不倫をされた…許せない!配偶者や不倫相手に何ができる?

配偶者に不貞をされれば、裏切られたと深く傷つき、今後の夫婦関係をどうすべきか考えなければならないこともあるでしょう。また、配偶者と不貞をした不倫相手に対し、責任を取ってもらいたいと考えることもあるでしょう。

いくら不貞をされたからと言って、配偶者や不倫相手に対し、何を請求しても許されるというものではありませんから、法的にどのような責任を取らせることができるのかを知ることは、不倫をされた被害者側の今後を見つめ直すために大切なことです。

そこで今回は、不倫をされ許せない気持ちになっているとき、どのようなことができるか、今後の選択肢について、解説していきます。

不倫をされたとき、許せない気持ちを配偶者や不倫相手にどのように伝え、責任を取ってもらえるか

そもそも不倫とは

不倫をされたとき、許せない気持ちを配偶者や不倫相手にどのように伝え、責任を取ってもらえるか

不倫は、法律上は「不貞」などとも表現されていますが、民法上の不法行為に該当するものです。

その意義としては、「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」とされています。

不倫によって生じる責任

不倫によって、夫婦のうち当該不貞行為をした側と、その不倫相手にはそれぞれ責任が生じます。

不貞行為をした配偶者の側は、民法上の「離婚事由」に当たる行為をした、という意味で責任を負っていますし、不貞行為によって配偶者に精神的苦痛を与えたとして、慰謝料を支払うという責任もあります。

不倫相手についても、同じように慰謝料を支払うべき義務を負うといえます。

不倫相手についても、同じように慰謝料を支払うべき義務を負うといえます。

不倫をされた側が、不倫した配偶者に対しできること

不倫をされてしまった側の配偶者としては、不倫した配偶者に対し、以下のような対応をすることが考えられます。

  • 離婚する または 離婚せずに婚姻生活を続ける
  • 慰謝料の請求をする

慰謝料の請求は、離婚をしなくても配偶者に求めてよいものではありますが、実際には夫婦生活をやり直そうとなった場合に、金銭の支払いを求めずに反省だけさせて終わる、ということも多いかもしれません。

離婚するという選択肢

既に述べているとおり、不倫(不貞)は離婚事由といって、法律上離婚を請求する根拠となります。夫婦関係は、信頼関係なくして継続しがたいものですから、不貞行為により信頼関係を失えば、当然裏切られた側である不倫された側の配偶者は不倫をした配偶者に離婚の請求をする余地があります。

「不倫をした配偶者を許すことはできない」と感じたのであれば、離婚を求めるということも選択肢の一つとなるでしょう。

離婚しないという選択肢

上記のとおり、不倫は離婚事由に当たる行為ですが、そうであるからといって不倫をされてしまった側が「離婚しなければならない」というわけではありません。

決して不倫した配偶者のことは許せないけれども、離婚できない事情があるという場合、やむを得ず婚姻生活を継続することもあるでしょう。

特に、お子様が小さく、離婚した後の将来が心配であるという場合は、離婚出来ないというケースも多いかもしれません。

また、不倫した配偶者が反省をしているから、不倫した過去を許して復縁するということもあるかもしれません。

どちらであっても証拠が大事

離婚をするとしても、しないとしても、離婚したいけれども離婚できないというケースでも、配偶者が不倫をしたという証拠はきちんと残しておきましょう。

不倫相手とのメールやLINEでのやり取り、ラブホテルに入っていった写真や、一緒にいるところの音声データなど、画像・動画は有力な証拠です。

また、配偶者自身に誓約書を書いてもらうなど、不倫の事実そのものや、それに対し責任を認めた証拠も取っておけば、後で事実関係を争った時にも利用することができます。

離婚しないが、別居をするという選択肢もある

離婚はしたくないが、不倫した配偶者とは一緒に暮らせない、ということもあるでしょう。

そのような場合は、とりあえず別居をしておく、ということもあるかもしれません。

このような事情で別居を開始したとしても、夫婦の扶養義務はなくなっていませんから、不倫した側の収入が大きく、また子を連れて別居した場合など、不倫した配偶者がなお婚姻費用を払い続けなければならないでしょう。もちろん、一般的には別居状態になった方が経済的には不安定になりがちですし、不倫した配偶者よりも不倫された側の配偶者の方が相当高収入という場合、婚姻費用を払わなければならないというケースもあります。しかし、配偶者が不倫したために別居をすることになったという場合、その配偶者からの婚姻費用請求は「信義に反し許されない」としているのが現在の裁判所の運用です。

