2 株価算定についての最高裁判例
今回は、非上場の株式会社の株主が,新株発行を決定した役員に対して,新株発行を行った際,既存の株主にとって著しく不公正な金額であるのに,株主総会においてその理由を説明しなかった違法があるとして,会社に代わって,22億5000万円余りの損害賠償請求を行った事案(最判平成27年2月19日)をご紹介します。
 裁判では,新株発行価額が,株主以外の者に対する「特に有利な価額」といえるかが争われました。最高裁は,本件の新株発行価額は,公認会計士が決算書等の客観的な資料から計算した金額であることなどを理由に,「特に有利な価額」には当たらないと判断しました。
 最高裁は,新株発行当時,取締役会が客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額を決定していたのであれば,裁判所が,事後的に,改めて株価の算定を行った上,その算定結果と現実の発行価額とを比較して「特に有利な価額」に当たるか否かを判断するのは,相当ではないとの考え方を示しています。
 上場会社には市場価額という客観的な金額がありますが,非上場会社の場合,株式の価値は必ずしも明確とは限りません。株式とは,平たく言えば,会社の価値そのものです。株式の価値については,株式発行や株式譲渡などの場面のみならず,相続や離婚(財産分与)においても,その算定方法が問題となります。