確定拠出年金は財産分与の対象となる?その算出方法は?

離婚をする際には、財産分与を行うことが通常ですが、何が財産分与の対象となるかということや、その方法には注意が必要となります。

ここでは、確定拠出年金が財産分与の対象となるかどうか、財産分与の際にどのように計算するかについてご案内いたします。

確定拠出年金とは

確定拠出年金とは

前提として、確定拠出年金とは何を指すのでしょうか。

日本の年金制度は、建物に例えられることが多く2階建てや3階建てと言われています。

公的年金として加入が義務付けられている国民年金と厚生年金を1、2階部分と例えており、これに加えて国民年金基金や確定拠出年金などの任意で加入できる私的年金のことを3階部分に例えています。

こうした私的年金のうち、確定拠出年金は、拠出した掛金と運用益の合計額をもとに、将来の給付額を決める年金です。拠出額(掛金額)が確定しているため確定拠出年金と呼ばれています。確定拠出年金は、公的年金制度と異なり、加入者の資産運用の成果によって支給される年金額が変わるもので、加入者が財産を形成するという性質を有しております。

財産分与とは

財産分与とは

次に、そもそも財産分与とはどういうものなのかについてご案内します。

財産分与は、一言でいえば離婚をする際に財産を分け合う制度です。夫婦が共同生活を送る中で、双方の協力により財産が築かれますが、これらを公平に分け合うということが基本となっている制度です。

なお、離婚後の一方の生活保障や、離婚原因を作ったことへの損害賠償請求の性質がある財産分与もあります。

このように、財産分与は基本的には、夫婦が共同生活を送る中で築いた財産を分け合う制度ですから、基本的には、婚姻時から別居時(離婚まで同居している場合は離婚時)の財産を分け合うこととなります。

確定拠出年金の財産分与

財産分与の対象となるか

財産分与の対象となるか

このように、確定拠出年金は財産の形成という側面があり、財産分与は夫婦間で共同生活を送る中で築いた財産を分け合う制度ですから、基本的には確定拠出年金は財産分与の対象となります。

もっとも、財産分与の対象となるのは、原則として婚姻期間中に形成したものについてのみですので、この範囲外のものは財産分与の対象とならないのが通常です。

確定拠出年金の額が確定している場合

確定拠出年金の額が確定している場合

確定拠出年金の金額が確定している場合、たとえばすでに受給されている場合であったり、実際に受給はしていないけれども、満期まで支払いが終わっており、今後掛金をかけることがなく、受給金額が分かっている場合などは、比較的容易に財産分与の額を求めることができます。

この場合、確定している金額×(同居期間/掛金をかけた期間)で求めることができます。

例として、確定している受給金額が1000万円であり、掛け金をかけている年数が40年で同居期間が10年であるとすると、1000万円×10/40=250万円が財産分与の対象となります。

財産分与は基本的に2分の1ずつ財産を分け合うものですから、実際に受給した人や受給予定の人が分与する財産は、この例だと125万円となります。

確定拠出年金の額が確定していない場合

確定拠出年金の額が確定していない場合

確定拠出年金を掛けている途中などで受給額が確定していない場合には、財産分与の額を算出する明確な基準や運用があるわけではなく、評価が難しいところです。

これは、確定拠出年金が運用益によって受給額が変わるという性質をもっていることから、画一的な金額を算出することができないことによります。

確定拠出年金の金額が確定していない場合には、確定拠出年金の積立期間までの期間、現時点で積み立てている金額などの事情から、現時点で受給できる蓋然性の高い額を算出して財産分与の金額を設定することが多いと思われます。

もっとも、満期が迫っている場合に比べて、まだ積み立てを始めたばかりで受給額の確定がかなり先になりそうな場合などには、評価額の算出が困難であるため、財産分与の対象としないという運用を行うことも考えられます。

まとめ

まとめ

ここまで、確定拠出年金が財産分与の対象となるかどうか、財産分の方法についてご案内いたしました。

財産分与は、離婚の際に問題となるものですが、離婚をする際には確定拠出年金の財産分与以外にも財産分与で問題となるところが多いのが実情ですし、財産分与以外にも例えば親権であったり、他に解決すべき問題があることが多いです。

離婚の際の問題解決をするときには、専門的な判断を伴うことがあり、専門的な判断に基づかないと不利な条件で離婚が成立することもあり得ます。

そうした状況を防ぐためにも、離婚をめぐる問題でお悩みの場合には、ぜひ一度弁護士に相談していただけますと幸いです。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 遠藤 吏恭

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