
会社や保険会社から示談金の提示を受けたとき、「これでやっと解決できる」とほっとされる方も多いでしょう。しかし、その金額は本当に適切な水準で計算されているでしょうか。交通事故と全く同じ構図が労災事故にも存在します。示談書にサインする前に、ぜひこの記事をご一読ください。労働災害での賠償金について、埼玉県大宮の弁護士が解説いたします。
会社から提示された示談金、実は「最低限の金額」かもしれません
会社の「労災上乗せ保険(使用者賠償責任保険)」の仕組みと保険会社の思惑

労働災害が発生した場合、国の労災保険だけではカバーしきれない損害を補填するために、多くの企業が民間の「使用者賠償責任保険(労災上乗せ保険)」に加入しています。
しかし、ここで重要なのが「誰が示談金を支払うのか」という点です。実際に保険金を支払うのは会社ではなく、会社が契約している保険会社です。
保険会社にとっては、できるだけ低い金額で示談を成立させることが利益につながります。その結果、被害者(労働者)は交渉のプロである保険担当者を相手に、一人で交渉しなければならない状況に置かれることになります。
保険会社が提示する金額は「任意基準」や「社内基準」と呼ばれる独自の計算式によるものが大半であり、裁判所が認める水準(裁判基準)と比べると大幅に低いケースがほとんどです。これは労災事故に限らず、交通事故でも全く同じ構図です。
保険会社の提示額と、弁護士が介入する「裁判基準」の差額

交通事故の分野では「保険会社からの提示額は弁護士に確認してもらうべき」という認識が広まっています。労災事故の民事賠償交渉も基本的にはこれと同じ仕組みです。
損害賠償額の算定基準には主に以下の三つがあります。一つ目は自賠責基準(最低限の基準)、二つ目は任意保険基準(保険会社独自の基準)、三つ目は裁判基準(弁護士・裁判所が用いる最高水準の基準)です。
保険会社が提示する金額は「任意保険基準」によるものが大半です。弁護士が裁判基準で交渉した場合、慰謝料・逸失利益などの主要な損害費目で数倍の差が生じることも珍しくありません。
サインする前に要確認!漏れがちな「損害賠償の費目」
将来の昇給が反映されていない「逸失利益」の計算ミス

逸失利益とは、後遺障害や死亡によって「将来得られなくなった収入」を賠償してもらうものです。この計算において、保険会社が意図的・無意識に低く算定してしまうケースが非常に多く見られます。
主なチェックポイントは次のとおりです。まず、基礎収入が現在の年収のみで計算されていないか(昇給・昇進が加味されていない)という点。次に、後遺障害等級が適切に認定されているか(低く認定されると逸失利益も低くなる)という点。また、就労可能年数の設定は適切か、退職金・賞与の損失が加算されているかという点も重要です。
特に若い方や技術職・専門職の方は、将来の昇給・昇進による収入増が見込まれます。これを正確に反映した逸失利益を算定することで、賠償額が大きく変わることがあります。
後遺障害慰謝料が低く見積もられていないか?

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級(1〜14級)に応じて金額が変わります。裁判基準(いわゆる「赤い本」基準)と保険会社の提示額の差は、等級が高いほど大きくなる傾向があります。
例えば後遺障害9級の場合、裁判基準による後遺障害慰謝料は約690万円です。これに対し、保険会社が任意基準で提示する金額は100万円台にとどまることも珍しくありません。入通院慰謝料も同様に、裁判基準(赤い本)と任意基準では大きな開きがあります。
また、後遺障害等級の認定自体が不当に低い場合には、異議申立てや弁護士による等級再申請によって等級が上がり、それに伴い慰謝料・逸失利益が大幅に増加することもあります。示談書にサインしてしまう前に、等級認定の妥当性についても必ず確認することが重要です。
会社との関係悪化を防ぎつつ、正当な賠償金を獲得する方法
弁護士が代理人として「保険会社」と直接交渉するメリット

「会社に迷惑をかけたくない」「今後も関係を保ちたい」という思いから、示談を急いでしまう方は少なくありません。しかし弁護士が代理人として介入することで、むしろ感情的な対立を避けながら、正当な賠償交渉を進めることができます。
弁護士に依頼する主なメリットは以下のとおりです。
第一に、交渉窓口が「弁護士 対 保険会社」となり、被害者本人が直接対峙する必要がなくなります。
第二に、裁判基準という客観的な数字をもとに交渉できるため、感情的なもつれが生じにくくなります。
第三に、示談書の内容をリーガルチェックし、将来的に不利になる条項(「一切の損害賠償を放棄する」などの文言)を事前に排除できます。
第四に、弁護士費用特約(任意保険)が使える場合は、実質負担ゼロで依頼できることもあります。
多くの弁護士事務所では、労災事案において「弁護士費用の一部を賠償金から支払う」後払い型の費用体系を採用しています。費用が心配な方も、まずは無料相談でご確認ください。
【事例】提示額が、弁護士の介入で大幅に増額したケースのカラクリ

製造業に従事していたAさん(35歳・男性)は、工場内の撹拌機の点検作業中に誤作動により右腕を骨折しました。労災認定を受け、後遺障害等級9級が認定されたところ、会社(使用者賠償責任保険)から示談金が提示されました。
内訳は、後遺障害慰謝料、逸失利益が(昇給未考慮・基礎収入を低く算定)、入通院慰謝料というものでした。
しかし、弁護士が介入して裁判基準で再計算したところ、後遺障害慰謝料、逸失利益、入通院慰謝料について裁判基準で算定を行い大幅に金額を増額できましたし、その他(休業損害の再計算・付添費等)の費目につきましても算定の上で提示しました。
その結果、大幅に増額した賠償金を獲得することができました。
この事例では提示額から大きく金額を増額した金銭を獲得できました。
増額の主な理由は、①後遺障害慰謝料への裁判基準の適用、②逸失利益における昇給・退職金損失の反映、③入通院慰謝料の基準見直し、の三点です。こうした大幅な差額は、労災を原因とする民事賠償事件では珍しくありません。
まとめ 示談書にサインする前に、一度弁護士へ

会社や保険会社から示談金が提示されたタイミングは、弁護士への相談が最も重要な時期です。一度示談書にサインしてしまうと、原則として後から金額を変更することはできません。
「提示された金額が適切かどうかわからない」「示談書の内容が心配」という方は、まず当事務所の無料相談をご利用ください。手元に示談書や提示額の書類がある状態でご相談いただくと、より具体的なアドバイスが可能です。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。





