【弁護士解説】工場型アスベスト被害で国から賠償金がもらえる条件とは?和解手続を徹底解説

工場における業務に従事していてアスベストに被爆してしまったというケースは少なくありません。

中には、被爆から長い時間が経ってしまっているケースもあります。

しかし、そのような場合でも本コラムのように、適正な補償を受けられる可能性はあります。

1 建設現場だけじゃない!「工場」でのアスベスト被害に対する国の救済制度

1 建設現場だけじゃない!「工場」でのアスベスト被害に対する国の救済制度

アスベスト(石綿)被害というと、大工や配管工など「建設現場」で働いていた方をイメージする方が多いのではないでしょうか。

しかし、石綿を扱う製品の製造工場などで働いていた方やそのご遺族にも、国に対して損害賠償を求める「国家賠償請求訴訟」を起こせる仕組みがあることは、あまり知られていません。

平成26年(2014年)10月、最高裁判所は「大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟」において、国が石綿工場で働く労働者の健康被害を防止するための規制権限を適切に行使しなかったとして、その責任を認める判決を言い渡しました。この判決を受けて、現在では一定の要件を満たす方について、訴訟を経たうえで国と「和解」することにより、賠償金を受け取ることができる制度が整えられています。

「工場で働いていたのはもう何十年も前のことだから」と諦めてしまっている方も少なくありませんが、まずはご自身やご家族が対象となる可能性がないか、確認してみることが大切です。

2 私は対象?賠償金を受け取るための「3つの条件」

2 私は対象?賠償金を受け取るための「3つの条件」

国から賠償金(最大1,300万円)を受け取るためには、主に次の3つの条件を満たしている必要があります。

(1)対象期間

昭和33年(1958年)5月26日から昭和46年(1971年)4月28日までの間に、局所排気装置が設置されていない石綿工場で、粉じんにばく露する作業に従事していたこと(※この期間の一部のみ勤務していた場合でも対象となり得ます)

(2)対象疾患  

上記の作業に従事した結果として、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚などの石綿関連疾患に罹患したこと

(3)期限(時効)         

損害賠償請求権の時効期間内(損害及び加害者を知った時から3年、または5年など)に請求すること

これらの条件は個々のご事情によって判断が分かれる部分も多いため、「自分は当てはまらないかもしれない」と自己判断せず、専門家に相談することをおすすめします。

3 もらえる金額の目安と、必要な書類

3 もらえる金額の目安と、必要な書類

賠償金の金額は、罹患した疾病の種類や症状の重さに応じて、550万円から最大1,300万円(死亡された場合など)まで段階的に定められています。

手続きを進めるにあたっては、主に以下のような証拠資料が必要となります。

  • 当時の勤務先や勤務期間がわかる「被保険者記録照会回答票」(日本年金機構が発行)
  • 労災保険の支給決定通知書
  • 医師の診断書(罹患している疾患を証明するもの)

これらの資料をもとに、対象期間中に指定された工場で粉じんばく露作業に従事していたこと、そしてそれが原因で石綿関連疾患を発症したことを立証していくことになります。

4 「当時の会社が倒産している」「資料がない」場合も弁護士へお任せを!

4 「当時の会社が倒産している」「資料がない」場合も弁護士へお任せを!

工場での勤務からすでに数十年が経過しているケースがほとんどであるため、「当時の勤務先がすでに倒産・閉鎖してしまっている」ということも珍しくありません。

しかし、勤務先が倒産・閉鎖していても、条件を満たしていれば賠償金を受け取ることは可能です。

とはいえ、何十年も前の勤務記録や医療記録をご自身で集めたり、国を相手に複雑な訴訟・和解手続きを進めたりするのは、非常に困難といえます。

当事務所の弁護士が、年金記録などの徹底的な調査から、国との複雑な和解手続きまで、すべて代行いたします。ご自身やご家族が対象になるかご不安な方は、まずはお気軽にご相談ください。

ご相談

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、専門チームの弁護士は、各担当分野について知識・経験とも豊富で、大きな強みを持っています。まずは、一度お気軽にご相談ください。

この記事を書いた弁護士:弁護士 権田健一郎

労働災害(労災)

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所所属、埼玉弁護士会所属の弁護士。令和2年登録後、労災案件を中心に多数の損害賠償請求事件に対応。障害補償給付の申請、会社に対する安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求の示談交渉・訴訟等、多数の案件を解決してきた実績を有する。専門性の高い労災分野において日々知識の更新を行いながら、依頼者の気持ちに寄り添った迅速かつ丁寧な事件処理を心掛けている。