包装梱包機械で発生する労働災害について弁護士が解説

労災の中でも、包装梱包機械による労災は製造業や物流現場で発生件数が多いです。
これらの機械による労災の場合、指の切断や重度の骨折など、身体に深刻な後遺障害を残すケースも少なくありません。
このコラムでは、労働者として注意するべき点を詳しく解説します。

1 包装梱包機械とは?

1 包装梱包機械とは?

(1)包装梱包機械とは?

包装梱包機械とは、製品をビニールや紙で包んだり(包装)、ダンボールに詰めたり、紐やテープで固定したり(梱包)する装置の総称です。

食品工場から通信販売の物流センターまで、現代の産業において欠かせない存在です。高速で正確な動作が求められるため、内部には強力な駆動部や鋭利なカッター、熱を発するシーラー(熱溶着部)などが備わっています。

(2)主な包装梱包機械の種類

製袋包装機: フィルムを袋状に成形しながら中身を詰め、熱で密封する機械。
自動梱包機: ダンボールにプラスチック製のバンドを巻き付け、締め付ける機械。
真空包装機: 袋の中の空気を抜き、食品などの鮮度を保つために密閉する機械。

2 包装梱包機械で多発する事故類型

2 包装梱包機械で多発する事故類型

包装梱包機械は複雑な可動部を持っているため、一瞬の不注意が大きな事故につながります。主な事故類型は以下の4つに分類されます。

(1)はさまれ・巻き込まれ

包装機械の労災で最も多いのが、回転するローラーや搬送ベルト、あるいはシール(密封)部分に手や指が引き込まれる事故です。
原因: 詰まった異物を取り除こうとして、機械を止めずに手を入れる。あるいは、手袋が回転部に巻き込まれる。

(2)激突・挟撃

ダンボールを組み立てるアームや、製品を押し出すプッシャーなどの往復運動する部品に身体を挟まれる事故です。
原因: センサーの死角に入り込んで作業をしていた、または安全カバーを外した状態で運転していた。

(3)火傷(熱傷)

袋を熱溶着する「ヒートシーラー」や、ホットメルト(熱可塑性接着剤)を塗布する装置に触れてしまう事故です。
原因: メンテナンス直後にまだ熱い部品に触れる、あるいは接着剤が飛散して皮膚に付着する。

(4)切れ・こすれ

袋を切断するカッターや、梱包用のワイヤー、鋭利な部品による負傷です。
原因: 刃物の交換作業中の不注意や、露出したカッター部分に誤って触れる。

3 包装梱包機械で発生する労働災害の現状

3 包装梱包機械で発生する労働災害の現状

(1)近年の発生状況

包装梱包機械に関連する労災は、依然として高止まりの傾向にあります。特に多品種少量生産の現場では、機械の設定変更(型替え)や清掃の頻度が高く、その作業中に事故が発生しやすくなっています。

(2)近年の傾向:ヒューマンエラーと安全装置の無効化

統計的には、「機械の稼働中」よりも「異常時の復旧作業中」や「清掃・点検中」の事故が目立ちます。
「少しの間だから」と、機械を止めずに内部に手を入れる。
作業効率を優先して、インターロック(ドアを開けると停止する安全装置)を意図的に無効化(キャンセル)している。
このような「慣れ」や「効率優先」の判断が、重大な結果を招いています。

4 労働安全衛生法と使用者責任

4 労働安全衛生法と使用者責任

(1)労働安全衛生法の定め

包装梱包機械を扱う現場では、労働安全衛生法および「労働安全衛生規則」により、厳格な安全基準が定められています。

原動機、回転軸等の切創防止(安衛則第101条): 労働者に危険を及ぼすおそれのある部分には、覆い(カバー)や囲いを設けなければなりません。
掃除、給油、検査等の際の運転停止(安衛則第107条): 機械の掃除や修理を行うときは、原則として機械の運転を停止しなければなりません。

