このページでは、過労死ラインについて説明し、労働災害で認定される基準についても解説します。令和3年に過労死ラインの見直しが図られ、過労死等防止対策推進法により、長時間労働、心理的負荷、異常な出来事が規定されています。1か月間に100時間を超える残業、2~6カ月間で1か月80時間を超える残業をしている方は過労死ラインといえます。

過労死ラインとは?

過労死ラインとは、ずばり、1か月間に100時間を超える残業、2~6カ月間で1か月80時間を超える残業をしていることです。
過労死ラインは、労働者が過度の労働やストレスによって健康を害し、最悪の場合には死亡する可能性がある境界線という意味をもちます。
過労死ラインという言葉は広く認知されています。
本来仕事をして生活費を稼ぐためにしているのに、仕事で長時間労働や過度なストレスにより健康や安全を害するというまさに本末転倒な状態です。
過労死ラインは個人によって異なる場合がありますが、労働時間や労働条件、ストレスの度合いなどが主な要素となります。
過労死の予防や対策は、労働時間の適正化や労働環境の改善、労働者のストレスケアなど、複数の側面から取り組む必要があります。労働者自身も自己管理や労働条件の把握、適切な休息の確保など、健康管理に努めることが重要です。

過労死の死因は?

過労死の死因は、
・脳疾患
・心臓疾患
・精神障害が原因となる自殺
これらの3つに分かれます。

過労死等防止対策推進法も以下のように定義しております。
・業務上の過重な負荷による脳血管・心臓疾患が原因となる死亡
・業務上の強い心理的負荷による精神障害が原因となる自殺による死亡

過労死を定める法律は?

過労死については、過労死等防止対策推進法があるほか、厚生労働省「脳・心臓疾患の認定基準」(令和3年に改定)が重要です。

厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/090316_00006.html

過労死ラインを定める基準は?

過労死ラインとは、ずばり、1か月間に100時間を超える残業、2~6カ月間で1か月80時間を超える残業をしていることと説明をしました。
これは、過労を労働時間という視点で見た場合の基準(過重負荷)です。

そのほかにも、以下のような基準があり、過労死かどうかは、労働基準監督署において、総合的に判断されます。

・心理的負担

特に、精神障害の原因は、ストレスにより発症に至ります。
そのため、仕事において強いストレス(心理的負荷)が原因になったかどうかが重要となります。
例えば、病気やけが、悲惨な事故の目撃、人身事故や重大事故を起こしたこと、重大なミスをしたこと、仕事内容が大きく変化したこと、退職を強要されたこと、上司からパワーハラスメントを受けたこと、職場の対人関係でトラブルがあったこと、セクシュアルハラスメントを受けたことなど。

・異常な出来事

異常な出来事があったかどうかも重要です。
基準では、「急激な血圧変動や血管収縮などを引き起こすことが、医学的に妥当と認められる出来事」と説明されています。
例えば、
極度の緊張を強いられる状態
極度の興奮を強いられる状態
極度の恐怖を感じる状態
極度に驚愕する状態
これらを引き起こすような突発的、あるいは予測困難な異常事態、急激な作業環境の変化がある場合にも、強い心理的負荷を与える出来事といえます。

・不規則な勤務

勤務時間に不規則性がある場合には関連性が認められやすくなります。
考慮要素としては、拘束時間の長さ、連続勤務(休日なし)、勤務間インターバルが短い勤務、不規則な勤務、交代制勤務、深夜勤務など。

・出張の多い勤務

主張が多い場合には、通常の勤務地で働く業務に比べて労働者の心身に与える負荷が大きいとされ、業務との関連性が認められやすくなります。
考慮要素としては、頻度、期間、交通手段、移動距離、宿泊の有無、出張中の休憩の有無内容

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 時田 剛志
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