弁護士と進める不倫慰謝料請求 相談から慰謝料獲得までの全7ステップについて弁護士が解説

パートナーの不倫が発覚した場合、深く傷つき、その精神的な苦痛を抱えながら、不倫相手や配偶者と直接交渉するのは、非常に大きな負担となるでしょう。

感情的な対立から話し合いが進まなかったり、相手方に証拠を隠滅されてしまったりするリスクも伴います。

弁護士を代理人に立てることで、精神的負担の軽減・交渉の有利化・手続の確実性といったメリットがございます。

本コラムは、弁護士に依頼してから慰謝料を受け取るまでの具体的な流れについて解説いたします。

【STEP 1】法律相談:弁護士に現状を伝える

【STEP 1】法律相談:弁護士に現状を伝える

弁護士に相談する前に、事前準備をすることで、よりスムーズな相談が可能です。

事前準備

1 これまでの経緯をまとめた時系列メモ

不貞行為が発覚した経緯や、相手方とのやり取りを時系列で整理しておきましょう。

2 集めた証拠のリスト

LINEやSNSのやり取りのスクリーンショット、写真、音声データ、ホテルや旅行の領収書など、集めた証拠を一覧にしておくと弁護士が素早く状況を把握できます。

3 不貞相手に関する情報の収集

氏名、住所、勤務先などの情報は、交渉を始める上で非常に重要です。

相談当日の流れ

弁護士が、相談者によって集めた証拠の有効性を専門家の視点からチェックし、さらにどのような証拠が必要かアドバイスします。

今回のケースで慰謝料請求が可能か、そして慰謝料の見込み額がいくらになるかを判断し、今後の見通しや弁護士ができることなど、具体的な説明を受けることが出来ます。

また、依頼した場合の着手金、成功報酬などの弁護士費用について説明を受けることが出来ます。

【STEP 2】正式に依頼する

【STEP 2】正式に依頼する

法律相談を経て、弁護士に依頼することを決めたら、正式な委任契約を締結することになります。

委任契約書には、依頼する業務の範囲や弁護士費用などが明記されています。

内容をしっかり確認し、疑問点があればその場で弁護士に質問しましょう。

着手金は、弁護士が業務に着手するにあたって最初に支払う費用です。この支払いが完了すると、弁護士は代理人として正式に活動を開始します。

【STEP 3】交渉準備と内容証明郵便の送付

【STEP 3】交渉準備と内容証明郵便の送付

弁護士は、依頼者の代理人としてまず交渉の準備を進めます。

依頼者が集めた証拠に加え、不貞行為の悪質性などを総合的に判断し、最適な請求額と交渉戦略を練り上げます。

その後、弁護士名義で、不倫相手や配偶者へ書面を送付します。この書面は多くの場合「内容証明郵便」で送られます。内容証明郵便には、以下2つの大きな効果があります。

まず、心理的プレッシャーを与えることが出来ます。「法的な手続きが始まった」という明確なプレッシャーを相手に与え、交渉に応じさせるきっかけとなります。

また、いつ、誰に、どのような内容の書面を送ったか、郵便局が証明してくれるため、後々のトラブルを防ぐことができます

送付する書面には、慰謝料請求の事実、請求額、支払期限、そして今後の連絡はすべて弁護士宛にするように求める旨などが記載されます。

【STEP 4】相手方との交渉

【STEP 4】相手方との交渉

書面を受け取った相手は、①素直に非を認め、支払いに応じる、②請求額の減額を求めてくる、③不貞行為そのものを否定してくる、などの反応を示すことがあります

弁護士は、上記反応を受けた後今後を見据えできる限り最適な手段をとり、交渉での解決を目指します。

【STEP 5】合意と示談書の作成

【STEP 5】合意と示談書の作成

無事交渉がまとまったら、後々のトラブルを防ぐために「示談書」を作成することになります。

示談書には、以下のような条項を盛り込みます。

・慰謝料の金額と支払方法:一括払いか分割払いか、支払期限などを定めます。

・接触禁止条項:不倫相手と今後一切接触しない約束をします。

・口外禁止条項:今回の件を第三者に口外しない約束をします。

・清算条項:今回の件に関して、これ以上の金銭請求は行わないことを確認します。

【STEP 6】交渉決裂の場合、訴訟への移行

【STEP 6】交渉決裂の場合、訴訟への移行

交渉がまとまらない場合、やむを得ず訴訟に移行します。

具体的に、どのような場合に裁判になるのかは下記の場合が挙げられます。

・相手方が不貞行為の事実を頑なに否定し続ける。

・慰謝料の金額について、全く折り合いがつかない。

・相手方が交渉を無視し続ける。

次に裁判の流れについて解説いたします。

1 弁護士が裁判所に「訴状」を提出

2 数カ月に一度、口頭弁論期日が開かれる

もっとも、通常は弁護士が出廷するため、本人の出廷は不要な場合がほとんどです。

原告被告双方が、書面でもって主張をし合い、裁判官が争点を整理し訴訟を進行します。

3 和解期日

裁判官が双方の主張が言い尽くされたと判断した段階で、和解勧告が出されることがあります。実際、判決に至る前に和解で解決するケースも少なくありません。

4 判決

和解に至らなければ、最終的に裁判官が判決を下し、慰謝料額が決定します。

事案にもよりますが、裁判が終わるまで半年から1年以上かかることもあります

【STEP 7】慰謝料の回収と解決

【STEP 7】慰謝料の回収と解決

交渉または裁判で慰謝料額が確定したら、いよいよ慰謝料の回収です。

まず、相手方から指定の口座に入金があったことを確認します。

その後、入金が確認できたら、弁護士に成功報酬を支払うことになります。

もし相手方が支払いを拒否した場合、裁判所の力を借りて、相手方の預貯金口座や給与債権、不動産などを差し押さえる「強制執行」という手続きをとる場合があります。

まとめ

まとめ

不倫慰謝料請求は、法的な知識と交渉術を駆使する複雑なプロセスです。

何より、精神的な負担が非常に大きいため、冷静な専門家を味方につけることが、最良の結果を生むための重要な一歩となります。

相談の際、ご自身のケースでの慰謝料の見込み額や、交渉から解決までの最善の道筋が見えてくるはずです。

決して一人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。

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グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 安田 伸一朗

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