(2)使用者責任

会社の従業員のミスや、安全対策の不備で労災に遭った場合、会社に対して使用者責任を追及できる可能性があります。

会社は、労働者が安全に働けるよう設備を整え、適切な教育を行う義務(安全配慮義務)を負っています。

5 労災保険給付と会社への損害賠償を並行して請求する方法

5 労災保険給付と会社への損害賠償を並行して請求する方法

労災保険給付は国から受ける給付であり、会社への損害賠償請求は会社を相手方とする請求ですので、両者を並行して行うことは可能です。

もっとも、以下の点には注意が必要です。

(1) 二重取り(不当利得)はできない

労災保険で既に給付された分(例:治療費)は、損害賠償の金額から差し引かれる可能性があります。
ただし、慰謝料や逸失利益(将来の収入の補填)については差し引かれません。

(2)請求期限(時効)に注意

労災給付と会社への損害賠償請求には以下のように時効がありますので、これらを徒過しないように注意が必要です。

労災給付:原則として事故から2年以内
損害賠償:事故から5年以内(2020年4月以降の事故)

6 労災保険で受け取れる給付の種類

労災保険で受け取れる給付には、主に、以下のようなものがあります。

(1)療養(補償)給付

治療費の全額を補償するものです。
病院での診察、入院、手術、投薬、リハビリなどの費用が対象です。
労災指定病院で受診すれば自己負担は基本的にゼロです。
基本的に、治療が必要な限り、治療費等が支給されます。

(2)休業(補償)給付

仕事を休まざるを得なくなった場合の給料の補償に相当するものです。
支給額は、休業4日目以降、給付基礎日額の80%(60%+特別支給金20%)です。
給付基礎日額は、事故前3か月の平均日給です。

(3)障害(補償)給付

後遺障害が残った場合の補償です。
障害等級(1〜14級)に応じて「一時金」または「年金」が支給されます。
1級~7級は年金、8級~14級は一時金が支給されます。
この他に、特別支給金(国から上乗せ支給)も支給されることがあります。

7 会社への損害賠償請求

7 会社への損害賠償請求

(1)どのような請求ができるか

労災が発生した場合、会社に対して損害賠償することが考えられます。
法律的には、使用者責任と安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求が考えられます。

(2)使用者責任

4(2)でご説明したとおり、会社の従業員の行為により、労災に遭った場合、会社に対して使用者責任を追及できる可能性があります。

(3)安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求

会社には安全配慮義務(労働者の生命・身体を守るべき義務)があります。
会社がこの義務に違反していた場合、会社は損害賠償責任を負う可能性があります。
この請求を行うためには、会社にどのような安全配慮義務があり、それにどのように違反したのかを証明する必要があります。
そのため、事実関係を十分に把握し、詳細な検討が必要となります。

8 弁護士に労災を依頼するメリット

8 弁護士に労災を依頼するメリット

(1)損害賠償請求が有利に進む

労災保険の給付とは別に、会社の安全配慮義務違反があれば民事上の損害賠償請求ができます。
弁護士に依頼すれば、慰謝料や逸失利益などの請求が可能です(労災保険ではカバーされないものです。)。

(2)会社や保険会社との交渉を代行してくれる

会社が非協力的・冷たい態度をとるケースでも、弁護士が交渉窓口になることで精神的負担が激減します。
また、弁護士に依頼することで、労災申請を渋る会社に対して、法的な対応を促すことも可能です。

(3)複雑な労災申請の手続きを代行・サポートしてくれる

各種申請書(障害補償給付など)の記入支援や提出代行が可能です。
弁護士が入ることで、労働基準監督署との対応もスムーズになります。
特に長期休業・後遺障害・死亡事故では手続きが煩雑になりやすく、そのような場合は、弁護に依頼する方が良いでしょう。

9 当事務所のサポート内容

9 当事務所のサポート内容

当事務所では、会社に対する損害賠償請求や後遺障害申請のご依頼を受けています。
ご依頼を受けている内容や弁護士費用については、以下のページをご参照ください。

https://www.g-rosai.jp/

労災は手続きが複雑であり、会社に対する損害賠償請求にも専門的な知識が必要となりますので、労災に遭われた場合は、是非お早めにご相談ください。

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 権田 健一郎

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