離婚時に決められた養育費は、支払う義務を負う側(義務者)と支払いを受ける側(権利者)が合意で定めたとしても、その後事情に変更を生じたときは元の合意を変えることがありえます。そのような事情の変更とは、具体的にどのような場合なのか、事例などを踏まえ説明します。

養育費の増額・減額をもたらす「事情の変更」とは?

養育費について

親は子に対し扶養義務を負っており、この扶養義務はたとえその親が離婚をしたとしても変わりありません。離婚により子を監護する立場となった側(監護親)は、非監護親に対し養育費の支払いを求めることができます。通常は離婚時に親権者を決め、その親権者が監護親となることが多く、非監護親が監護親にいくらの養育費をどのように支払うかということを決めておくのが一般的でしょう。

事情の変更について

事情の変更とは

養育費を一度決めたといっても、監護親と非監護親、そして子に関する事情が未来永劫変わらないという保証はありません。養育費を見直すべき事情の変更があった場合には、養育費の増減をすべく、協議又は調停で話し合うことが考えられ、話し合いによっても決まらない場合には審判で決めてもらうことになります。

そして、ここにいう「事情の変更」というのは、具体的には①従前決まった養育費について、その前提となっていた客観的事情に変更が生じたこと、②その事情変更が従前の決定の際には当事者に予見できなかったこと、③事情変更が当事者の責めに帰すべからざる事由によるものであること、④決まっている養育費のとおり履行を強制することが著しく公平に反する場合であること、と考えられています。

養育費の減額のための事情変更があるとされた具体例

例1)養育費の支払義務者が再婚し、再婚相手の子と養子縁組するなどして、新たに扶養義務を負う存在ができた場合
このような再婚や養子縁組が、養育費の合意あるいは審判で定められた時点で予見されないような事態であった場合、事情の変更があったとして養育費の減額が認められる可能性があります。

例2)養育費支払義務者の収入の大幅な減少
合意時・審判時に予想できなかったような収入の大幅な減少、例えば勤務を続けられなくなったとか、やっていた事業が倒産した場合などは、養育費の減額を認めるべき事情の変更となる可能性があります。
ただし、収入の減額といっても、給与所得者であれば時間外労働など、実際には各種の手当などが減ったとしても一定程度の変動は見込まれていると考えられるため、改めて計算をすれば分担額が大幅に減るであろうといえるような差異が生じるということが必要といえます。
法律上どの程度の変動があればよいかということは明記されていませんが、収入が2~3割減少した場合でも養育費を減額するための事情変更としては認められなかった事例もあります。

例3)子の監護をする者(権利者)の収入が増加した場合
子を監護する権利者の収入が、合意時・審判時当時よりも増加すれば、分担額算定の前提事実に変更が生じているといえるので、事情変更として分担額減額の理由となる場合があります。
ただし、こちらも「その増加が義務者と権利者の公平を害する程度に至っているほどの大幅なものである」という必要があると考えられます。

養育費の増額のための事情変更があるとされた具体例

例)子が成長した場合
子の高校進学については、いまや当たり前となっていることで予想可能性があるので、高校進学に近い段階、たとえば子が中学生であった時点で養育費を決めていたという場合には、事情変更となる余地は大きくないと考えられます。
これに対して養育費を「20歳になるまで支払う」と決めたものの、子が大学に進学することになった場合に、終期を延ばしたり、養育費の額を増額するよう求める場合もあるでしょう。こちらも、大学進学が明確でない時期に養育費を決めていたということであれば、事情の変更があるとして増額が認められる場合もあります。

算定表が改訂されたことについて

現在裁判所で広く参考にされている「標準算定方式・算定表」は平成30年度に見直しがされたものであり、実際には現在使われている算定表ができる前に養育費の合意がなされているケースも多いかもしれません。
しかし、算定表改訂自体は、「事情変更には該当しない」とするのが当該算定表の作成者の意図として明確にされています。したがって、旧算定表により定められた事情を、現在の算定表で見ればより高額な養育費となっていたであろうという場合でも、増額請求は認められないということになります。

養育費についてのお悩みについて

「養育費を定める調停の具体的な手続を知りたい、弁護士に依頼したい」という場合はもちろんのこと、「離婚をすべきかどうかも、養育費としてどの程度貰えるか検討してからにしたい」という方も、具体的な事情(父母の収入、子の年齢、健康状態、就学状況等)を基に、一度弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか?

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 相川 一ゑ
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