化学熱傷で発生する労働災害について弁護士が解説

業務中に化学熱傷を負ってしまうということはありますが、化学熱傷は重症になりやすく、重大な後遺障害が残ってしまうこともあります。

このコラムでは、労災で化学熱傷を負ってしまった場合、労災からもらえるものや会社に対して請求するべきものなどについて詳しく解説します。

1 化学熱傷の労災認定基準とよくある事故例

1 化学熱傷の労災認定基準とよくある事故例

(1) 化学熱傷とはどのような状態か?

 化学熱傷(化学やけど)とは、強酸や強アルカリなどの化学物質が皮膚や粘膜に触れることによって生じる組織の損傷のことです。

通常の熱によるやけどとは異なり、原因となった化学物質を完全に洗い流すか中和するまで組織の破壊が深部へと進行し続ける危険性があるため、早期かつ適切な処置が必要となる深刻な怪我です。

(2) 労災として認められるための要件(業務起因性)

化学熱傷が労災として認められるためには、業務と怪我との間に因果関係(業務起因性)があることが求められます。

具体的には、「業務中に取り扱っていた化学薬品が原因であること」、「事業主の支配下にある工場や実験室などで発生した事故であること」などが考慮されます。

(3) よくある化学熱傷の発生シチュエーション

化学熱傷を負う労災としては、以下のようなシチュエーションが考えられます。

  • 工場の製造ラインで配管から腐食性の薬品が漏れ出し、顔や腕にかかってしまった。
  • 清掃作業中、業務用洗剤(強アルカリ性)が保護手袋の隙間から入り込み、重度の熱傷を負った。
  • 実験室で試薬を移し替える際、容器が破損して薬品が飛散し、目に入ってしまった。

2  化学熱傷で認められる後遺障害等級ともらえる金額

2  化学熱傷で認められる後遺障害等級ともらえる金額

(1) 該当する可能性のある後遺障害等級(7級〜14級など)

 化学熱傷が治った後にも、皮膚に火傷の跡(ケロイドや瘢痕)が残ってしまったり、関節が動かしにくくなったりする場合があります。これらは後遺障害として等級認定される可能性があります。

ア 醜状障害(傷跡)

顔や首などの露出面に大きな傷跡が残った場合、7級(女子の顔面など、※制度改正により男女差は撤廃されつつありますが、部位や大きさで異なります)、9級、12級などが認定される可能性があります。

イ 機能障害

やけどのひきつれにより関節の可動域が制限された場合、程度に応じて10級や12級などに該当する可能性があります。

ウ 眼の障害

 薬品が目に入って視力低下や失明が生じた場合、失明(1級〜)や視力障害(〜13級)が認定される可能性があります。

(2)各等級別のもらえる金額の目安

後遺障害等級が認定されると、労災保険から給付金が支給されます。

第1級〜第7級(障害補償年金): 毎年、給付基礎日額の131日分(7級)〜313日分(1級)の年金が支払われます。

第8級〜第14級(障害補償一時金): 一括で、給付基礎日額の56日分(14級)〜503日分(8級)の一時金が支払われます。

(3) まずは治療を行い、適切な後遺障害等級の認定を

化学熱傷を負ってしまった場合、まずは医師の指示に従い「症状固定(これ以上治療を続けても症状が改善しない状態)」となるまでしっかりと治療を続けることが最優先です。その後、残ってしまった症状に対して適切な後遺障害等級の認定を受けることが重要です。

3 その怪我、会社に「損害賠償」を請求できる可能性があります

3 その怪我、会社に「損害賠償」を請求できる可能性があります

(1) 労災保険だけでは「慰謝料」は支払われない

多くの方が誤解されていますが、労災保険から支払われるのは「治療費」や「休業補償」、後遺障害の「逸失利益に対する補償の一部」などであり、精神的苦痛に対する「慰謝料」は一切支払われません。

慰謝料や、労災保険でカバーしきれない損害については、会社側に対して別途損害賠償を請求する必要があります。

(2) 会社側の「安全配慮義務違反」のチェックリスト

会社には、労働者が安全に働けるように配慮する義務があります。

以下の項目に当てはまる場合、会社に損害賠償を請求できる可能性が高いです。

  • 保護メガネ、防毒マスク、耐薬品性の手袋などの適切な防護具が支給されていなかった。
  • 化学物質の危険性や、正しい取り扱い手順についての事前教育・研修が行われていなかった。
  • 作業場の換気設備や、万が一薬品を浴びた際の緊急シャワー・洗眼器などの安全設備が不十分だった。

4 弁護士に依頼するメリット

4 弁護士に依頼するメリット

会社への損害賠償請求は、労働者個人で行うのは非常に困難です。弁護士に依頼することで、会社側の安全配慮義務違反を法的に立証するための証拠収集や、適切な後遺障害等級を獲得するためのサポート、会社側との煩雑な交渉をすべて任せることができます。結果として、受け取れる賠償金額が大幅に増額するケースが多々あります。

5 当事務所のサポート内容

5 当事務所のサポート内容

当事務所では、化学熱傷を負われた労働者の方に向けて、労災申請のサポートから、適正な後遺障害等級認定のための医療機関との連携、そして会社に対する損害賠償(慰謝料等)の請求交渉まで、ワンストップでサポートいたします。

6 労災に強いグリーンリーフ法律事務所にご相談を

6 労災に強いグリーンリーフ法律事務所にご相談を

 化学熱傷は、激しい痛みや一生残る傷跡など、身体的・精神的に大きな負担を強いる重大な労働災害です。「労災が下りたから終わり」ではありません。

正当な補償と慰謝料を受け取るために、まずは労災問題に精通したグリーンリーフ法律事務所へご相談ください。

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 権田 健一郎

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