ハラスメントによる労災について、弁護士が解説

近時、様々なハラスメントが話題に上っています。

中には、マスコミが話題作りに取り上げたようなハラスメントと呼べないようなものもある一方、もはや犯罪というべきものもあります。

今回は、さいたま市大宮区で開設以来30年以上、様々な法律相談を取り扱ってきたグリーンリーフ法律事務所が、ハラスメント労災についてコメントします。

「ハラスメント」とは

「ハラスメント」とは

「ハラスメント」とは、harassmentという英語の名詞であり、嫌がらせ等を意味します。

このうち、職場における「ハラスメント」の場合は、業務や職場に関連する文脈で使われます。厚生労働省「あかるい職場応援団」HPによれば、代表的な「ハラスメント」の定義は、次の通りとされています。

パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメント(パワハラ)

「職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。」

(厚生労働省委託事業「あかるい職場応援団」HPより引用)

セクシャルハラスメント(セクハラ)

「職場におけるセクシャルハラスメントとは、「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。」

(厚生労働省委託事業「あかるい職場応援団」HPより引用)

職場の妊娠・出産・育児休業等ハラスメント

職場の妊娠・出産・育児休業等ハラスメント

「職場の妊娠・出産・育児休業等ハラスメントは、「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業、介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業・介護休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることをいいます。

これらは、マタニティハラスメント(マタハラ)、パタニティハラスメント(パタハラ)、ケアハラスメント(ケアハラ)と言われることもあります。」

(厚生労働省委託事業「あかるい職場応援団」HPより引用)

カスタマーハラスメント(カスハラ)

カスタマーハラスメント(カスハラ)

「カスタマーハラスメントとは、企業や業界により、顧客・取引先への対応方法・基準が異なることが想定され、明確に定義付けられませんが、企業の現場では以下のようなものがカスタマーハラスメントであると考えられます。」

「以下のような行為がカスタマーハラスメントに該当すると考えられます。

顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、 当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの。」

(厚生労働省委託事業「あかるい職場応援団」HPより引用)

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/definition/about

ハラスメントを受けた場合に労災が受給できるのか

ハラスメントを受けた場合に労災が受給できるのか

ハラスメントを受けたことで、直ちに労災が認定されたり、受給が受けられたりするわけではありません。

ハラスメント受けた結果、精神障害を発病し、その精神障害が労災の認定基準を満たし、労災の認定を受けることが必要になります。

精神障害の労災認定を受けるため基準は、次の通りとなっています。

① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること

② 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

③ 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

精神障害による労災認定については、厚生労働省のHPに詳しく記載されていますので、そちらをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/001168576.pdf

まずは労災認定を受けることが必要

労災認定を受けた場合に受けられる給付

労災認定を受けた場合に受けられる給付

労災に認定された場合には、次のような給付を受けることができます。

①休業(補償)給付

給与の代わりになるもの、というイメージを持っていただければいいと思います。

②療養(補償)給付

いわゆる治療費をイメージしていただければいいと思います。

③ 障害(補償)給付

残念ながら、労災によって後遺障害が残ってしまった場合には、認定された等級に応じて、一定額の年金または一時金が支給されます。

④遺族補償給付

不幸にして、労災によって労働者が死亡してしまった場合には、遺族の方へ、遺族補償年金が支給されます。

⑤葬祭給付

葬祭料が支給されます。

⑥傷病補償年金

休業補償給付を受けていた方が、療養開始後一定期間経過しても治癒せず、一定の障害状態にある場合に支給される給付です。

ただし、労基署長の職権によることになっています。

労災認定を受けることの重要性

以上の通り、労災認定を受けた場合には、各種の給付を受けることができます。

また、労災認定を受けることで、会社への責任追及の根拠の一つとすることができる場合もあります。

従って、ハラスメントで悩んでいる場合には、まずは、労災認定を受けることが重要になります。

ハラスメントにおいて認定を受けるために必要な資料収集

ハラスメントにおいて認定を受けるために必要な資料収集

これまで見た通り、ハラスメント被害に遭われている方の場合、労災認定を受けることが重要になりますので、労災認定を受けるための証拠の保全が必要になります。

保全しておくべき証拠は、ハラスメントの種類にもよりますが、

・業務の内容、上司や部下への報告・指示などを記録に残しておく

・ハラスメントに該当するようなメール、チャットなどを保護・スクリーンショットする

・労働時間に関する証拠を保全する

・上司、同僚、部下、顧客の発言を、録音しておく・日記をつけておく

等が考えられます。

労災での賠償請求について、グリーンリーフ法律事務所ができること

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来、数多くの労災を含む賠償に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、賠償に精通した弁護士が数多く在籍し、また、労災専門チームも設置しています。

このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・労災専門チームの弁護士は、労災や賠償に関する法律相談を日々研究しておりますので、労災事件に関して、自信を持って対応できます。

なお、費用が気になる方は、上記HPもご参照ください。

最後に

最後に

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。

また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。ハラスメントの労災の認定を受けた方は、まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦

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