不当表示に対する措置命令や課徴金納付命令について弁護士がわかりやすく解説

不当表示が行われた場合、行政から措置命令や課徴金納付命令が出される可能性があります。

これらの措置を受けないことが一番ですが、いざ出されてしまった時のためにこれらについて知っておくことも重要です。

1 不当表示に対する措置

1 不当表示に対する措置

事業者が行う表示については、景品表示法上大きく分けると、優良誤認表示(商品等の品質に関する表示)と有利誤認表示(商品等の販売条件に関する表示)という類型があります。

景品表示法では、不当表示がなされた場合、措置命令と課徴金納付命令という措置が規定されていますので、不当表示がなされた場合、行政機関は措置命令や課徴金納付命令を発出する可能性があります。

2 措置が出されるまでの流れ

2 措置が出されるまでの流れ

関連事業者・団体や一般消費者からの情報提供、職権探知などにより、行政が不当表示の可能性を認識します。

そして、行政は、試買、実地調査などにより表示物を収集し、対象者から報告等を求め、調査を行います。

この調査については、報告命令、提出命令、立入調査など、法律上強制力が認められていますが、対象となる事業者が任意に応じる場合には、強制力に基づかず行われることがあります。

3 措置命令

(1)措置命令とは

3 措置命令

措置命令とは、不当表示にあたる表示に対し、その差止め、その行為が再び行われることを防止するために必要な事項、これらの実施に関連する公示その他必要な事項を命令する制度です。

(2)手続

措置命令が出される場合、事前に対象となる者に対し、弁明の機会が付与されます。

具体的には、予定される措置命令の内容、弁明書と証拠を提出することができる旨、弁明書と証拠の提出先及び提出期限が対象者に文書により通知されます。

弁明書の提出がされた場合、消費者庁長官は、行政側が調査した事実と対象者の弁明の内容を考慮し、措置命令を行うかどうか、行う場合にはその内容を決定することになります。

(3)措置命令の内容

(3)措置命令の内容

措置命令は、対象者に対し、①行為の差止め、②違法行為が再び行われることを防止するために必要な事項、③これらの実施に関する公示、④その他必要な事項を命じるものです。

具体的には、一般消費者の誤認を排除するために新聞広告等による公示、再発防止策の策定、今後発出する予定の公告の提出などが命じられてきました。

(4)措置命令に対する不服申立て

(4)措置命令に対する不服申立て

措置命令に対しては、不服申立てを行うことができます。

具体的には、一般的な行政処分と同様に、消費者庁長官に対する審査請求と処分の取消訴訟という方法があります。

(5)措置命令違反に対する制裁

(5)措置命令違反に対する制裁

措置命令に従わない者には、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることが法律に規定されています。

4 課徴金納付命令

(1)課徴金納付命令とは

4 課徴金納付命令

課徴金納付命令とは、消費者庁長官が違反行為をした事業者に対し、課徴金を国庫に納付することを命じる措置です。

違反行為をした事業者に経済的不利益を課すことによって、事業者が不当表示を行うことに対して抑止的効果を及ぼすものです。

(2)課徴金納付命令の要件

(2)課徴金納付命令の要件

課徴金納付命令の対象となるのは、いわゆる優良誤認表示および有利誤認表示です。

課徴金が課される期間は、原則として、課徴金対象行為をした期間とされています。

(3)課徴金納付命令の効果

(3)課徴金納付命令の効果

課徴金納付命令を受けた事業者には、課徴金の納付義務が生じます。

課徴金納付命令を受けた事業者が納期限までに課徴金を納付しない場合、消費者庁長官は督促状を送達し、期限を指定して納付を督促します。

その場合、課徴金の金額については、年14.5%の割合でその納期限の翌日から納付の日までの日数により計算した延滞金を徴収することができるとされています。

督促を受けた事業者が指摘された期限までに納付すべき金額を納付しない場合、消費者庁長官の命令で、課徴金納付命令が執行されます。

その場合、課徴金納付命令は、裁判における判決等と同じように、執行力のある債務名義と同一の効力を有するとされますので、法的な手続がとられることになります。

(4)課徴金納付命令の手続

(4)課徴金納付命令の手続

課徴金納付命令が課される際には、弁明の機会が付与されることになります。

また、課徴金納付命令に対しては、不服申立てをすることができます。

具体的には、消費者庁長官に対する審査請求と処分の取消訴訟という方法があります。

5 おわりに

5 おわりに

以上見てきたように、不当表示に対しては、各種の措置が規定されており、それにより事業者が受ける影響は大きいといえます。

このような措置を受けないためにも、日ごろから表示が不当表示にあたらないかどうかをよく検討し、不当表示のおそれがあればすぐに対応ができるようにしておくことが重要です。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 権田 健一郎

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