
弁護士の視点から「外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)」について解説します。
外貌醜状とは?

外貌醜状とは、交通事故や労災事故、あるいは暴行などの不法行為によって、顔、頭、首など、人目につきやすい部分に傷跡(瘢痕、線状痕、組織陥没、色素沈着など)が残り、それが美容的・整容的に見て「醜い」と評価される状態を指します。
労働災害では、やけど、外傷に伴う傷跡などがこれに当たることがあります。
弁護士が外貌醜状に関わるのは、主にこれが損害賠償請求(特に後遺障害)の対象となる場合です。
外貌醜状が問題となる場面

・交通事故
加害者側の自賠責保険や任意保険に対して、後遺障害として損害賠償を請求するケース。
・労災事故
業務中や通勤中の事故により、労災保険に対して障害(補償)給付を請求するケース。
損害賠償請求における外貌醜状の位置づけ

外貌醜状が残ってしまった場合、被害者は主に以下の損害について賠償を求めることができます。
・後遺障害慰謝料
外貌醜状が残ったことによる精神的苦痛に対する賠償です。
後述する後遺障害等級に応じて、労災保険から障害補償給付が受けられます。
ただし、一定の基準額があります。
弁護士が介入する場合、さらに、労災事故自体に第三者の過失や会社側の安全配慮義務違反がある場合、裁判基準(弁護士基準)での後遺障害慰謝料の請求を目指します。
・逸失利益
外貌醜状が原因で、将来的に仕事に支障が出たり、昇進・転職・就職などで不利になったりして、収入が減少すると考えられる場合に請求できる損害です。
外貌醜状も後遺障害であり、将来の収入減少に結びつく可能性があるため、これらの費用を慰謝料とは別に請求できる場合があります。
ただし、外貌醜状「のみ」を理由とする逸失利益は、特に男性や、外見が重視されない職種の場合、その労働能力への影響が限定的であるとして、認められにくい傾向があります。もっとも、モデル、接客業など外見が重視される職業の場合、あるいは醜状の程度が著しく、対人関係に支障をきたすような場合には、逸失利益が認められる可能性が高まります。
近年の判例では、性別のみで判断するのではなく、醜状の程度や部位、被害者の年齢、職業、生活状況などを総合的に考慮して、逸失利益の有無や程度を判断する傾向が強まっています。
弁護士は、これらの要素を具体的に主張・立証し、適正な逸失利益の獲得を目指します。
後遺障害等級認定

外貌醜状が後遺障害として認められるためには、労災保険の基準に基づき、等級認定を受ける必要があります。
主な等級は以下のとおりです。
第7級の12「外貌に著しい醜状を残すもの」
頭部:手のひら大以上の瘢痕、頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
顔面部:鶏卵大以上の瘢痕、10円硬貨大以上の組織陥没、鼻や耳の大部分の欠損など
頸部:手のひら大以上の瘢痕
第9級の16「外貌に相当程度の醜状を残すもの」
顔面部:長さ5cm以上の線状痕で、人目につく程度以上のもの
(労災基準。自賠責では通常12級だが、併合等で考慮される場合がある)
第12級の14「外貌に醜状を残すもの」
頭部:鶏卵大以上の瘢痕、頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損
顔面部:10円硬貨大以上の瘢痕、長さ3cm以上の線状痕で、人目につく程度以上のもの
頸部:鶏卵大以上の瘢痕
第14級の4 (上肢) / 5 (下肢)「上肢/下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの」
腕や脚の日常的に露出する部分の傷跡も対象となります。
<認定のポイント>
・部位
頭部、顔面部、頸部が中心ですが、上肢・下肢の露出面も対象になります。
・程度
単なる傷跡ではなく、「人目に付く程度以上」であることが求められます。瘢痕の大きさ、長さ、色、形状、部位などを総合的に評価します。
・証拠
医師作成の「後遺障害診断書」をもとに、損害保険料率算出機構などが審査します。場合によっては面談が行われ、直接醜状の状態を確認されることもあります。
弁護士に依頼するメリット

適正な後遺障害等級の獲得サポート
後遺障害診断書の記載内容について、証拠の観点から、医学的知見も踏まえアドバイスできる場合があります。労災申請のサポートも行います。
障害補償給付の申請には、会社側とやりとりをしたり、労基署とやりとりをしたりなど、手間暇がかかることも多く、煩雑な手続を弁護士に一任することができます。
なお、認定結果に不服がある場合、異議申立てや訴訟提起を行うという手段があります。
会社等に対する損害賠償額(特に慰謝料・逸失利益)の増額交渉
裁判基準(弁護士基準)に基づき、会社に対して、適正な慰謝料を請求します。
逸失利益についても、被害者の具体的な状況に基づき、認められるべきであることを法的に主張・立証し、賠償を求めてまいります。そのほか、証拠収集のアドバイス、どのような写真や資料が有利な証拠となるかについても打合せをします。
会社との交渉をすべて代理して行いますので、精神的な負担を軽減するとともに、裁判例や経験に照らし、最適なタイミングでの解決を目指すことが可能です。
注意点

証拠を残しておくことが重要です。
事故直後、治療中、症状固定時など、醜状の状態がわかる写真を複数枚、様々な角度から撮影しておくことが極めて重要です。
なお、美容医療の治療という選択肢もありますが、保険適用でない費用については請求できない(労災の支払を受けられない、損害賠償が認められない)という点でリスクがあります。
また、損害賠償請求権には時効があります(通常、ケガの場合には損害及び加害者を知った時から5年)。早めに弁護士に相談することをおすすめします。
外貌醜状は、被害者にとって非常に大きな精神的苦痛を伴うものです。その苦痛に見合った適正な賠償を受けるためには、専門家である弁護士のサポートが有効です。もし外貌醜状でお悩みでしたら、一度交通事故や損害賠償に詳しい弁護士にご相談ください。
~最後に見ていただきたい労災サポートのこと~

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