株式会社に関わる株主の方や会社経営者の方に向けて、今一度、会社経営の基本である株主総会の決議について、その目的や種類について解説します。株主総会の決議には、普通決議、特別決議、特殊決議の三種類に分かれます。このページでは、埼玉県で30年以上、企業法務を扱ってきた法律事務所の弁護士が、会社法の定める株主総会決議の種類についてポイントを絞って分かりやすく解説します。

はじめに

株主総会の決議には3種類ありますが、その内容はご存じでしょうか。

このページでは、埼玉県で30年以上、企業法務を扱ってきた法律事務所の弁護士が、会社法の定める株主総会の目的や権限、3つの決議の種類についてポイントを絞って分かりやすく解説します。

株主総会とは?

はじめに、株主総会についておさらいしてみましょう。

株主総会は、文字通り、「株主」が集う「総会」です。

会社経営は、通常、取締役が舵取りを行いますが、株主は、会社のオーナーです。

株主総会とは、会社の構成員(オーナー)である株主が直接参加し、決議により会社の基本的意思決定を行うための機関です。

株主総会の権限の範囲は?

では、株主が会社の基本的意思決定を行うとしても、あらゆる決定を行うとすれば、株主=経営者という結果となり、非常に大変です。株主の中には、投資はするが経営をするつもりはないという方も少なくないと思います。上場企業などは、株主数も膨大であり、いちいち経営判断をしていないということは火を見るより明らかです。そのため、会社法は、取締役会という機関を設け、取締役会を設置している会社に対して、ある程度の業務執行権限を取締役らに委ねることとしました。

つまり、株主総会がどの範囲まで決議をしなければならないかは、取締役会の設置会社か、そうでないか、により異なります。

取締役会設置会社の場合

この場合には、株主総会が決議するのは、「法令に規定する事項」または「定款に定めた事項」に限ります(会社法295条2項)。もし、これらの事項以外について株主総会が決議しても「無効」と解されております。

では、「法令に規定する事項」とは何でしょうか。

要するに、重要なことを決めるイメージですが、主に、

・会社の基礎に根本的な変動をもたらす事項

 例)定款変更、事業譲渡、資本金の減少、合併・会社分割・株式交換・株式移転等

・機関(取締役、会計参与、監査役、会計監査人等)の選任・解任に関する事項

・計算に関する事項

 例)計算書類の承認等

・株主の重要な利益に関する事項

 例)剰余金の処分、全株式譲渡制限会社が行う募集株式の発行等

・取締役等の利益が相反する事項

 例)取締役の報酬の決定等

が挙げられます。

取締役会非設置会社(取締役会を設置していない会社)の場合

この場合には、取締役会設置会社よりも広く、上で述べたもののほか、自己株式の取得、株式分割、取締役の競業取引や利益相反取引の承認、さらには譲渡制限株式の譲渡承認が含まれます。そのほか、強行規定(任意に変更することが許されない規定)というものに反しない限り、会社組織、運営、管理などの一切について決議することが可能です(会社法295条1項)。

株主総会の決議の種類

株主総会の決議については、3種類あります。

①普通決議 → 定足数:過半数、賛成数:その過半数

②特別決議 → 定足数:過半数、賛成数:その3分の2以上

③特殊な決議 → 定足数:半数(頭数)以上、賛成数:その3分の2以上もしくは定足数:半数(頭数)以上、賛成数:その4分の3以上

これらは、③に向かうにつれて、要件が厳しくなります。

一言でまとめると、上のとおりです。

それぞれ詳しく見て参りましょう。

①普通決議

原則的な方法は、株主総会普通決議によります。

普通決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成により成立します(会社法309条1項)。

→定款により変更可能!

実務では、定足数の要件を外し、出席した株主の議決権の過半数で決議が成立する旨を定款で定めている会社が多いと言われています。

②特別決議

会社にとって重要な事項については、普通決議よりも要件が加重されます。

特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上に当たる賛成により成立します(会社法309条2項)。

特別決議が必要となる場面は、会社法に詳しく記載されていますが、典型的には、定款変更、事業譲渡、合併・株式交換・株式移転・会社分割、資本金の減少、解散等です。

③特殊な決議

会社にとって特に重要な事項については、さらに特殊決議として、特別決議よりも要件が加重されたものがあります。

特殊な決議は、議決権を行使することができる株主の半数(頭数)以上で、かつ議決権を行使することができる株主の議決権の3分の2以上の賛成が要求されている場合(会社法309条3項)、議決権を行使することができる株主の半数(頭数)以上で、かつ議決権を行使することができる株主の議決権の4分の3以上の賛成が要求されている場合(会社法309条4項)があります。

特殊決議で定めなければならないのは、株式が定款変更により譲渡制限株式になる場合→3項、全株式譲渡制限会社が剰余金の配当・残余財産の分配・株主ごとに議決権を異なる扱いを行う旨の定款変更をする場合→4項です。

おわりに

以上、簡単ではありますが、株主総会の決議の種類についてみて参りました。

基本的には、会社法309条にその具体的な定めが書かれておりますが、司法試験で会社法を勉強した私どもは慣れているとはいえ、会社法は条文数がとても多く、難解な構造になっていることから、少しでもお悩みや分からないことがありましたら、会社法に詳しい弁護士にご相談いただけたらと思います。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 時田 剛志

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