【この記事のポイント】
埼玉県内の物流倉庫や配送センター、運送会社で、仕事中にケガをした――。正社員・パート・派遣といった働き方にかかわらず、仕事中のケガは労災の対象です。労災の申請先は、原則として勤務先の事業場を管轄する労働基準監督署で、埼玉県内には8か所あります。会社の安全対策に問題があった事故では、労災とは別に、会社への損害賠償を請求できる場合があります。本記事では、埼玉の物流現場で起きやすい労災、県内の労働基準監督署の管轄、会社の責任を問える場合、そしてJR大宮駅近くの当事務所へのご相談方法をまとめました。

1. 首都圏の物流を支える埼玉で働く方へ

埼玉県は、圏央道、東京外環、東北道、関越道などが通り、首都圏向けの倉庫や配送センターが多く集まる地域です。トラックドライバーのほか、倉庫内での仕分けやピッキング、フォークリフトの運転を担う方など、多くの方が物流の現場で働いています。

物流の現場は、重い荷物の取扱い、フォークリフトやトラックの出入り、時間に追われる作業が重なり、事故が起きやすい環境でもあります。ケガをしたときに、どこに相談し、どのような補償を受けられるのかを知っておくことが大切です。

埼玉県内の物流拠点は、さいたま市周辺だけでなく、県の東部、西部、北部にも広がっています。勤務先がどこにあるかによって、労災の申請先となる労働基準監督署も変わります。

2. 埼玉の物流現場で起きやすい労災

物流の現場では、次のような事故が起きやすくなります。

事故の種類よくある場面関連する解説
トラックの荷台からの転落荷積み・荷下ろし、シート掛けコラム「トラックの荷台から転落したら」
業務中の交通事故配送、拠点間の移動コラム「配送中・運転中の交通事故は労災?自賠責?」
フォークリフトとの接触・挟まれ倉庫内の荷役、トラックへの積み込み挟まれ事故・巻き込まれ事故、ひかれた・衝突事故
カゴ車(ロールボックスパレット)の転倒・挟まれ店舗配送、テールゲートリフターでの積み下ろしコラム「トラックの荷台から転落したら」
転倒濡れた床、段差、暗い通路転倒事故
腰痛手積み・手下ろし、重い荷物の仕分けコラム「荷役作業や長時間運転による腰痛は労災になる?」
過労による脳・心臓疾患長時間の運行、深夜・早朝の勤務コラム「トラック運転手の脳梗塞・心筋梗塞は労災になるか」

夏場の倉庫内や荷台での作業中に発症した熱中症も、労災の対象になり得ます。2025年6月からは、暑さ指数(WBGT)28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行われる見込みの作業について、熱中症の重症化を防ぐための体制の整備、対応手順の作成、関係者への周知が、事業者に義務付けられています。

体調に異変を感じたら、無理をせずにすぐ作業を中断して、周りの人や責任者に伝えてください。熱中症で救急搬送された場合や、休業が必要になった場合も、労災の請求を検討しましょう。

3. 働き方にかかわらず、労災の対象です

物流の現場では、正社員だけでなく、パート・アルバイト、派遣、外国人の方など、さまざまな働き方の方が働いています。雇われて働いている方であれば、いずれも労災の対象です(当サイトの「パートやアルバイトでも労働災害は認められますか?」もご覧ください)。

派遣の方は、派遣先の倉庫での事故でも、派遣元の労災保険を使います。軽貨物などの委託ドライバーは原則として対象外ですが、特別加入している場合や、働き方の実態から労働者と判断される場合は対象になります(「私は業務委託の形で仕事をしていて怪我をしてしまいましたが、労災保険は使用できないのでしょうか?」もご覧ください)。

1日だけの短期アルバイトや日雇いでも、雇われて働いている以上は労災の対象です。外国人の方も、国籍や在留資格にかかわらず、労災の給付を受けられます。

4. 埼玉県内の労働基準監督署と管轄

労災の請求書は、原則として勤務先の事業場を管轄する労働基準監督署に提出します。住んでいる場所ではなく、働いている場所で決まる点に注意してください。

労働基準監督署管轄区域
さいたまさいたま市(岩槻区を除く)、鴻巣市(旧川里町を除く)、上尾市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、桶川市、北本市、伊奈町
川口川口市、蕨市、戸田市
熊谷熊谷市、深谷市、本庄市、寄居町、神川町、上里町、美里町
川越川越市、東松山市、富士見市、ふじみ野市、坂戸市、鶴ヶ島市、小川町、嵐山町、越生町、川島町、吉見町、毛呂山町、鳩山町、滑川町、ときがわ町、東秩父村
春日部春日部市、さいたま市岩槻区、久喜市、草加市、越谷市、三郷市、八潮市、蓮田市、幸手市、吉川市、白岡市、宮代町、杉戸町、松伏町
所沢所沢市、飯能市、狭山市、入間市、日高市、三芳町
行田行田市、加須市、羽生市、鴻巣市のうち旧川里町
秩父秩父市、皆野町、長瀞町、小鹿野町、横瀬町

