ロールボックスパレット(かご車)で発生する労働災害について弁護士が解説

ロールボックスパレット(かご車)は、人力で荷物や商品を運搬する道具であり、さまざまな現場で使用されているものですが、事故も起こりやすいです。その具体例や、労災給付、会社への損害賠償請求などについて、解説します。

1 ロールボックスパレット(かご車)とは?

1 ロールボックスパレット(かご車)とは?

ロールボックスパレットとは、3つの面がパネルや柵によって囲まれたパレット(台車)です。

下にはキャスターが付いており、人力で押したり引いたりすることで、一度に大量の荷物を運ぶことができます。

別名、かご車とも呼ばれています。

ロールボックスパレットは、身近なところでは、スーパーやドラッグストアでも使われており、店舗によっては、そのまま商品棚として使われていることもあります。

2 ロールボックスパレット(かご車)で発生する3大事故類型

2 ロールボックスパレット(かご車)で発生する3大事故類型

ロールボックスパレットにより発生する事故類型としては、大きく分けて、以下の3つが考えられます。

①激突・挟まれ・巻き込まれ

ロールボックスパレットは、キャスターを転がすことで容易に運搬することができますが、周囲(特に、進行方向)の確認が難しいという欠点があります。

それにより、単独で壁や他のロールボックスパレットとの間に体や指、足を挟まれてしまったり、他の作業員に衝突してしまうことがあります。

②転倒・転落・落下物

ロールボックスパレットには、たくさんの荷物を積載します。

そのため、バランスを崩して転倒したり、荷物が崩れてきて頭上に落下するといった事故が起こることがあります。

③荷台(テールゲートリフター)での落下・墜落

テールゲートリフターとは、トラックの後部についている昇降装置のことです。

ロールボックスパレットは、前後左右に動かすのは簡単ですが、持ち上げることは極めて困難です。

そのため、トラックに積み込む際には、テールゲートリフターに載せて、荷台まで上昇します。

このときに、バランスを崩して地面に落下するなどして、怪我をすることがあります。

3 ロールボックスパレット(かご車)で発生する労働災害の現状

3 ロールボックスパレット(かご車)で発生する労働災害の現状

厚生労働省が公表している「ロールボックスパレット使用時の労働災害防止マニュアル」によれば、ロールボックスパレットの下敷き、転倒・転落の事故の割合がもっとも大きく、約41%にのぼります。

その他、足指、足、手指、腕、頭部、顔面部、歯など身体の部位のあらゆる箇所を負傷する可能性があります。

4 労働安全衛生法・民法715条(使用者責任)

4 労働安全衛生法・民法715条(使用者責任)

労働安全衛生法とは、労働基準法とともに、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする法律です(同法1条)。

会社側に労働安全衛生法違反が認められるような場合には、不法行為に基づく損害賠償を請求することができます。

また、他の従業員の過失により事故に巻き込まれてしまった場合には、その従業員のみならず、会社に対しても使用者責任(民法715条)に基づいて損害賠償を請求することができます。

この請求権は、事故を起こしてしまった従業員に資力が無い(賠償金を支払う経済的な余力が無い)場合、大変有用です。

5 労災保険給付と会社への損害賠償を並行して請求する方法

5 労災保険給付と会社への損害賠償を並行して請求する方法

⑴労災保険で受け取ることができる給付の種類

以下は、労災保険で受け取ることができる給付の一例です。

①療養(補償)給付

労災病院や労災指定病院等を受診・治療する場合には、当該病院に「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」を提出し、請求します。

それ以外の医療機関を利用して受診・治療した場合には、費用を立て替えた上で、労働基準監督署に「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」を提出し、請求します。

例えば、治療費や薬代、器具の費用、施術費用などが給付の対象になります。

②休業(補償)給付

労働基準監督署に「休業(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します。

③障害(補償)給付

労働基準監督署に「障害(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します。

④傷病(補償)年金

労働基準監督署が職権で行うため、請求は必要ありません。

⑤介護(補償)給付

労働基準監督署に「介護(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します。

⑵会社に対する損害賠償請求

例えば、通院慰謝料や後遺障害慰謝料については労災からは支給されないように、労災給付は十分な補償とは言えません。

そのため、労災から給付されない部分については、会社への損害賠償請求を検討することになります。

その際には、前記の「4 労働安全衛生法・民法715条(使用者責任)」の内容などを中心に検討することになります。

6 弁護士に依頼するメリット

6 弁護士に依頼するメリット

労災事故において、特に大きな事故に遭ってしまった場合には、生活が一変します。

一方で、労災給付の額は、非常に大きくなる可能性があります。

また、会社に対しても、多額の損害賠償請求をすることができる可能性もあります。

一方で、逸失利益や過失割合などの点では、会社側と紛争になる可能性もあります。

そのため、早期に専門家による適切な助言を受けることが重要です。

7 当事務所のサポート内容

7 当事務所のサポート内容

当事務所では、労働災害を多く取り扱っているチームの弁護士が、直接、ご依頼者様のお話を丁寧にお伺いし、また、ご依頼者様にわかりやすくご説明することを心がけています。

ご相談については、初回60分までご相談料は無料です。

2回目以降のご相談料は、30分まで5000円(税別)、以後30分まで5000円(税別)になります。

さらに、事案によっては着手金無料でお受けしております。

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。

また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 赤木 誠治

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