
不倫というものについて世間の風当たりが強い状況が続いています。
既婚者と良からぬ関係となる不倫が一般的に許されない行為であることは明らかですが、不倫をしたこと自体が犯罪となり刑罰を科されるということはあるのでしょうか?
今回は、不倫は犯罪になるかというテーマについて解説をしていきます。
不倫とは?

まず何をしたら不倫になるかという問題があります。
既婚者が配偶者以外の人物と親しげに歩いていたら不倫なのか、手を繋いでいたら不倫なのか、キスをしたら不倫なのか、一線を超えて体の関係をもったら不倫なのか、何をもって不倫と考えるかについては人それぞれの考えがあるところかと思います。
法律上、不倫という用語は使われておらず、それに代わるものとして不貞行為という用語が使われますが、不貞行為は配偶者以外の者と性的関係をもつことと定義されています。
そのため、法律の世界では既婚者と一線を越えて体の関係をもつこと=不倫(不貞行為)という扱いがされているということになります。
不倫は犯罪か?

犯罪とは、刑法などの刑罰法規に定められた行為類型に該当する違法な行為のことをいいます。
分かりやすいものとしては、窃盗、詐欺、傷害等がありますが、犯罪を行うと警察に逮捕されたり、刑事裁判を経て刑罰を科されることもあります。
人を殴って怪我をさせてしまった場合、刑事上の責任(自身の行為がどの程度の刑罰に値するか)を問われる可能性があることはもちろん、被害者の治療費や慰謝料等について民事上の責任(自身の行為の結果としていくらを支払わなければならないか)を問われる可能性があります。
不倫をした場合、不倫をされた配偶者から民事上の慰謝料請求を受けることがあることは周知の事実ですが、それに加え犯罪行為として刑事上の責任を問われるということになるのでしょうか。
結論として、現行法において不倫は犯罪とはされていません。
言い換えれば、不倫自体を犯罪として処罰するという内容の刑罰法規は存在しません。
不倫をしたことで刑事上の責任が問われるケース

不倫自体を犯罪として処罰する内容の刑罰法規は存在しないと説明しましたが、不倫の当事者、不倫に至る経過、不倫後の対応に関して刑事上の責任が問われるケースは存在します。
不倫の当事者

不倫の相手が成人した人物であれば問題はないのですが、不倫の相手が未成年である場合には刑法や各都道府県が定める青少年保護条例に違反するとして犯罪となる可能性があります。
不倫の相手が13歳未満の場合、または、13歳以上16歳未満かつ自身と5歳以上の年の差がある場合には刑法の不同意性交罪が成立します。
不同意性交罪の罰則は5年以上の有期拘禁刑と定められています。
不倫の相手が18歳未満の場合、埼玉県であれば埼玉県青少年健全育成条例の淫らな性行為等の禁止規定に違反します。
淫らな性行為等の禁止規定に違反した場合の罰則は2年以下の有期拘禁刑または100万円以下の罰金と定められています。
不倫に至る経過

性行為が不倫の当事者の合意に基づいて行われる場合は基本的に問題となりませんが、不倫相手に性行為を強いた等の状況になれば刑法上の不同意性交罪が成立します。
「強いた等」の内容として考えられるのは、不倫相手を殴ったり脅したりして性行為をした場合やお酒や薬物の影響により不倫相手の判断能力が低下している状態を利用して性行為をしたという場合があります。
不同意性交罪の罰則は5年以上の有期拘禁刑と定められています。
不倫後の対応

不倫が発覚した後、不倫相手との接触がなくなるケースでは問題ありませんが、その後も一方的に不倫相手につきまとったりした場合にはストーカー行為等の規制等に関する法律のストーカー行為の禁止規定に違反します。
ストーカー行為の禁止規定に違反した場合の罰則は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定められています。
また、ストーカー行為について公安委員会から禁止命令を受けた状態で再度ストーカー行為をした場合の罰則は2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金と定められています。
まとめ

今回は不倫は犯罪になるかというテーマについて解説をしてきました。
不倫をした場合、民事上の慰謝料請求を受けることはありますが、例外的な場合を除き不倫をしたこと自体が犯罪になることはありません。
他方で、不倫が犯罪でないとしても、不倫をしたことが発覚した場合にはそれ相応の社会的ないし金銭的ダメージを負うことになりますので、不倫をすることにリスクがないということにはなりません。
既に不倫関係にある、または近く不倫関係になる可能性があるという場合には、今回解説をした内容を踏まえ、今後の対応についてご検討いただければ幸いです。
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