こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。
「マザコン」という言葉をご存じでしょうか。
「マザーコンプレックス」という言葉の略で、簡単にいうと、母親のことが大好きなために母親と共依存関係にあるような状態をいいます。
一般的に、「マザコン」というと男性側で言われることがよくあります。
「マザコン」かどうかというのは、一見しては分からず、結婚後、家族を通しての付き合いとなって、ようやく夫が「マザコン」であるということに気が付く女性もいるのではないでしょうか。
結婚後に夫が「マザコン」であると判明した場合には、度を越えた親子関係のために、円満な夫婦生活が破綻しかねません。
この記事では、「マザコン」夫の特徴や具体例を示しつつ、「マザコン」を理由として離婚をすることが出来るのかという点をわかりやすく解説していきます。

「マザコン」夫の特徴とは

「マザコン」とは

「マザコン」とは、一般的に、思春期を過ぎてからも母親から自立することが出来ず、精神的に母親に依存している状況を言います。
また、母親も子に依存してしまっていて、共依存関係となっていることも多く、その場合には、「マザコン」状態を解消するのは極めて難しいといえるでしょう。
たしかに、自分を産み育ててくれた母親に感謝し、大切に想うことは、ある意味で重要です。
しかしながら、単なる母親想いを超え、母子の関係性が通常でない水準に至ると、「マザコン」だと言わざるを得ないと考えられます。

「マザコン」夫の特徴

では、どのような場合に、「マザコン」といえるのでしょうか。
「マザコン」の度合いには、軽度から重度のものがありますが、以下のような特徴が複数当てはまる場合には、「マザコン」だと判断せざるを得ないと考えられます。

⑴ 結婚後も、母親と頻繁に連絡する。
⑵ 頻繁に母親のところに遊びに行く。
⑶ 携帯電話・スマホの待ち受けを母親の写真にする。
⑷ 妻と母親(姑)のことをよく比べ、母親(姑)を褒め、妻には改善点を伝えてくる。
⑸ 結婚式や結婚後の新居など、夫婦で決めるべき問題を、夫がよく母親(姑)に相談する。
⑹ 母親(姑)の意見を強く尊重し、それを妻に押し付ける。
⑺ 母親(姑)の希望を優先させ、妻が嫌がっていても、育児等に姑を関与させようとする。

一般的な「マザコン」夫の特徴を挙げてみました。
妻としては、自身の意見・考え方よりも母親(姑)の意見・考え方を優先されてしまうことに、強いストレスを感じることと思います。
一方で、「マザコン」夫にとっては、母親の意見を尊重することが当然であるため、自分の言動が妻にどれほどの強いストレスを与えているかを、気付かないことが多いようです。
その意味では、度を超えた「マザコン」は、夫婦の婚姻関係を破綻させ得るものといえます。
では、夫が「マザコン」である場合に、妻としては、どのように対処すればよいのでしょうか。
以下で、「マザコン」夫の対処法について解説していきます。

 

「マザコン」夫と円満に婚姻関係を続けるには

上記のとおり、「マザコン」夫の考え方や言動をすぐに改善させるといったことは、容易ではありません。
そのような「マザコン」夫と、円満な夫婦関係を続けようとすると、妻としては、ある程度、「マザコン」夫の生き方を許容することが必要になります。
たしかに、「マザコン」度合いや、母親(姑)が夫婦生活に関与してくる度合いが少ない場合には、許容範囲として受け入れられる場合もあるでしょう。
また、「マザコン」夫に対し、自身が感じてきたストレスや、従前の親子関係を真剣に見直してもらいたい旨をしっかりと伝えることで、夫が妻の思いを受け止め、母親(姑)と距離を置こうと考えてくれる可能性もあるでしょう。
もっとも、「マザコン」夫が妻の思いを理解しようとしなかったり、夫婦関係のことを母親(姑)に相談したうえで、その意見に強く影響されて反論をしてきたりする場合には、もはや、「マザコン」夫の考え方は変わらないものと諦めざるを得ないといえます。
そのような場合には、「マザコン」夫との離婚を検討する段階に入ると思います。

「マザコン」夫と離婚するには

⑴協議離婚

夫婦でよく話し合った結果、「マザコン」夫が離婚に合意してくれるのであれば、互いに離婚届に印を押し、協議離婚を進めることになります。
もっとも、「マザコン」夫は、そのような重大な決断においても、母親に依存してしまい、自分の考えで積極的に物事を進めることが出来ない場合もありますので、話し合いでの離婚は、難航するおそれが高いといえるでしょう。

⑵離婚調停

話合いでの離婚ができないとなれば、次に、検討するのは、離婚調停です。
離婚調停とは、家庭裁判所において、調停委員を介して、夫婦間の合意を成立させる手続きです。
離婚調停においては、一般的に、調停委員が双方からお話を聞きながら、合意できる落としどころを探っていくことになります。
また、夫婦以外の第三者が間に入ることによって、双方だけの話合いでは折り合いがつかなかったところも、双方納得のうえ、合意に至れる可能性があります。

⑶離婚訴訟

離婚調停においても、離婚の合意が成立しなかった場合には、離婚裁判を提起する必要があります。
もっとも、法律上、離婚原因は決められており、その中に、「マザコンであること」が直接定められているわけではありません。
すなわち、夫が重度の「マザコン」であり、母親(姑)に依存しているからといって、直ちに、離婚が認められるわけではないということです。
「マザコンであること」は、夫婦間に「婚姻関係を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)があるかどうかの判断に関係します。
この場合には、夫婦生活を総合的に判断することになりますが、「マザコンであること」に加え、特に、別居の期間がどの程度あるかが重要な要素となることが多いといえます。

まとめ

以上、マザコン夫の特徴やマザコン夫との離婚方法について、解説しました。
「マザコン」夫にとっては、母親の存在が大きいと考えられますが、妻よりも母親の意見を尊重してばかりでは、夫婦関係がうまくいくはずがありません。
もっとも、「マザコン」自体が離婚原因と定められているわけではないので、離婚に関する紛争が長引いてしまうことが考えられます。
離婚をするためには、離婚の協議方法や離婚調停の進め方が大事になっていきますので、まずは、離婚問題に精通した弁護士に相談してみることをおススメいたします。

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