ネット上の広告が普及したことで、事業者にとっては、顧客の誘因が容易になったことの反面、景品表示法上の不当表示にあたるリスクも増えています。

このコラムでは、事業者が特に気を付けるべき15日ルールなどについて、わかりやすく解説します。

1 はじめに

ネット上の広告が普及した現代では、ネット広告についても景品表示法上の規制にかからないか注意が必要です。

そもそも景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の目的は、一般消費者が「自主的かつ合理的な選択」を行える環境を保護することにあります。

この法律は、1960年の「ニセ牛缶事件」(牛缶と称しながら中身は馬肉や豚肉であったという欺瞞的な表示が社会問題となった事件)を歴史的背景として、消費者の利益を直接的に守るための法整備が急務となって制定されました。

コンプガチャのような景品の提供方法には厳格なルールが存在しますが、消費者が最も頻繁に接する広告などの「表示」そのものにも、複雑なリスクが潜んでいます。

2 景品表示法が規制する不当表示

(1)不当表示とは?

景表法における不当表示は、消費者が商品の「内容(品質・規格)」を誤解するのか、あるいは「取引条件(価格)」を誤解するのかによって、大きく2つに分類されます。このうち、商品やサービスの内容を実際のものよりも著しく優良であると誤認させる表示が「優良誤認表示」です。

(2)15日ルールとは?

この優良誤認表示において、実務上、企業にとって特に注意すべき脅威となるのが「不実証広告規制」です。広告の表現に対して、消費者庁から表示の裏付けとなる根拠資料の提出を求められた場合、事業者は実務上の運用要件として、原則「15日以内」に資料を提出しなければなりません。

この「15日ルール」の真の恐ろしさは、期限内に提出されない場合や、提出された資料に「合理的な根拠がない」と判断された場合、有無を言わさずその表示が不当表示とみなされてしまう点にあります。いざ行政から指摘を受けてから慌てて根拠となるデータを集めようとしても、15日という極めて短い期間で合理的な資料を用意することは現実的ではありません。

企業にとって景表法の遵守は、単なる行政処分の回避にとどまりません。消費者が商品やサービスの質・価格を正しく判断し、「より良いものをより安く」提供する健全な競争を維持することは、企業のブランド価値と顧客信頼を維持するための戦略的基盤です。不当な表示による「不当な顧客誘引」は、短期的には利益をもたらすかもしれませんが、中長期的には市場全体の信頼を損ない、自社のブランドを自ら破壊する行為に他なりません。

自社のブランドを守るためにも、効果や性能を謳う広告を展開する前には、必ず手元に客観的で合理的な裏付け資料を準備しておく体制を整えることが不可欠です。

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この記事を書いた弁護士:弁護士 権田健一郎

景品表示法

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所所属、埼玉弁護士会所属の弁護士。令和2年登録後、景品表示法の相談等を多数取り扱う。二重価格表示、打消し表示と強調表示、不実証広告規制などの大きな論点から、ステルスマーケティング・アフィリエイト広告などの近年活発になっている論点についても研究を重ねている。消費者庁主催の景品表示法セミナーを受講しており、最新の論点についても常にフォローしている。