【弁護士解説】労災と傷病手当金の違い|どっちが得?金額と条件を徹底比較

業務中のケガで休業する際、会社から「傷病手当金」を勧められていませんか?実は「労災」と「傷病手当金」では、給付額や治療費負担に雲泥の差があります。結論、業務起因なら労災が圧倒的に有利です。この記事では、弁護士が両制度の違いを徹底比較。「どっちが得?」「後から切り替えられる?」といった疑問を解消し、損をしないための正しい選択肢を解説します。

労災と傷病手当金、どっちがお得?

労災と傷病手当金、どっちがお得?

「仕事中にケガをして休むことになったが、会社から『傷病手当金を使って』と言われた」

「労災と傷病手当金、どちらを使うのが自分にとってメリットがあるのか知りたい」

業務中や通勤中のケガ・病気で働けなくなったとき、生活費や治療費の不安は大きいものです。

結論から申し上げますと、業務や通勤が原因であれば、絶対に「労災保険」を使うべきです。

なぜなら、支給される金額や保障の手厚さが圧倒的に異なるからです。

この記事では、労災問題に精通した弁護士が、労災保険と傷病手当金の違いをわかりやすく比較し、なぜ労災を選ぶべきなのかを解説します。

労災と傷病手当についての基礎知識

労災と傷病手当についての基礎知識

まずは、2つの制度の根本的な違いを理解しましょう。

どちらも「働けない間の生活を支える」という目的は同じですが、「原因が仕事か、プライベートか」によって使い分ける制度です。

労災保険(労働者災害補償保険)

対象: 仕事中(業務災害)や通勤中(通勤災害)のケガや病気。
管轄: 労働基準監督署(国)。
特徴: 労働者を守るための制度なので、補償が非常に手厚いです。

傷病手当金(健康保険)

対象: プライベート(業務外)でのケガや病気。
管轄: 健康保険組合や協会けんぽなど。
特徴: 私傷病で給料が出ない場合の生活保障です。

本来、この2つは労働者が「好きなほうを選ぶ」ものではなく、原因に合わせて正しく申請すべきものです。

しかし、実際には会社側の都合で誤った案内をされるケースも少なくありません。

労災と傷病手当の違いについて

労災と傷病手当の違いについて

では、具体的に何が違うのかを表で比較してみましょう。
特に「治療費の自己負担」と「もらえる金額」に大きな差があります。

労災保険(休業補償給付)傷病手当金(健康保険)
原因仕事中・通勤中プライベート(業務外)
治療費全額無料(0円)3割負担
給付額給料の約80%給料の約67%(3分の2)
慰謝料なし(※会社へ別途請求可)なし
解雇制限療養中+30日間は解雇禁止特になし
待機期間3日間(会社が補償する場合あり)連続した3日間

受給条件の違い

受給条件の違い

労災保険

「業務遂行性(仕事中に)」と「業務起因性(仕事が原因で)」の両方が認められる必要があります。

  • 仕事中に機械に挟まれた
  • 通勤途中で交通事故に遭った
  • パワハラや過重労働でうつ病になった

傷病手当金

以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 業務外の病気やケガであること
  • 仕事に就くことができない状態であること(医師の証明が必要)
  • 連続する3日間を含み、4日以上休んでいること
  • 休業期間中に給与の支払いがないこと(あっても手当金より少ない場合)

支給金額の違い

支給金額の違い

ここが最も重要なポイントです。
労災の方が手取り額は圧倒的に多くなります。

労災保険の場合

給付基礎日額(直近3ヶ月の平均賃金)の60%に加え、特別支給金として20%が上乗せされるため、合計で約80%が支給されます。さらに、治療費は全額労災から出るため自己負担は0円です。

傷病手当金の場合

標準報酬月額(平均的な月給)の3分の2(約67%)が支給されます。しかし、治療費は健康保険を使うため、窓口で3割を自己負担しなければなりません。

弁護士の視点

長期療養になればなるほど、この「13%の収入差」と「治療費負担の有無」は家計に大きな影響を与えます。金銭的なメリットで見れば、間違いなく労災が有利です。

申請方法の違い

申請方法の違い

労災保険

所定の請求書に会社の証明をもらい、労働基準監督署へ提出します。

傷病手当金

申請書に会社と医師の証明をもらい、加入している健康保険組合(協会けんぽ等)へ提出します。

労災と傷病手当の併用は可能なのか

「両方もらえば安心」と考える方もいるかもしれませんが、労災保険と傷病手当金の併用(二重取り)はできません。

もし、最初は傷病手当金を受給していて、後から労災と認定された場合はどうなるのでしょうか?