物流拠点の多い地域でいえば、三郷市・八潮市・草加市・久喜市は春日部、戸田市は川口、狭山市・入間市・日高市・三芳町は所沢、加須市・羽生市は行田、川越市・坂戸市・鶴ヶ島市・川島町は川越の労働基準監督署が管轄しています。各監督署の所在地と電話番号は、厚生労働省の「労働基準監督署管轄一覧(埼玉)」で確認できます。

【注意】申請先は「住所」ではなく「勤務先」で決まる
労災の申請先は、お住まいの地域ではなく、勤務先の事業場を管轄する労働基準監督署です。例えば、さいたま市にお住まいで、三郷市の倉庫で働いている場合は、春日部の労働基準監督署が申請先になります。派遣で働いている方は、派遣先ではなく派遣元の労災保険を使う点にも注意が必要です。

5. ケガをしたときの手続きの流れ

  1. 病院で「仕事中のケガです」と伝える:労災指定の医療機関であれば、窓口での支払いなしで治療を受けられます。健康保険は使いません。
  2. 会社に報告する:派遣の方は、派遣元と派遣先の両方に報告しましょう。
  3. 請求書を労働基準監督署に提出する:勤務先の事業場を管轄する監督署が提出先です。会社が証明を拒んでも、請求はできます。
  4. 監督署の調査を受ける:監督署が事故の状況を確認し、支給か不支給かを決定します。
  5. 後遺障害や会社への請求を検討する:症状が残った場合は後遺障害の等級認定を受け、会社に責任がある事故では損害賠償を検討します。

6. 労災だけでは補償が足りないときは、会社への請求を

会社には、働く人が生命や身体の安全を確保しながら働けるよう、必要な配慮をする義務(安全配慮義務)があります。労災保険からは慰謝料が支給されず、休業中の補償も給料のおよそ8割です。事故の原因が会社の安全対策の不備にあれば、会社に損害賠償を請求できます(当サイトの「労災で会社への損害賠償請求をお考えの方へ」もご覧ください)。

倉庫や物流センターでは、例えば次のような事情が、会社の責任を問う材料になります。

  • フォークリフトの通る場所と、歩行者の通路が分けられていなかった
  • 必要な資格や教育のない人に、フォークリフトやテールゲートリフターを操作させていた
  • 人手不足で、一人では無理な量の荷物を短時間で扱わせていた

フォークリフトの運転には、最大荷重1トン以上のものは技能講習の修了が、1トン未満のものでも特別教育が必要とされています。資格や教育のない人に運転させていたことは、会社の責任を示す重要な事情になります。

派遣先や荷主、元請会社の設備や指示が原因の場合は、その会社に責任を問えることもあります。

7. 事故の後に準備しておきたい資料

  • 事故の日時、場所、状況のメモ(倉庫内のどこで、どの作業中だったか)
  • 事故現場の写真(通路、床の状態、フォークリフトの動線、照明など)
  • 雇用契約書や派遣の契約書、給与明細(雇い主や働き方を確認するため)
  • 受診した病院の診断書や領収書
  • 事故を見ていた同僚の名前と連絡先
  • 会社や派遣元に事故を報告したときの記録(日時、相手、内容)

倉庫や配送センターでは、事故の後に、レイアウトや設備がすぐに変えられることがあります。現場の状況は、できるだけ早く記録しておきましょう。

8. グリーンリーフ法律事務所にご相談ください

当事務所は、JR大宮駅から徒歩5分の場所にあります。大宮駅は新幹線や在来線が集まるターミナル駅で、県内の各地からお越しいただけます。埼玉を中心に全国のご相談に対応しており、労災専門チームの弁護士が、すべてのご相談に対応します。

運送・貨物の現場での解決事例は、当サイトの「運送・貨物」の事例一覧をご覧ください。入院中などで来所が難しい方は、電話、LINEビデオ通話、Zoomでのご相談も可能です。

