アパートなどを賃貸する際、賃料未納のリスク回避策として、保証会社と賃料保証契約を結ぶ、という方法があります。

 しかし、賃借人が賃料を滞納しているとき、保証会社が保証契約に基づき、不払いになっている賃料分を賃貸人に対し代位弁済してしまうと、そもそも賃借人に「賃料不払い」という債務不履行がなくなって、賃貸借契約の解除はできなくなってしまうのではないか、という問題が生じます。

下級審の中では、「保証会社による代理弁済がなされている以上、賃借人には賃料等の不払いはない」として、賃借人側の賃貸借契約解除及び賃貸物件の明渡し請求について、これを認めなかったという裁判例も見られました。

 しかし、同様の事案について、大阪高等裁判所は、「保証会社による代位弁済があっても、賃料等の不払いの事実は消えず、賃貸借契約の債務不履行の有無を判断するにあたり、保証会社の代位弁済の事実を考慮することは相当でない」として、賃貸借契約の解除を認める、という判決を出しました。

賃借人側は、この判決に対し上告及び上告受理申立てを行いましたが、最高裁判所は上告棄却及び上告審として受理しないと決定しました。

 したがって、最高裁判所としても、「保証会社から代位弁済されても、賃貸人が賃貸借契約の解除をすることができる」という大阪高等裁判所の判断を支持した、ということになります。

 このような判断は、賃料未納に悩む賃貸人側の主張を酌んだ判断として、非常に参考になるものと思われます。