
本記事は、さいたま市大宮区にある、埼玉県内でトップクラスの弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の労災集中チームの弁護士が執筆しています。
仕事中に怪我をしてしまった時、「会社に迷惑がかかるのではないか」「会社が手続きをしてくれないのではないか」と不安に思う方は少なくありません。 実際、当事務所に寄せられる相談や、インターネット上の「よくある質問」を見ても、「会社はなぜ労災申請を嫌がるのか?」「労災申請は会社がやってくれるのか?」といった疑問が数多く寄せられています。
また、いざ申請しようとしても、「様式5号と7号の違いは?」といった書類の専門的な部分でつまずいてしまう方も多いようです。
この記事では、会社が労災を渋る背景と、自分自身で手続きを進めるための「書類(様式)」の正しい知識について、弁護士がわかりやすく解説します。
1.「労災申請は会社がやってくれる?」

「労災の手続きはすべて会社がやってくれるもの」と思っていませんか? 確かに、多くの企業では総務担当者などが代行してくれますが、法律上、労災保険の給付請求権は「被災した労働者本人(または遺族)」にあります。会社には手続きを補助する義務(助力義務)はありますが、申請そのものは労働者の権利なのです。
会社が労災を嫌がる理由
「よくある質問」でも上位に挙がるのが、「なぜ会社は労災を嫌がるのか?」という疑問です。これには主に3つの理由が考えられます。
- 労災保険料が上がるから(メリット制) 一定規模以上の事業所では、労災事故の発生件数や給付額に応じて、翌年度以降の保険料が増減する「メリット制」が導入されています。事故が増えれば保険料が上がるため、コスト増を嫌って労災を使わせたがらないケースがあります。
- 労働基準監督署の調査を恐れている 労災事故が発生すると、労働基準監督署による調査が入ることがあります。その際、安全管理の不備や、未払い残業代などの「別の違法状態」が発覚することを恐れる経営者もいます。
- 元請け業者への配慮(建設業など) 建設現場などでは、下請けの事故が元請けの評価(工事成績評定など)に影響することがあります。「元請けに迷惑をかけたくない」という忖度が働き、労災隠しにつながることもあります。
しかし、これらはすべて会社の都合であり、あなたが正当な補償を受ける権利を放棄する理由にはなりません。
2.自分で申請するなら必須知識!「様式5号」と「7号」の決定的違い

会社が協力してくれない場合や、自分で手続きを進める場合、最初にぶつかる壁が「どの書類を使えばいいのか」という問題です。 特に検索数が多いのが「5号と7号の違い」です。どちらも治療費(療養補償給付)に関する書類ですが、受診する病院によって使い分けます。
(1)様式第5号:労災指定病院に行く場合
- 対象: 「労災病院」や「労災指定医療機関」を受診するとき。
- 仕組み: 「現物給付」です。 病院の窓口に「様式第5号」を提出すれば、治療費を支払うことなく無料で治療を受けられます。病院が直接、国に治療費を請求してくれるため、患者さんの一時的な負担がありません。
- ポイント: 多くの総合病院や整形外科は指定を受けていますが、事前に「労災指定ですか?」と確認するのが確実です。
(2)様式第7号:それ以外の病院に行く場合
- 対象: 近くに労災指定病院がなく、指定外の病院やクリニックを受診したとき。
- 仕組み: 「現金給付(償還払い)」です。 指定外の病院では、一旦、窓口で治療費の全額(10割)を自分で立て替えて支払う必要があります。その後、「様式第7号」に領収書を添付して労働基準監督署に提出することで、後日、指定の口座に現金が振り込まれます。
- 注意点: 健康保険証は使いません。もし間違って健康保険(3割負担)を使ってしまった場合は、一度健康保険組合等で精算手続き(切り替え)が必要になり、非常に手間がかかります。最初から「労災です」と伝え、全額自費で立て替えるか、病院に相談しましょう。
3.会社が「事業主証明」を拒否したらどうする?

労災の申請書には、災害の原因や発生状況について会社が証明する「事業主証明欄」があります。 「労災隠し」をしようとする会社は、ここの署名・捺印を拒否することがあります。
しかし、諦める必要はありません。 事業主証明がなくても、労災申請は可能です。 その場合は、申請書に「会社に証明を求めたが拒否された」という事情を記載した別紙を添付すれば、労働基準監督署は申請を受理してくれます。労基署はその後、会社に対して調査を行い、事実確認を進めます。
4.まとめ:会社の顔色より、あなたの体を守ってください

「会社に迷惑だから」と労災を使わずに健康保険を使ったり、自費で治療したりすることは「労災隠し」という犯罪に加担することになりかねません。また、後遺障害が残った場合に適切な補償が受けられなくなるという、あなた自身にとっての大きなデメリットも生じます。
- 会社が嫌がっても、申請する権利はあなたにある。
- 病院によって「5号(直接払い)」と「7号(立替払い)」を使い分ける。
- 会社がハンコをくれなくても申請はできる。
もし、会社から「労災は使わせない」と圧力をかけられたり、手続きを放置されたりしてお困りの場合は、弁護士にご相談ください。
弁護士は、あなたの代理人として会社と交渉し、適切な労災申請や、場合によっては会社に対する損害賠償請求(慰謝料などの請求)をサポートします。
5.まとめ:決して一人で悩まないでください

労災事故は、一瞬にして被害者の人生を変えてしまうほどの影響力を持っています。失われた命や身体機能を取り戻すことはできませんが、残されたご家族や被害者ご本人の今後の生活を守るための金銭的な補償を得ることは、正当な権利です。
「会社に迷惑をかけたくない」「自分も悪かったから」と遠慮する必要はありません。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。労災分野では労災事故と後遺障害に集中特化した弁護士チームが、ご相談から解決まで一貫してサポートいたします。
初回相談無料:まずはお気軽にご状況をお聞かせください。
後遺障害労災申請のサポート:複雑な手続きもお任せいただけます。
全国対応・LINE相談も可能:お住まいの場所を問わずご相談いただけます。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。







