業務外の災害・疾病により給与を得られなくなった場合、傷病手当金を申請することができます。
今回は、この「傷病手当金」について、会社が申請を嫌がるという巷説にも触れながら、さいたま市大宮区で30年以上の歴史を持ち、「労災専門チーム」を擁する弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が解説を行います。

 「傷病手当金」とは

 傷病手当金とは

傷病手当金とは、業務外の災害・疾病等により療養が必要となり、労務提供ができなくなった時に支給される金員のことを言います。

(傷病手当金)
第九十九条 被保険者(任意継続被保険者を除く。第百二条第一項において同じ。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。
2 傷病手当金の額は、一日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した十二月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る。以下この項において同じ。)を平均した額の三十分の一に相当する額(その額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)の三分の二に相当する金額(その金額に、五十銭未満の端数があるときは、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げるものとする。)とする。ただし、同日の属する月以前の直近の継続した期間において標準報酬月額が定められている月が十二月に満たない場合にあっては、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額の三分の二に相当する金額(その金額に、五十銭未満の端数があるときは、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げるものとする。)とする。
一 傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の三十分の一に相当する額(その額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)
二 傷病手当金の支給を始める日の属する年度の前年度の九月三十日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額の三十分の一に相当する額(その額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)
3 前項に規定するもののほか、傷病手当金の額の算定に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。
4 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して一年六月間とする。

支給要件

傷病手当金の支給要件は、次の通りです。
①業務中の病気やケガによる療養により、労務不能であること。
②労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過して労務を休んでいること
③給与の支給が無いこと

どんな場合に「傷病手当金」が支給されるの?

厚生労働省がHPで公表している、協会けんぽにおける傷病⼿当⾦の疾病別構成割合(令和元年度・⽀給件数ベース)によれば、原因は、
精神および行動の障害   31.30%
新生物(がん)      18.63%
筋骨格系の結合組織の疾患 10.89%
循環器系の疾患      10.05%
などとなっています。

「労災保険」の「休業補償給付」とは違うの?

休業補償給付とは

労災保険から支給される、給与の代わりになるものとイメージできます。
労働災害により休業した場合には、第4日目から休業補償給付が支給されます。
「休業補償給付支給請求書」という書類を、労働基準監督署長に提出することで給付が受けられるようになります。

 傷病手当金との違い

上記の通り、「労災保険」から支給されるのが休業補償給付ですので、休業・療養の理由が、業務上の災害・疾病であれば労災保険の休業補償給付、業務上の災害・疾病でなければ傷病手当金ということになります。

 「傷病手当金」の申請を会社が嫌がることはあるの?

 傷病手当金の申請書式

傷病手当金支給申請書は、加入者(被保険者)が記入する欄・事業主が証明する欄・療養担当者(医師)の意見を記入する欄で構成されています。
従って、傷病手当金の支給を申請し、傷病手当金の受給を受けるためには、事業主に記載した貰うことが必要になります。

会社は申請に協力しないのか?

当事務所で取り扱った事例では、傷病手当金の申請をするに際して、事業主の協力を得られなかったというものはありません。
しかし、労災の場合には、労使関係の悪さなどから使用者が労災申請に協力してくれなかった、という相談を受けたことがあります。
従いまして、労使関係の悪さが、申請への協力拒否という形で現れることがないとは言えないものと考えられます。
また、会社が健康保険料について事実と異なった数字を申告しているなどの場合にも、申請への協力拒否が考えられます。

 傷病手当金とグリーンリーフ法律事務所

 弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの交通事故・労災を含む事故賠償に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、事故賠償に精通した弁護士が数多く在籍し、また、交通事故・労災専門チームも設置しています。
傷病手当金が最も俎上に上るのは、業務外の交通事故の場合です。
当事務所の交通事故専門チームの弁護士は、傷病手当金が関係する交通事故事件を、数多く取り扱っています。
このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・交通事故、労災専門チームの弁護士は、交通事故、労災や事故賠償に関する法律相談を日々研究しておりますので、交通事故、労災事件に関して、自信を持って対応できます。
https://www.g-rosai.jp/bengoshihiyo/
なお、費用が気になる方は、上記HPもご参照ください。

最後に

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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