大工・左官・溶接工…建設現場で働いていた方は建設アスベスト給付金の対象かもしれません

「昔、建設の仕事をしていた」「型枠大工として長年働いていた」「内装や電気工事の仕事をしていた」──そういった経歴をお持ちの方やそのご家族に、ぜひ知っていただきたい制度があります。「建設アスベスト給付金制度」です。この制度は建設現場でアスベストにさらされて健康被害を受けた方を救済するために設けられた給付金制度であり、病態によって最大1,300万円の給付金を受け取ることができます。

建設アスベスト給付金制度が生まれた背景

建設アスベスト給付金制度が生まれた背景

最高裁判決による国の責任の認定

建設アスベスト給付金制度は、2021年の最高裁判所判決を受けて設立された制度です。同判決では、国が屋内の建設現場において石綿が含有された建材が使用されていることを認識しながら、建設作業者に対する適切な保護措置(防じんマスクの着用義務付けや規制措置)を講じなかったことについて、国の責任が認められました。

つまり、この制度は「国が建設労働者をアスベストの害から守る義務を怠った」という国の責任に基づいて設けられたものです。

建設業従事者とアスベスト被害

建設業は、アスベストにさらされる危険性が特に高い業種の一つです。建物の建設・改修・解体の各段階において、断熱材・防音材・耐火被覆材としてアスベストが使用されていました。

特に1970年代から1990年代にかけてはアスベスト使用量が最多であった時期であり、この時期に建設業に従事していた方は高いアスベストばく露リスクにさらされていた可能性があります。

建設アスベスト給付金制度の対象者

建設アスベスト給付金制度の対象者

対象期間

対象となる期間は、1972年(昭和47年)10月から2004年(平成16年)9月までの間です。より具体的には、(1)1972年10月から1975年9月までの間に石綿の吹き付け作業に係る建設業務に従事していた方、または(2)1975年10月から2004年9月までの間に一定の屋内作業場において行われた作業に係る建設業務に従事していた方が対象となります。

対象となる業種・職種

建設アスベスト給付金制度の対象となる業種・職種は非常に幅広いです。

建築系

大工(墨出し・型枠大工を含む)、左官、鉄骨工(建築鉄工)、ブロック工、タイル工、内装工、建具工、サッシ工、ガラス工、畳工などが含まれます。

設備系

配管設備工(配管工)、ダクト工、空調設備工・空調設備撤去工、電工・電気保安工、保温工、エレベーター設置工、自動ドア工などが含まれます。

仕上げ・解体系

塗装工、吹付工、防水工、はつり工、解体工、清掃・ハウスクリーニング業、溶接工なども対象です。「自分の職種が対象かどうか分からない」という場合でも、上記に類似する建設業務に従事していた場合には対象となる可能性があります。

一人親方(個人事業主)も対象

建設アスベスト給付金制度は、労働者だけでなく、一人親方(個人事業主として働いていた方)も対象となる場合があります。「会社員ではなかったから対象外だ」と思い込まないでください。

給付金額 ~最大1,300万円~

給付金額 ~最大1,300万円~

病態に応じた給付金額

建設アスベスト給付金の支給額は、病態(疾病の重さ・進行度)に応じて段階的に設定されています。最大額は1,300万円です。ただし、喫煙習慣がある場合には減額されることがあります。また、労災保険や石綿健康被害救済制度の給付を既に受けている場合には支給調整が行われます。対象疾病に罹患した存命者(療養中の方)と、対象疾病を原因として死亡した方の遺族では、申請の内容・給付金額が異なります。遺族の場合は、被害者が亡くなっていても申請が可能ですので諦めないでください。

建設アスベスト給付金の申請手続き

建設アスベスト給付金の申請手続き

申請先と必要書類

建設アスベスト給付金の申請先は、独立行政法人労働者健康安全機構の「建設アスベスト給付金センター」です。申請に必要な主な書類は以下のとおりです。

給付金支給申請書・診断書または死亡診断書・医療記録(レントゲン・CT画像・病理組織検査結果など)・職歴に関する書類(在職証明・源泉徴収票・年金記録など)・建設業務従事の事実に関する資料(同僚の陳述書・施工図面など)。建設アスベスト給付金制度と労災保険を並行して申請できる場合も多く、どちらを先に申請するか・どのように並行して進めるかについても専門的な判断が必要です。

よくある疑問と回答

よくある疑問と回答

当時の雇用形態が不明だが申請できるか?

当時の雇用形態(正社員・契約社員・日雇いなど)は、建設アスベスト給付金制度の申請において必ずしも明確でなくても申請を進められることがあります。まず弁護士に相談されることをお勧めします。

建設現場での作業期間が短かったが対象になるか?

アスベストのばく露は、比較的短期間でも発症につながることがあります。「数ヶ月しか働いていなかった」という場合でも、対象となる可能性があります。

造船・鉄道車両関係は対象か?

造船・鉄道車両製造関係は、建設アスベスト給付金制度の対象とはなっていない場合があります。ただし、労災保険の対象となる可能性があります。具体的な業種・職種については弁護士に確認されることをお勧めします。

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 遠藤 吏恭

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