リストラとレイオフの違いを解説

「会社よりリストラの対象であることを告げられた」「会社は自分に対して、『これはレイオフだからリストラと異なる』と説明するが納得いかない」「レイオフって違法なものではないの?」といった場面に直面し疑問を抱かれる方に向けて、「リストラ レイオフ」といった概念についてご紹介いたします。

これらについて聞きなれない方にもわかりやすいように書いてありますので、よろしければ、ぜひご一読ください。

リストラ、レイオフとは

リストラとは何か

リストラ、レイオフとは

リストラという言葉は、多くの従業員の方の間では、「会社を辞めさせられること」という意味で用いられます。すなわち、「解雇」と同じ意味で用いられるものです。

元々、リストラとは、「リストラクチャリング(Restructuring)」という言葉からきたものです。この言葉の意味は、「再構築」というものであり、会社の経営という文脈の元では会社事業活動の再構築という意味で用いられます。

会社の危機に面した経営者は、会社の事業のうち不採算事業の規模を縮小すること、または、その事業から撤退することで会社の経営を立て直そうとします。その場合、事業規模縮小や事業からの撤退によって、その事業に従事していた従業員の方々はリストラクチャリングの影響を受けます。

そこで、一般に、リストラクチャリングに伴って会社を解雇される従業員の方は「リストラされた」状況にあるとされています。

レイオフとは何か

レイオフとは、一時的な就労の中断と理解されています。リストラ(通常の解雇)と同様に、会社の業績が悪いなどの理由で、会社が従業員の就労を制限するものですが、一方で、レイオフは解雇された従業員を復職させることが前提とされています。

レイオフは、アメリカやカナダ等の欧米の国において行われるものです。欧米の雇用システムにおいては、従業員の業務内容をそもそも限定して雇用し、不景気によりある事業についての業務量が減少に転じた場合に、従業員をレイオフして業務量と人件費のバランスを調整します。

一方で、日本においては、業務内容を限定しないで従業員を雇用するため、特定の業務が減少に転じた場合に直ちにその人物にレイオフを命じることが法的に正当化されるかについては慎重に検討する必要があります(あるお仕事に必要なくなったのだから会社に来なくて良いとなるのではなく、他の業務に従事できないかが検討されやすいと考えられます)。また、一時的に就業を中断させるレイオフを、解雇と同様に日本の厳しい解雇規制にさらすべきかについても、慎重に考える必要があります。

そこで、日本国内でのレイオフという概念は、議論が成熟していませんので、今後の議論に注目をする必要があります。

もっとも、会社は「レイオフ」と説明をしているが実質は解雇をしている事例もありますので注意が必要です(この場合は不当解雇の問題です。)。

会社は「レイオフ」と説明しているが実質は解雇をしている場合

会社は「レイオフ」と説明しているが実質は解雇をしている場合

リストラとレイオフは、その目的が共通していることもありますが、従業員が職場に戻ることを前提としているか否かに違いがあります。そこで、著しく長い期間復職を認めないレイオフやそもそも復職をしていないのに「レイオフ」と説明している事例では、実質はリストラ(解雇)であると判断されます。

会社の業績悪化を理由とする解雇(整理解雇)についての判断基準

整理解雇は、具体的な実情を総合して解雇に至るのもやむを得ない客観的、合理的理由がない場合には、違法とされます。

この点については、東洋酸素事件(東京高裁昭和54年10月29日判決)が先例とされます。この判決は、整理解雇の有効要件を①人員削減の必要性、②解雇の必要性、③人選の合理性の「3要件」が明示されるとともに、④解雇に至る手続が労使間の信義則に反しないことを挙げています。そして、現在でもこの判決の考え方を基礎として整理解雇を違法とするか否かが判断されます。

具体例

例えば、「会社の業績は好調で新しく従業員も募集しているのに整理解雇をされた」場合や、「希望退職者の募集をしないで、いきなり自分が解雇された」場合、「経営者から自分は嫌われていたために狙い撃ちで解雇された」場合などには、その解雇を争うことができる可能性があります。

労働者がとるべき対応

労働者がとるべき対応

仮に、リストラやレイオフの対象とされてしまい納得がいかない場合、以下の対応をすることをおすすめします。

  • 労働基準監督署への相談
  • 弁護士への相談
  • 証拠収集

なお、労働基準監督署への相談と弁護士への相談の違いにつきましては、手前味噌ではありますが、「労働基準監督署と弁護士の比較」もご参照頂けますと幸いです。

まとめ

まとめ

リストラとレイオフの違いは、復職を前提とするか否かです。そして、「レイオフ」と称して実質的に解雇をする場合にも気を付ける必要があります。

弁護士の視点から見ても、リストラやレイオフの区別やリストラへの対応について、個々の事情を伺わなければ判断が難しいこともあります。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 小松原 柊
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