埼玉県で交通事故が多い交差点は?2025年の事故多発交差点と事故に遭った場合の注意点を弁護士が解説

2025年、埼玉県で最も人身事故が多かったのは、さいたま市岩槻区の加倉(南)交差点でした。事故多発交差点の特徴と、交差点事故で問題となる過失割合や証拠、事故後の対応を弁護士が解説します。

2025年、埼玉県で最も人身事故が多かった交差点は?

2025年、埼玉県で最も人身事故が多かった交差点は?

日本損害保険協会が公表した「全国交通事故多発交差点マップ」によると、2025年に埼玉県内で最も人身事故件数が多かったのは、さいたま市岩槻区加倉4丁目にある「加倉(南)交差点」でした。2025年中に発生した人身事故は9件です。

加倉(南)交差点は、単純な四差路ではありません。日本損害保険協会によれば、六差路以上の複雑な交差点で、主道路の車線数が多く、勾配があります。さらに、高速道路や鉄道、歩道橋などの橋脚があり、自動車交通については「終日、恒常的に渋滞している」とされています。

つまり、交通量の多さだけでなく、交差点の形状や周辺構造の複雑さも特徴です。運転者は、信号、対向車、右左折車、周囲の車線など複数の情報を短時間で確認しなければならず、特に夜間や混雑時には慎重な運転が求められます。

加倉(南)交差点では、どのような事故が起きているのか

2025年に加倉(南)交差点で発生した9件の人身事故は、いずれも軽傷事故でした。事故類型の内訳は、次のとおりです。

  • 出会い頭の衝突 4件
  • 右折車と直進車の衝突 3件
  • 追突事故 2件

出会い頭事故と右折・直進事故だけで7件を占めています。日本損害保険協会は、同交差点について、夜間帯に赤信号を無視したことによる出会い頭事故や、直進車と右折車が衝突する事故が多発しているとしています。

また、同協会の公表内容によれば、信号サイクルなどについて交通部交通規制課と改善策が検討され、岩槻警察署においても人身交通事故多発区域として周知や交通安全講話が行われています。事故件数の公表は、単に順位を示すためのものではなく、事故防止策につなげるための資料でもあります。

2025年の埼玉県「事故多発交差点」

2025年の埼玉県「事故多発交差点」

2025年の埼玉県内における事故多発交差点は、次のとおりです。ここでいう交通事故件数は、人身事故の件数です。

順位交差点名人身事故件数
1位加倉(南)交差点9件
2位新都心(西)交差点8件
2位上山口新田(大字中川付近)交差点8件
4位与野インター交差点6件
4位上峰交差点6件
4位東門前4番地付近交差点6件
4位東圓寺前交差点6件

上山口新田(大字中川付近)交差点は、2023年、2024年にも事故多発交差点として掲載されています。また、与野インター交差点も2024年に掲載されており、複数年にわたって事故が多い交差点もあります。

安全対策によって事故件数が減少した交差点もある

一方で、事故多発交差点として取り上げられた後、安全対策によって事故件数が大きく減少した場所もあります。例えば、2024年に9件の事故が発生していた美女木交差点では、注意喚起看板の追加、警戒活動、横断者への啓発などが行われ、2025年の事故件数は1件まで減少しました。

与野インター交差点でも、警察官による交通指導の強化などにより9件から6件へ減少し、埼大通り交差点では8件から1件へ減少しています。道路環境の改善、交通規制、運転者への注意喚起などによって、事故の発生を減らす余地があることが分かります。

埼玉県の人身事故の半数以上は交差点付近で発生している

埼玉県の人身事故の半数以上は交差点付近で発生している

2025年に埼玉県内で発生した人身事故は1万5619件でした。そのうち、交差点または交差点付近で発生した事故は8599件です。割合にすると約55%であり、県内の人身事故の半数以上が交差点やその周辺で発生していることになります。

また、全交通事故の死傷者数は1万8578人で、そのうち交差点事故の死傷者数は9687人でした。交差点事故は、件数の面でも被害者数の面でも、交通事故全体の中で大きな割合を占めています。

なお、日本損害保険協会の統計における「交差点事故」は、交差点の内部で発生した事故だけではありません。交差点側端から30メートル以内で発生した交通事故も含まれます。そのため、交差点に進入する直前や通過直後の事故も、この統計上は交差点事故として扱われる場合があります。

