
死亡事故の主な業種別では、「建設業」が9人(450%)増の11人で最多

先日、埼玉県内の建設会社が社員に違法な長時間労働をさせたとして書類送検されたというニュース(※1)が報じられました。
※1
出典:埼玉新聞 2023年2月15日公開記事「建設会社と社長を書類送検 社員に月123時間超の残業させた疑い さいたま労基署」(https://www.saitama-np.co.jp/articles/137891/postDetail)
※上記記事タイトル、公開日は私がアクセスした時点のものです。正確な情報は出典元をご確認ください。
このニュースは建設業界における労務管理の問題点を浮き彫りにするものですが、建設現場では、労働時間だけでなく、作業中の安全確保もまた、労働者の生命と健康を守る上で極めて重要な課題です。
特に建設業の現場では、高所からの墜落・転落事故が後を絶たず、ひとたび発生すれば死亡や重篤な後遺障害につながるケースも少なくありません。
さいたま市大宮区で労災問題に力を入れている弁護士として、今回はこのニュースを機に、建設現場における墜落・転落事故の危険性と、万が一事故に遭ってしまった場合の労災申請、そして会社の責任について解説いたします。
建設現場に潜む墜落・転落の危険性

建設現場は、常に危険と隣り合わせの環境です。厚生労働省の統計(※2)を見ても、労働災害による死亡者数のうち、建設業は常に高い割合を占めており、その中でも「墜落・転落」が事故の型別で最多となっています。
※2 参考:厚生労働省「労働災害発生状況」等。具体的な統計データは年度によって変動しますので、最新の情報をご確認ください。
具体的には、以下のような状況で事故が発生しやすくなります。
・足場や仮設通路からの墜落・転落: 組立・解体中の不備、手すりの未設置、開口部の放置など。
・屋根や梁など高所作業中からの墜落・転落: 安全帯の不使用・不適切な使用、滑りやすい屋根材など。
・脚立やはしごからの墜落・転落: 不安定な設置、無理な体勢での作業。
・重機や車両からの転落: 安全な昇降設備の不備など。
これらの事故は、ほんの少しの油断や、安全対策の不備が原因で発生します。「慣れているから大丈夫」「これくらいなら問題ないだろう」といった過信や、「工期に間に合わせるために安全対策を省略してしまった」という判断が、取り返しのつかない事態を招くのです。
会社の「安全配慮義務」とは?

事業者は、労働契約法や労働安全衛生法に基づき、労働者が安全で健康に働けるよう配慮する義務(安全配慮義務)を負っています。建設現場においては、特に墜落・転落防止措置を講じることが強く求められています。
具体的には、
適切な足場の設置、作業床の確保
安全ネットや手すりの設置
安全帯(要求性能墜落制止用器具)の使用徹底と適切な教育
開口部への囲いや覆いの設置
悪天候時の作業中止判断
など、多岐にわたる対策が必要です。
もし、会社がこれらの安全対策を怠った結果として事故が発生した場合、会社は安全配慮義務違反として、被災した労働者やそのご家族に対し、損害賠償責任を負う可能性があります。
墜落・転落事故は「労災」です。そして会社の責任も問える場合があります。
建設現場での作業中に墜落・転落事故に遭い、ケガをしたり、残念ながらお亡くなりになったりした場合、それは労働災害(労災)として認定される可能性が非常に高いです。
労災認定されれば、
療養(補償)給付: 治療費や入院費など
休業(補償)給付: 療養のために働くことができない期間の賃金補償
障害(補償)給付: 後遺障害が残った場合の年金または一時金
遺族(補償)給付: 労働者が死亡した場合の遺族への年金または一時金
葬祭料(葬祭給付)
といった給付を労働者災害補償保険から受けることができます。
さらに、前述のとおり、事故の原因が会社の安全配慮義務違反にあると認められる場合には、労災保険からの給付とは別に、会社に対して慰謝料や逸失利益(事故がなければ得られたはずの収入)などの損害賠償を請求できることがあります。
例えば、
「安全帯のフックをかける場所がなかった」
「手すりが設置されていなかった」
「無理な高所作業を指示された」
「十分な安全教育を受けていなかった」
といったケースでは、会社の責任が問われる可能性が高いと言えるでしょう。
弁護士にご相談ください~事故後の適正な補償と再発防止のために~

もし、あなたやあなたのご家族が建設現場での墜落・転落事故に遭われてしまったら、どうかお一人で悩まず、私たち弁護士にご相談ください。
事故直後から弁護士が関与することで、
労災申請手続きの適切なサポート、アドバイス
事故状況の正確な把握と証拠保全(現場写真、目撃者の証言確保など)
会社側の責任(安全配慮義務違反)の有無の調査・検討
会社や保険会社との示談交渉、損害賠償請求
後遺障害等級認定のサポート
万が一、会社が責任を認めない場合の訴訟対応
など、被災された方とご家族の権利を守るために、専門的な立場からサポートいたします。
特に、会社側が「本人の不注意だ」と責任を転嫁しようとしたり、提示された賠償額が不当に低かったりするケースも少なくありません。そのような場合でも、弁護士が間に入ることで、法的な根拠に基づいた適正な主張を行い、納得のいく解決を目指すことができます。
当事務所「弁護士法人グリーンリーフ法律事務所(https://www.g-rosai.jp/)」は、さいたま市大宮区に事務所を構え、これまで多くの労災案件、特に建設業における事故案件にも対応してまいりました。建設現場の特殊性や、事故が被害者やご家族に与える影響の大きさを深く理解しております。
おわりに~「安全第一」の徹底と、万が一の備えを~

建設業に従事される皆様は、日々の業務において「安全第一」を徹底されていることと存じます。しかし、それでも事故は起こり得ます。
万が一、事故に遭ってしまった場合には、ご自身の権利を正しく理解し、適切な補償を受けることが重要です。
「こんなことで相談していいのだろうか」「費用が心配」といったご不安もあるかもしれませんが、当事務所では労災に関する初回のご相談は無料です。
事故後の対応に少しでも疑問や不安を感じたら、まずは私たち専門家にお話をお聞かせください。
私たちは、被災された方が一日も早く心身ともに回復され、適正な補償を受けられるよう、全力でサポートいたします。
そして、事故の再発防止に繋がるよう、企業側の安全意識向上にも働きかけていきたいと考えています。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。