
今回は、さいたま市大宮区で開設以来30年以上、様々な法律相談を取り扱ってきたグリーンリーフ法律事務所が、労災事故によって足首可動域制限が起こるケースについてご説明します。
足首可動域制限の後遺障害が遺る事故の起こりやすい業種と場面

建設業
高所からの墜落・転落や、重量物の落下による足の受傷、鉄骨や木材など各種資材・道具に挟まれることにより、足首可動域制限の後遺障害が遺る事故が起こりやすいと考えられます。
製造業(特に重機械・金属加工など)
機械に足首が巻き込まれたり、重量物の落下による足の受傷、工場など製造現場でのすべり事故・転倒したりするなどにより、足首可動域制限の後遺障害が遺る事故が起こりやすいと考えられます。
運輸・倉庫業
荷物運搬中の転倒、フォークリフトに挟まれたりする事故、パレット・荷崩れなどによる足への受傷が考えられますので、足首可動域制限の後遺障害が遺る事故が起こりやすいと考えられます。
農業・林業
不整地での転倒、機械操作ミスによる足への受傷、重機の転倒事故、倒木が倒れてくることによる足への受傷などが考えられます。
警備・清掃・ビルメンテナンス業
濡れた床での転倒、階段や脚立からの転倒などによる足への受傷などが考えられます。
足首関節可動域制限が起こる理由

労災事故に遭ってしまい、足首関節の可動域制限が起こるのは、直接的な外傷による骨・靱帯・筋肉などの損傷のほかに、これらの治療後の事情が影響する場合もあります。
足関節周囲の骨折
骨がずれたまま癒合すると、関節面の形が変わり、滑らかな動きができなくなるほか、骨折治療のための長期固定が、関節周囲の軟部組織の拘縮(こわばり)を招き、足首可動域制限が残ってしまう場合があります。
靱帯損傷・足関節捻挫
重度の捻挫や靱帯断裂があった場合には、関節の安定性が失われ、痛みを避けるため動かさなくなります。その結果、靱帯が固い状態で治ってしまい、足首可動域制限が残ってしまう場合があります。
足関節の脱臼
関節の整復後も軟骨損傷や靱帯損傷が残り、正常な可動範囲を保てなくなり、足首可動域制限が残ってしまう場合があります。
感染・複雑骨折・開放創など重度外傷
感染や開放創により、治癒が遅れてしまうことがあります。
この場合、炎症により関節周囲組織の癒着や瘢痕化が進むことがあり、正常な可動範囲を保てなくなり、足首可動域制限が残ってしまう場合があります。
手術やギプス固定後の拘縮
手術後やギプス固定中に長期間関節を動かさないことで、関節包・筋肉・腱が硬くなってしまうことがあります。その結果、正常な可動範囲を保てなくなり、足首可動域制限が残ってしまう場合があります。
足首可動域制限の場合の後遺障害

足首が動かない場合の後遺障害等級
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
第8級7号 | 下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
第10級11号 | 下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの |
第12級7号 | 下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの |
どのように認定されるか
どのくらいの可動域制限があるか、を医師に判断してもらい、それを前提に、可動域制限の後遺障害等級を認定してもらいます。
健康な場合において曲がる角度と、後遺障害等級が認定される角度については、次のような表で整理されます。
等級 | 主要運動 | ||
背屈 | 底屈 | 合計 | |
正常値 | 20 | 45 | 65 |
8級7号 | 5 | 5 | 10 |
10級11号 | 10 | 25 | 35 |
12級7号 | 15 | 35 | 50 |
後遺障害慰謝料
不幸にして後遺障害が残ってしまった場合の慰謝料は、等級に応じ、交通事故における後遺障害等級に応じた慰謝料額を参照することが実務上行われています。
【後遺障害等級 慰謝料】
第1級 | 第2級 | 第3級 | 第4級 | 第5級 | 第6級 | 第7級 | |
2800万円 | 2370万円 | 1990万円 | 1670万円 | 1400万円 | 1180万円 | 1000万円 | |
第8級 | 第9級 | 第10級 | 第11級 | 第12級 | 第13級 | 第14級 | 等級無し |
830万円 | 690万円 | 550万円 | 420万円 | 290万円 | 180万円 | 110万円 |
後遺障害等級認定とは

後遺障害の認定を受けるためには医師からの診断書が必須になります。しかし、医師の作成した診断書の記載内容によっては、本来であれば認定を受けることができた後遺障害も認定をうけることができないといったケースもあります。
後遺障害の認定に強い弁護士であれば、医師へのアドバイス等を行い、適切な後遺障害の認定を得られる可能性を高くすることができます。
ぜひ早期に後遺障害認定に精通した弁護士に相談をし、どのようにしたら後遺障害認定を受けることができるのか、アドバイスを受けてください。
会社に損害賠償請求する場合

労災給付は、労働者が仕事中に遭難した事故に対する一定の保障を提供しますが、必ずしも、その損害の全額が補填されるとは限りません。
また、事故が、企業や使用者の安全配慮義務違反によるものであった場合には、労災給付では補償されない損害が生じることがあります。
このように、企業や使用者に安全配慮義務違反が認められる場合、企業や使用者に対して民事訴訟を起こし、損害賠償を請求することが可能と考えられます。
当事務所で扱った事例(当事者特定できなくするため、事情の一部を加工しています)
勤務先工場内で作業中の原告が、足首を、クレーンで運搬中の資材に挟まれるという事故に遭ったもの。
原告は複雑骨折の障害を負ってしまい、感染症の治療も長引いたため、足関節の可動域制限が残存してしまいました。
労災を受給しましたが、会社側には安全配慮義務違反があったことから訴訟を提起し、後に和解しました。
弁護士介入のメリット
①会社に対して代理人として交渉を行うことができる
弁護士は、社労士や司法書士と違い、被害者の代理人として交渉を行うことができます。
会社との交渉は在職中であっても退職された後であっても一般の方には負担が大きいと思いますし、法的な内容になると交渉の能力も必要になります。交渉の仕方によっては請求できる金額も変ってきます。
②労災申請のみならず、慰謝料を含めた損害の賠償請求まで可能
労基署に対する労災申請は最低限の補償でしかありません。これとは別に、逸失利益、慰謝料等の賠償請求が可能な場合があります。弁護士であれば、労働者の代理人として、労働審判、民事訴訟等の方法により使用者に対し損害賠償請求が可能です。
③労災保険の申請をサポート
労働災害事故によって、負傷してしまった場合、労災保険の給付が受けられます。
ところが、会社(事業主)が労災保険の申請を拒否することがあります。
しかし、会社の協力を得られなくても、労災保険の申請は可能です。
弁護士に相談・依頼することで、迅速な給付を受けることが可能となります。
④会社を訴えざるを得ない場合もあります。
不幸にして労災事故に遭ってしまい、労災からの給付だけでは損害の填補が不足する場合には、会社を訴えざるを得ない場合があります。
様々な検討点を経て賠償請求をしていくことになりますので、弁護士のサポートは必須と考えています。
賠償請求について、グリーンリーフ法律事務所ができること

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴
開設以来、数多くの労災を含む賠償に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、賠償に精通した弁護士が数多く在籍し、また、労災専門チームも設置しています。
このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・労災専門チームの弁護士は、労災や賠償に関する法律相談を日々研究しておりますので、労災事件に関して、自信を持って対応できます。
なお、費用が気になる方は、上記HPもご参照ください。
最後に

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。