なぜ交差点では交通事故が起こりやすいのか

なぜ交差点では交通事故が起こりやすいのか

直線道路では、基本的には前後を走る車両や道路上の歩行者などを確認しながら進行します。これに対して交差点では、直進車だけでなく、右折車、左折車、対向車、横方向から進入してくる車、自転車、歩行者など、複数の交通主体が異なる方向へ移動します。

特に大きな交差点では、右折する際に対向車を確認しつつ、その先の横断歩道を通行する歩行者や自転車にも注意しなければなりません。右折待ち車両や大型車によって視界が遮られることもあります。

さらに、信号が変わる直前には、「黄色になる前に通過したい」「右折待ちをしていたので信号が変わる前に右折したい」と考え、双方の車両がほぼ同時に交差点へ進入することがあります。このように、交差点では短時間に判断しなければならない事項が多いため、わずかな確認不足や判断の遅れが事故につながることがあります。

交差点事故では「過失割合」が大きな問題になる

交差点事故では「過失割合」が大きな問題になる

交通事故のご相談を受けていると、交差点事故で特に問題となるのが過失割合です。交通事故では、必ず一方だけに100%の責任があるとは限りません。双方に不注意が認められる場合には、被害者側にも一定の過失が認定され、受け取ることのできる損害賠償額が減額されることがあります。

例えば、事故による損害が1000万円と認定されたとしても、被害者側に20%の過失が認められれば、原則として相手に請求できる金額は800万円となります。損害額が大きい事故ほど、過失割合が10%違うだけでも最終的な受取額に大きな差が生じます。

右折車と直進車の事故では何が問題になる?

加倉(南)交差点でも3件発生しているのが、右折車と直進車との事故です。一般に「右直事故」と呼ばれ、対向車線を走行している直進車の前を右折車が横切り、衝突する形が典型です。

右折車は、対向する直進車の進行を妨げないよう注意して右折する必要があります。そのため、一般論としては右折車側の過失が大きく認定されるケースが多くなります。もっとも、右折車が悪いから常に同じ割合になるわけではありません。

直進車が制限速度を大幅に超過していなかったか、信号が何色だったか、右折車が既に交差点内に進入していたか、双方が交差点へ進入したタイミングはどうだったかなど、具体的な事情によって過失割合は変わります。

出会い頭事故でも道路状況によって結論が変わる

出会い頭事故でも、一律に50対50になるわけではありません。一方に一時停止規制があったのか、信号機が設置されていたのか、どちらが優先道路だったのか、道路幅に明らかな違いがあったのかなどによって、基本となる過失割合が変わります。

事故直後には「こちらにも少しは落ち度があったかもしれない」と感じていたとしても、道路状況やドライブレコーダーを確認すると、相手方の過失が想定以上に大きかったというケースがあります。反対に、「絶対に相手が100%悪い」と考えていても、法的な基準では自分にも一定の過失が認定されることがあります。

したがって、事故直後の感覚だけで過失割合を決めるのではなく、道路状況と客観的な証拠に基づいて検討する必要があります。

信号の色が争われる事故では証拠が非常に重要

信号の色が争われる事故では証拠が非常に重要

交差点事故の中でも難しいのが、信号表示について当事者双方の主張が食い違うケースです。一方が「青信号で直進した」と主張し、相手方も「自分の側も青信号だった」と主張する場合、当事者の説明だけでは事故状況を確定できないことがあります。

ドライブレコーダーの映像は早めに保存する

このような場合、ドライブレコーダーの映像は非常に重要な証拠になります。事故に遭った場合には、できるだけ早い段階で映像データを保存してください。機種によっては古い映像から自動的に上書きされるため、時間が経過すると事故当時の映像が消えてしまうことがあります。

自分の車にドライブレコーダーが付いていない場合でも、相手車両のドライブレコーダー、交差点付近の店舗や建物の防犯カメラ、事故を目撃した後続車など、ほかの証拠が存在する可能性があります。事故態様について争いが予想される場合には、早い段階で証拠の有無を確認することが重要です。

事故現場の写真も残しておく

事故直後には、可能な範囲で現場の写真を撮影しておくことをおすすめします。車両の損傷部分だけではなく、交差点全体、信号機、一時停止標識、停止線、道路の幅、見通し、車両が停止した位置などを撮影しておくと、後に事故状況を検討する際の資料になります。