この場合、受給した傷病手当金を全額返還し、改めて労災保険の給付を受け取る手続きが必要になります。

「差額だけもらえる」わけではなく、一度精算する必要があるため手続きが煩雑になります。そのため、業務中のケガであれば最初から労災申請を行うのが最もスムーズです。

労災と傷病手当はどっちを使うべきなのか

結論として、ご自身のケガや病気が業務や通勤に関連している可能性があるなら、迷わず「労災」を使うべきです。

労災を使うべき3つの理由

①手取り収入が多い
給付率約80%で非課税、さらに治療費負担がないため生活が安定します。

②解雇制限がある
業務災害の場合、療養期間中とその後30日間は、会社は法律上あなたを解雇できません。雇用の守りとしても強力です。

③後遺障害の補償がある
万が一障害が残った場合、労災なら「障害補償給付」が受けられますが、健康保険にはこのような制度はありません。

会社が傷病手当金を勧めてくる場合

もし会社が「手続きが面倒だから」「労災を使うと保険料が上がるから」といって傷病手当金を勧めてくる場合、それは「労災隠し」という犯罪行為に当たる可能性があります。

会社の顔色を伺って損をする必要はありません。正当な権利として労災を主張しましょう。

弁護士に相談するべきケース

弁護士に相談するべきケース

ご自身での申請が難しい場合や、今後の補償に不安がある場合は、専門家である弁護士への相談をご検討ください。

まずは治療を

ケガの直後は治療が最優先です。

しかし、会社が労災申請に協力してくれない場合(証明の拒否など)、ご自身で手続きするのは大きなストレスになります。

弁護士に依頼すれば、会社とのやり取りや申請手続きを代行できるため、安心して治療に専念できます。

後遺障害が残ったとき、残りそうなとき

治療を続けても完治せず、後遺症が残ってしまった場合、労災保険から「障害補償給付」を受け取れる可能性があります。

しかし、適切な等級認定を受けるためには、医師による正確な診断書や、症状を裏付ける検査結果が必要です。等級が1つ違うだけで補償額が数百万〜数千万円変わることもありますので、専門的なサポートが不可欠です。

会社の安全配慮義務違反や不法行為が原因で労災が起きたとき

労災保険は最低限の補償をしてくれる国の制度ですが、「精神的苦痛に対する慰謝料」は支払われません。

もし、事故の原因が会社の安全管理不足(安全配慮義務違反)にある場合、労災保険とは別に、会社に対して損害賠償請求(慰謝料や逸失利益の請求)ができる可能性があります。これは弁護士が介入することで初めて適正な額を獲得できる分野です。

弁護士に相談するメリット

弁護士に相談するメリット

労災問題を弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。

①会社との交渉を任せられる
会社と直接話すストレスから解放されます。

②適正な後遺障害等級の獲得
認定のポイントを熟知しているため、適正な等級認定の可能性が高まります。

③賠償金の大幅な増額
会社への損害賠償請求を行うことで、労災保険だけでは賄えない補償を獲得できる可能性があります。

当事務所のサポート

当事務所のサポート

労災事故は、初期対応を誤ると本来もらえるはずの補償が受け取れなくなるリスクがあります。

当事務所は、社会保険労務士と弁護士の資格を併せ持ち、労働問題と法的手続きの両面からトータルサポートが可能です。

「会社が労災を認めてくれない」
「傷病手当金から労災に切り替えたい」
「提示された示談金が適正かわからない」

このようにお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。あなたの正当な権利と生活を守るために、全力を尽くします。

最後に見ていただきたい労災サポートのこと

最後に見ていただきたい労災サポートのこと

お悩みがあれば、ぜひ一度、労災問題に精通した弁護士にご相談ください。

私たちは、被災された皆様が安心して治療に専念し、一日も早く元の生活を取り戻せるよう、法的な専門知識と経験を活かして、申請手続きから会社との交渉、そして適切な後遺障害等級の獲得まで、全面的にサポートいたします。あなたの未来への不安を解消し、前を向くきっかけ作りをお手伝いさせてください。

当事務所では、電話相談10分、初回面談60分を無料で承っており、例えばメールでの後遺症簡易診断もしています。 お客様満足度は92.9%となっており、多くのお客様にご満足いただいております。

私たちの持てる知識と経験を活かして、みなさまの明日が少しでも明るいものになるように親身に寄り添い、真剣に対応させていただきます。まずはグリーンリーフ法律事務所にご相談ください。

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。


■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 時田 剛志
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