要になります。交渉の仕方によっては請求できる金額も変ってきます。

②労災申請のみならず、慰謝料を含めた損害の賠償請求まで可能

労基署に対する労災申請は最低限の補償でしかありません。これとは別に、逸失利益、慰謝料等の賠償請求が可能な場合があります。弁護士であれば、労働者の代理人として、労働審判、民事訴訟等の方法により使用者に対し損害賠償請求が可能です。

③労災保険の申請をサポート

労働災害事故によって、負傷してしまった場合、労災保険の給付が受けられます。

ところが、会社(事業主)が労災保険の申請を拒否することがあります。

しかし、会社の協力を得られなくても、労災保険の申請は可能です。

弁護士に相談・依頼することで、迅速な給付を受けることが可能となります。

④会社を訴えざるを得ない場合もあります。

不幸にして労災事故に遭ってしまい、労災からの給付だけでは損害の填補が不足する場合には、会社を訴えざるを得ない場合があります。

様々な検討点を経て賠償請求をしていくことになりますので、弁護士のサポートは必須と考えています。

賠償請求について、グリーンリーフ法律事務所ができること

賠償請求について、グリーンリーフ法律事務所ができること

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来、数多くの労災を含む賠償に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、賠償に精通した弁護士が数多く在籍し、また、労災専門チームも設置しています。

このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・労災専門チームの弁護士は、労災や賠償に関する法律相談を日々研究しておりますので、労災事件に関して、自信を持って対応できます。

なお、費用が気になる方は、上記HPもご参照ください。

最後に

最後に
ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦

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