「エンディングノート」は遺言書の代わりになる?「エンディングノート」の内容と法的拘束力について

最近よく耳にするようになった「エンディングノート」。万一の時に備えて資産状況や各種連絡先、死後の希望などを書き残しておくためのものですが、法的効力はあるのでしょうか?遺言書の代わりにすることはできるのでしょうか?弁護士が解説します。

最近話題の「エンディングノート」

最近話題の「エンディングノート」

「エンディングノート」とは、自分自身に何かあった時に備えて、家族が様々な判断や手続を進める際に必要な情報を残すためのノートです。
法律上の定義があるわけではなく、あくまで一般的な呼称です。

「自分の死後、残される家族が困ることのないように」と書き残すことが多いですが、作成する中で、自身のこれまでの人生を振り返り、今後の人生を考える契機になることもあるでしょう。

「エンディングノート」には何を書くの?

「エンディングノート」には何を書くの?

「エンディングノート」に決まった書式はありませんし、これとこれを書かないと「エンディングノート」とは呼べないといった決まりもありません。

地方自治体や法務局、信託銀行や葬儀社でも、独自の「エンディングノート」を用意していることがあります。
もちろん、ご自身で、手近にある用紙やノートに必要だと思う情報を記載し、それを「エンディングノート」としても構いません。

「エンディングノート」には、一般的に、次のような項目を記載することが多いようです。

遺言書の代わりにできる?

遺言書の代わりにできる?

さて、このように色々なことを書いておける「エンディングノート」ですが、その記載をもって遺言書の代わりにすることはできるのでしょうか。
信託銀行や葬儀社などでもらえる「エンディングノート」に、自分の希望する財産の分け方を書き込んでいくだけで正式な遺言書の代わりにできれば、こんなに楽なことはありません。

しかしながら、結論から申しますと、「エンディングノート」では遺言書の代わりにはなりません。

まず、「エンディングノート」のように自分で書くタイプの遺言書(自筆証書遺言)では、遺産目録を除き、本文の全文及び日付・氏名を自書し、押印しなければなりません。
「エンディングノート」では、上記のような形式的要件を満たさないことが多く、これを遺言書の代わりにしようと思っても、法的には無効となってしまいます。

また、「エンディングノート」では、入院介護などご自身の生前の事柄に関する希望や、葬儀やお墓などご自身の死後の事柄に関する希望も自由に書くことができますが、これらに法的拘束力はなく、あくまでも「希望」に過ぎません。
たとえ、「エンディングノート」に「遺言書」という表題をつけたとしても、こうした事実上の事柄に関する希望には、法的拘束力を持たせることはできないのです(正式な遺言書の中に書いても、法的拘束力を持たせることはできません)。

もちろん、だからといって、「エンディングノート」を書くのが無駄だというわけではありません。
「エンディングノート」があれば、家族や遺族はご本人の意思や希望を尊重して動くことが可能になりますし、その後の財産調査も楽になります。

ただ、「エンディングノート」は遺言書の代わりにはできないため、その性質や機能の違いをよく理解したうえで、活用することが重要です。

遺言書の作成は弁護士に相談を

遺言書の作成は弁護士に相談を

「自分亡き後、大切な資産をどのように相続人に振り分けるか、きっちりと定めておきたい」
「万が一にも、後から無効になってしまうような遺言書では不安だ」
という方は、一度弁護士に相談することをお勧めします。

「エンディングノート」を作った後、財産の分け方についてはきちんと法的拘束力を持たせておきたいという場合も、遺言書を作成しておくのがよいでしょう。

「エンディングノート」の作成に加えて、弁護士関与のもとで遺言書も作成しておけば、相続対策として安心です。
当事務所では、これまで数多くの方から遺言書作成(公正証書遺言)のご依頼を受けてきた実績があります。
ご希望の方は、是非、お気軽にご相談下さい。

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 田中 智美

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