
食品加工、化学製品製造、建設資材の現場において、材料を均一に混ぜ合わせる工程は不可欠です。そこで多用されるのが撹拌機やニーダー(混練機)ですが、これらは強大なトルクと回転エネルギーを伴う機械であり、一瞬の不注意や安全対策の不備が、指や腕の切断、最悪の場合は命を落とすような重大な労働災害に直結します。
本記事では、撹拌機・ニーダー特有の事故リスクと、被災した際に会社に対してどのような法的責任を追及できるのか、実務に精通した埼玉県大宮の弁護士が詳しく解説します。
撹拌機・ニーダー(混練機)とは?

撹拌機とは、主に液体や粉体の中に回転する羽根(インペラ)を投入し、対流を起こして混合するための機械を指します。
一方のニーダー(混練機)は、より粘度の高い物質、例えばゴムやプラスチック、パン生地などの粘土状の原料を、強力な力で「練る」ことに特化した機械です。
これらの機械に共通しているのは、人間の力では到底抗えない強力な回転体と、ケースや壁面との間に生じる「噛み込み点」が存在することです。高トルクで回転する刃やスクリューは、一度対象物を捉えると止まることなく巻き込む性質があるため、安全装置の作動が極めて重要となります。
撹拌機・ニーダーで多発する事故類型

撹拌機やニーダーの事故には特有の傾向があり、その多くが深刻な外傷を伴います。
回転部への巻き込まれ・挟まれ
最も代表的な事故は、稼働中の回転羽根に身体の一部や衣類が接触し、そのまま内部に引き込まれるケースです。
撹拌機は粘性の高いものを扱うことが多いため、一度巻き込まれると自力での脱出はほぼ不可能であり、腕の複雑骨折や切断に至るケースが少なくありません。
点検・清掃中の誤作動
機械を停止させて内部を清掃している最中に、別の作業員が清掃中であることに気づかずスイッチを入れてしまう、あるいは残留していた圧力や慣性によって羽根が予期せぬ動きを見せるといった事故も頻発しています。
これは、電源を物理的に遮断する「ロックアウト」などの安全管理が徹底されていない現場で起こりやすい悲劇です。
原料投入時の転落・接触
大型の撹拌槽では、上部の開口部から原料を投入する際にバランスを崩して槽内へ転落したり、投入口付近にあるスクリューに手を巻き込まれたりする事故が発生します。
高い位置での作業を伴う場合、墜落防止措置の不備も重なり、被害がより深刻化する傾向にあります。
撹拌機・ニーダーで発生する労働災害の現状

厚生労働省の統計を確認すると、製造業における「はさまれ・巻き込まれ」事故の割合は常に高く、その中でも撹拌機やニーダーによる事故は後遺障害が残りやすいことが指摘されています。
現状の問題点として、生産効率を優先するために安全装置(インターロック)を意図的に無効化している現場が散見されることが挙げられます。蓋を開けても回転が止まらないように改造されていたり、防護カバーを取り外した状態で運用されていたりする場合、それは企業側の過失として、法的に重い責任が問われることが考えられます。
表題のケガが起こるケース

具体的な被災事例を挙げると、清掃作業中に安全装置が作動せず、突然動き出した羽根によって指を数本失ってしまうケースや、撹拌中のタンクに異物を発見し、咄嗟に手を差し入れたところを巻き込まれるといったケースが代表的です。
また、メンテナンス時に主電源は切っていたものの、油圧や慣性が残っており、部品を外した瞬間に駆動部が動いて指を挟まれるといった事故も後を絶ちません。これらはいずれも、作業手順の不備や機械の安全性能の欠如が根本的な原因となっています。
労働安全衛生法・民法715条と使用者責任

労災事故が発生した際、会社が負うべき法的責任には「安全配慮義務違反」と「使用者責任」の二つがあります。
労働安全衛生法および同規則では、回転体による危険を防止するための具体的な措置(覆いの設置や運転停止の徹底など)が細かく定められており、これらに違反して事故を招いた場合、会社は民事上の損害賠償義務を負います。
また、現場監督者の指示ミスによって事故が起きた場合でも、民法715条の使用者責任に基づき、会社は雇用主として賠償の責任を免れることはできません。
労災保険給付と会社への損害賠償を並行して請求する方法

被災した労働者は、国から支払われる労災保険だけでなく、会社に対しても損害賠償を請求できる権利を持っています。
労災保険で受け取れる給付の種類
労災保険からは、治療費にあたる療養補償給付や、仕事を休んだ期間の給料を補填する休業補償給付、障害が残った場合の障害補償給付などが支給されます。
しかし、これらはあくまで最低限の補償であり、被災者が受けた精神的な苦痛に対する「慰謝料」などは一切含まれていません。
会社への損害賠償請求
労災保険ではカバーしきれない入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、そして将来得られるはずだった利益を失ったことに対する逸失利益などは、会社に対して直接請求する必要があります。
特に重大な障害が残った場合、会社へ請求できる賠償額は、労災保険から支給される金額を遥かに上回ることが一般的です。
弁護士に依頼するメリット

労働災害に精通した弁護士に依頼することで、会社側が主張する「労働者側の不注意」という過失相殺を適切に抑え込み、正当な賠償額を勝ち取ることが可能になります。
また、医学的な知見に基づき、後遺障害等級の認定手続きを有利に進めるためのアドバイスも提供できます。
何より、精神的に追い詰められている被災者やご家族に代わって、会社との過酷な交渉をすべて引き受けることで、平穏な生活を取り戻す手助けとなります。
当事務所のサポート内容

当事務所では、特定社会保険労務士と弁護士の知見を融合させ、事故直後の証拠保全から労災申請、そして会社に対する損害賠償請求までを一貫してサポートしています。
機械の欠陥や安全管理体制の不備を徹底的に調査し、被害に見合った最大限の補償を受けられるよう尽力します。撹拌機やニーダーの事故でお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは私たちの専門的な知見を活用してください。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。