事故車両が移動し、修理されてしまった後に事故直後の状態を再現することは困難です。特に過失割合が争われそうな事故では、早期の証拠確保が重要になります。

けがをした場合には早めに医療機関を受診する

けがをした場合には早めに医療機関を受診する

交通事故直後には大きな痛みを感じなかったものの、翌日以降になって首や腰などに痛みが出てくることがあります。事故によって身体に異常を感じた場合には、我慢せず、早めに医療機関を受診することが重要です。

事故から初診まで長い期間が空いてしまうと、後になって相手方保険会社から「事故によるけがなのか分からない」として、事故と症状との因果関係を争われることがあります。また、症状が続いているにもかかわらず通院期間が大きく空くと、治療の必要性について争われる原因となることもあります。

治療の要否や内容は医師の判断によりますが、少なくとも症状がある場合には、その症状を医師に具体的に伝え、適切な診察を受けることが重要です。

過失割合は慰謝料以外の損害にも影響する

過失割合は慰謝料以外の損害にも影響する

交通事故の過失割合というと、「慰謝料が少し減るだけ」と考える方もいるかもしれません。しかし、過失割合の影響は慰謝料だけに限られません。

交通事故によって生じる損害には、治療費、通院交通費、休業損害、傷害慰謝料、車両修理費などがあります。後遺障害が残った場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益が問題となり、死亡事故では死亡慰謝料や死亡逸失利益などが問題となります。

過失相殺は、原則としてこうした損害全体に影響します。特に重い後遺障害が残った事故では損害額が数千万円に達することもあるため、過失割合がわずか10%違うだけでも、最終的な賠償額に大きな差が生じる可能性があります。

「埼玉県で一番危険」という表現には注意が必要

「埼玉県で一番危険」という表現には注意が必要

今回の報道では、加倉(南)交差点について「埼玉で最も危ない交差点」といった表現が使われています。ただし、この点は少し注意が必要です。日本損害保険協会のランキングは、人身事故の発生件数を基準として作成されています。

交通量1万台当たりの事故発生件数や、通行1回当たりの事故率を比較したランキングではありません。また、加倉(南)交差点で2025年に発生した9件はいずれも軽傷事故であり、死亡事故や重傷事故の多さを比較したランキングでもありません。

したがって、より正確には「2025年に埼玉県内で最も人身事故件数が多かった交差点」と理解するのが適切です。事故件数の順位は重要な注意喚起になりますが、その順位だけで個々の交差点の危険性を単純に評価することはできません。

交通事故に遭ったら相手方保険会社の説明だけで判断しない

交通事故に遭ったら相手方保険会社の説明だけで判断しない

交通事故後、相手方保険会社から「今回の事故は過失割合が80対20です」などと説明されることがあります。しかし、保険会社から提示された割合が、そのまま法的に確定した過失割合というわけではありません。

過失割合は事故態様に応じて判断され、当事者間で争いがある場合には、ドライブレコーダー、実況見分の内容、道路状況、車両の損傷状況などの証拠が重要になります。交差点事故では、信号表示、道路の優先関係、双方の速度、交差点への進入時期などによって結論が変わります。

そのため、相手方保険会社から提示された過失割合に疑問がある場合には、安易に了承するのではなく、どのような事故態様を前提としてその割合を提示しているのか確認することが重要です。示談を成立させてしまうと、原則として後から内容を変更することは困難ですので、疑問がある場合には示談前に相談することをおすすめします。

まとめ

まとめ

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所では、埼玉県内で発生した交通事故について多数のご相談を取り扱っています。相手方保険会社から提示された過失割合に納得できない場合や、慰謝料、休業損害、後遺障害などについて疑問がある場合には、示談を成立させる前に弁護士へ相談することをおすすめします。

ご相談

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、専門チームの弁護士は、各担当分野について知識・経験とも豊富で、大きな強みを持っています。まずは、一度お気軽にご相談ください。

この記事を書いた弁護士:弁護士 申 景秀

交通事故

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所所属、埼玉弁護士会所属。
獨協大学法科大学院を卒業し、司法試験を70番台という高順位で合格。札幌での司法修習を経て、現在は交通事故案件を中心に多数の損害賠償請求に対応している。後遺障害等級認定や保険会社との示談交渉を含む実務に精通し、緻密な法的思考に基づいた立証に注力。被害者の適正な賠償実現のため、専門知識を活かした迅速な解決を追求している。