ご相談では、ケガの状況や会社とのやり取りを伺い、労災の申請、後遺障害の等級認定、会社への損害賠償請求までの見通しをご説明します。

9. よくあるご質問

Q. 勤務先は東京ですが、住まいは埼玉です。相談できますか?

A. ご相談いただけます。当事務所は埼玉を中心に全国に対応しています。なお、労災の申請先は、勤務先の事業場を管轄する監督署になります。

Q. 倉庫で働く派遣スタッフです。派遣先でのケガも労災になりますか?

A. なります。派遣元の労災保険を使います。事故の原因によっては、派遣先にも責任を問える場合があります。

Q. 別の会社の人が運転するフォークリフトにぶつけられました。

A. 労災の対象になります。他社の人が原因の事故は「第三者行為災害」として扱われ、労災とは別に、その会社や運転していた人に損害賠償を請求できる場合があります。

Q. 倉庫への通勤途中で事故に遭いました。

A. 通勤中の事故は「通勤災害」として、労災の対象になります(当サイトの「通勤災害と認定されるのはどのような場合ですか」をご覧ください)。

Q. 労働基準監督署に相談する前に、弁護士に相談してもいいですか?

A. もちろんです。労災の申請の進め方や、会社に責任を問えるかどうかを早めに確認しておくことで、必要な証拠を集めやすくなります。

10. まとめ――埼玉の物流現場でケガをしたら、早めのご相談を

埼玉県内の倉庫や運送会社での仕事中のケガは、働き方にかかわらず労災の対象です。申請先は、勤務先の事業場を管轄する労働基準監督署で、県内には8か所あります。会社の安全対策に問題があった事故では、労災とは別に、会社への損害賠償を請求できる場合があります。

事故の後は、現場の状況や会社とのやり取りを早めに記録し、一人で抱え込まずにご相談ください。埼玉での労災のご相談は、グリーンリーフ法律事務所へお寄せください。

グリーンリーフ法律事務所からのメッセージ
私たちは、開所以来35年以上、地域の皆様の法律問題に一貫して寄り添って参りました。仕事中の事故やケガ、病気でお困りの方とそのご家族が、適正な補償を受けられるよう、法的な専門知識と経験を活かして全面的にサポートいたします。あなたの不安を解消し、前を向くきっかけ作りをお手伝いさせてください。お客様満足度は92.9%となっており、多くのお客様にご満足いただいております。私たちの持てる知識と経験を活かして、みなさまの明日が少しでも明るいものになるように親身に寄り添い、真剣に対応させていただきます。まずはグリーンリーフ法律事務所にご相談ください。
初回相談は60分まで無料です。弁護士による10分無料電話相談もあります。会社への損害賠償請求、後遺障害等級認定、遺族補償年金の認定のサポートは着手金0円です(弁護士費用)。お電話(048-649-4631/平日9:00〜20:00・土曜9:00〜17:00)のほか、メール・LINEでもお問い合わせいただけます。所在地:さいたま市大宮区桜木町1-11-20 大宮JPビルディング14階(アクセス)。

【出典・参照条文】
・厚生労働省「労働基準監督署管轄一覧(埼玉)」
・労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和7年厚生労働省令第57号。職場における熱中症対策、令和7年6月1日施行)
・労働安全衛生法第61条(就業制限)、労働安全衛生法施行令第20条第11号、労働安全衛生規則第36条第5号(フォークリフトの運転)
・労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)
・(注)本記事は一般的な解説であり、管轄や手続きは個別の事情により異なる場合があります。実際の対応にあたっては専門家にご相談ください。

ご相談

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、専門チームの弁護士は、各担当分野について知識・経験とも豊富で、大きな強みを持っています。まずは、一度お気軽にご相談ください。

この記事を書いた弁護士:弁護士 時田 剛志

労働災害(労災)

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所所属、埼玉弁護士会所属の弁護士。
平成27年12月登録後、労働災害に関する損害賠償請求案件を多数担当。安全配慮義務違反に基づく会社への賠償請求、後遺障害等級の認定対応、休業損害・逸失利益の算定など労災全般に精通。脳疾患等も取扱い、賠償額1億円超えの解決実績もある一方、1級~14級までぬかりなく対応。力強い交渉と柔軟な解決策を武器にしており、「労働災害と従業員からの損害賠償」をテーマにしたセミナーでの講演実績もあり、実務と理論の両面から被災者を支援する。