このように判断された場合、仮に不倫した配偶者が子どもの監護者となっていても、「不倫した配偶者の生活費部分は支払う義務はなく、子どもの生活費部分(養育費相当額)のみ払えば足りる」とされています。

不倫をしてしまった側から、離婚を請求してくることもないではありませんが、現在の裁判所の考え方では、「離婚事由を作ってしまった側からの離婚請求は、原則認めない」としていますので、このような「離婚すると将来が不安だ」というケースでは「とりあえず別居を続ける」ということを選択肢として考えてもよいかもしれません。

不倫をされた側が、不倫相手に対しできること

不倫をされた側が、不倫相手に対しできること

不倫した配偶者に対しては、離婚する・離婚せずに婚姻費用を払い続けさせる・反省させて復縁する、という選択肢があると思いますが、不倫相手に対しては基本的には謝罪を求めたり、配偶者との絶縁、慰謝料を払ってもらう、などの責任の取らせ方が考えられます。

その中でも、中心的な責任としては、やはり慰謝料の支払義務が挙げられるでしょう。

慰謝料の請求相手

不貞行為が不法行為として精神的苦痛をもたらしたのであれば、その不法行為をした主体こそが賠償義務を負う、つまり慰謝料を支払うべき当事者ということになります。

不貞行為の主体は、配偶者自身と不貞相手ということになります。

不貞をされた方は、自分の配偶者だけに請求してもよいし、不貞相手だけに請求をしてもよいし、この両者に連帯して支払えと請求してもよいのです。

慰謝料の認定について

慰謝料の認定について

不貞慰謝料の相場って?

不貞慰謝料の請求方法としては、裁判に限らず、交渉や調停によって合意して支払いを約束してもらうこともあります。

交渉や調停の場合、相手方が真意に基づいて支払義務を認めれば特にいくらを慰謝料として請求しなければならない、というものでもありません。

しかし、裁判の場合は、裁判官が当該不貞の有無を判断し、その内容を考慮して、慰謝料をいくらと決めることになります。裁判に関しては、慰謝料の認容額の傾向というものがあり、おおよそ100万円から300万円の範囲で認めているのではないかと考えられ、平均値としては150万円程度であるといわれています。

慰謝料の増減に影響する要素

慰謝料について、「このような要素で判断せよ」と法律などで定められているわけではありませんが、傾向としては以下のような要素があるのではないかとされています。

①不貞相手の収入など(高収入であれば増額の傾向)
②不貞に伴い妊娠をした(妊娠があれば増額の傾向)
③被害者が不貞により心身に影響が生じた(影響があれば増額の傾向)
④不貞により離婚に至ったり別居に至るなど、婚姻関係に影響があったか(悪影響が大きいほど増額の傾向)
⑤求償権を放棄したか(放棄していれば減額される傾向)
⑥その他不貞行為の悪質性など

が例として挙げられると思います。

まとめ

まとめ

今回は「不倫をされて、配偶者や不倫相手を許せない」と思った場合の対応方法等について説明をしました。

不倫した配偶者と離婚するのか、それとも反省させて復縁するのか、別居をしてみて様子を見るか、不倫相手に対しては何を求めるのか。

誰に対し、どのような請求をするかによって、対応は変わってきます。ご自身にとって一番良いのはどの選択肢なのか、必要に応じて弁護士等の助言も受けながら、できる限り後悔の少ない判断を目指しましょう。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 相川 一ゑ

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