年休権の取得に関する最近の最高裁判例(平成25年6月6日)をご紹介します。
(1) 年休権とは
労働基準法39条は、①一定の勤続年数(雇入れの日から起算して6か月間の継続勤務、その後は1年間ごとの継続勤務)、②出勤率(全労働日の8割以上出勤)、といった要件を満たす労働者に対して、年次有給休暇を与えなければならないと規定しています。この労働者の権利を年休権といいます。

(2) 事案の概要
平成17年1月21日にY社に入社した従業員Xは、平成19年5月16日に同社から解雇されましたが、その後にこの解雇の無効確認を求める訴訟を提起し、勝訴しました。
 そして、Xは平成21年9月4日にY社に復職し、①平成21年9月13日~15日、②平成22年1月13日~15日の各有給届を提出しようとしましたが、Y社は「Xが復職したばかりで前期1年間に『全労働日の8割以上出勤』の要件を満たさない」としました。
しかし、Xは有給を願い出た日にY社を休み、Y社から欠勤扱いとされ、給与の控除を受けました。
 そこで、Xは、欠勤分の未払い賃金の支払い等を求めて提訴しました。

(3) 判決の内容
 最高裁は、無効な解雇の場合など、労働者の責めに帰すべき事由によらない不就労については「出勤日数に算入すべき」であり、Xは前年度に「全労働日の8割以上出勤」という要件を満たすと判旨し、Y社に対し、欠勤分の未払い賃金の支払い等を命じました。
 本件はやや特殊な事案ですが、判断内容は参考になると思います。