養育費算定表と「特別の費用」の考え方

こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。

離婚を検討する際、多くの方が「子供にこれまで通りの生活や教育をさせてあげられるか」という不安を抱かれます。養育費の目安として広く使われる「算定表」ですが、実は私立学校の学費や習い事の月謝、将来の大学進学費用などは、その金額の中に十分に含まれていないことをご存知でしょうか。本コラムでは、養育費の基本から、算定表の金額に上乗せできる「特別の費用」の判断基準、損をしないための合意方法までを専門的な視点で分かりやすく解説します。

養育費の基本となる「算定表」とは何か?

養育費の基本となる「算定表」とは何か?

離婚時に養育費を決める際、実務で最も多く利用されるのが裁判所の公表している「養育費・婚姻費用算定表」になります。これは、支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)の年収、そして子供の人数や年齢により、標準的な養育費が算出できる便利な表となっています。

現在の算定表は2019年(令和元年)に改訂されたもので、現代の生活実態に合わせた金額設定になっています。しかし、ここで注意が必要なのは、この算定表が「子供が公立の小中高校に通うこと」を前提に作成されているという点です。

そのため、お子様が私立学校に通っていたり、高額な塾代がかかっていたりする場合、算定表の金額だけでは到底足りないという事態が起こり得ます。この「足りない部分」をどう扱うかが、養育費協議の大きな焦点となります。

「特別の費用」として認められる具体的なケース

「特別の費用」として認められる具体的なケース

算定表の金額に含まれない、個別に加算を検討すべき費用のことは、通常、「特別の費用」と呼ばれます。特別の費用としては、主に以下の項目が挙げられます。

①教育費(私立学校・大学進学など)

公立学校の学費を超える部分が対象となります。

  • 私立中学・高校の授業料や入学金
  • 大学の入学金や授業料
  • 専門学校の学費
  • 学習塾や予備校の費用

②医療費

通常の診察代ではなく、高額かつ継続的なものが対象となり得ます。

  • 歯の矯正費用(美容目的ではなく、噛み合わせ等の治療目的の場合)
  • 持病の治療費や入院費

③その他

高額な習い事の遠征費や月謝(プロを目指している場合)などが挙げられます。

特別の費用が認められるための「3つのハードル」

特別の費用が認められるための「3つのハードル」

お子様にかかる費用ですが、子のための費用であれば何でも特別の費用として認められる、というわけではありません。裁判所が加算を認めるかどうかは、主に以下の3つの要素で判断することになります。

①両親の合意があるか

相手方が私立進学を認めていたり、塾に通うことに賛成していたという事実は、加算を認めるうえで有利な事情になると考えられます。

②両親の学歴や社会的地位

両親が共に大学を卒業している場合や、家柄的に私立進学が当然視される環境にある場合などは、仮に合意がなかったとしても、加算が認められやすくなる一事情といえます。

③支払側の経済力

どんなに教育費が必要だとしても、当然、生活レベルを大きく超え、相手の生活が破綻してしまうような金額は認められません。したがって、相手方の収入に照らして分相応かどうかが問われます。

特別の費用の計算方法

特別の費用の計算方法

また、特別の費用を上乗せする場合、単純にかかった費用の半分を請求するわけではありません。一般的には、以下の計算方法を取ることが多いと考えます。

⑴: 実際にかかる費用(例:私立年間120万円)から、算定表に含まれている公立の学費(例:年間15万円)を差し引く。

⑵: 差し引いた金額(105万円)を、両親の基礎収入の比率(年収比)で按分する。

例えば、義務者の収入が高ければ高いほど、差額分の負担割合も大きくなり、公平に適うといえます。

「別途協議」という言葉の危険性

「別途協議」という言葉の危険性

なお、離婚協議書や調停条項で、将来の大学進学費用などについて「将来発生した時に別途協議する」という文言を入れることがよくあるかと思います。しかし、この書き方には、一般的に下記のようなリスクがあります。

例えば、別途協議するとなっている場合、いざ進学のタイミングになった際に協議をした結果、相手が「今の生活が苦しいから払えない」、「進学には反対だ」と言い出せば、再び調停や裁判を起こさなければなりません。

したがって、「私立大学の学費については、義務者の収入の〇割を負担する」、「入学金として〇万円を支払う」 など、できる限り具体的、かつ、強制執行が可能な形で書面に残しておくとよいでしょう。

まとめ

まとめ

養育費は、子供が大人になるまでの大切な「権利」です。算定表はあくまで目安に過ぎません。お子様の将来の夢や、これまでの生活水準を維持するために必要な費用があるのなら、妥協せずにしっかりと話し合うべきです。

もし「相手が支払いに応じてくれない」、「この金額で合っているのか不安」と感じられたら、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。

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■この記事を書いた弁護士

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弁護士 渡邉 千晃

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