
さいたま市大宮区にある、埼玉県内でトップクラスの弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の交通事故集中チームの弁護士が執筆しています。
また、本記事は、自転車事故・バイク事故を含む交通事故で、足の甲を骨折したケースについて詳しく整理しています。
交通事故によって負う傷害の中でも、足の甲(中足骨など)の骨折は、歩行機能に直結する重大な怪我です。足の甲は、体重を支え、歩行時の蹴り出しを行う重要な「アーチ構造」を形成しているため、ここに障害が残ると、日常生活や仕事、スポーツ活動に大きな支障をきたしかねません。
以下では、足の甲の骨折の後遺障害や、慰謝料、適正な賠償額について、交通事故チームの弁護士が分かりやすく解説します。
足の甲(中足骨)の構造と重要性

足の甲は、主に5本の「中足骨(ちゅうそくこつ)」と呼ばれる骨と、それをつなぐ関節(リスフラン関節など)で構成されています。
足の甲の骨は、足の指の骨(趾骨)とかかとの骨(足根骨)の間に位置し、足の「土踏まず(アーチ)」を形成しています。 このアーチ構造は、歩行や走行時の着地の衝撃を吸収するクッションの役割と、地面を蹴り出すバネの役割を果たしています。 そのため、交通事故で中足骨を骨折したり、リスフラン関節を脱臼骨折したりすると、足のアーチが崩れ、痛みだけでなく、バランス機能や歩行能力自体に影響が及ぶことになります。
交通事故における足の甲の骨折の原因

足の甲の骨折は、主に足に直接的かつ強い外力が加わることによって発生します。交通事故においては、以下のような状況が主な原因となります。
・タイヤによる轢過(れきか)・巻き込み
歩行中や停車中に、四輪車のタイヤに足の甲を踏まれる(轢かれる)事故です。足の甲には筋肉や脂肪が少なく、皮膚のすぐ下に骨があるため、タイヤの重量が直接骨にかかり、粉砕骨折などの重傷に至るケースが多く見られます。
・バイク・自転車事故での転倒・強打
バイクや自転車で走行中に転倒し、足が地面と車体の間に挟まれたり、ペダルやステップに足の甲を強く打ち付けたりすることで骨折します。特にバイク事故では、強い圧迫力やねじれの力が加わり、リスフラン関節脱臼骨折などを引き起こすリスクがあります。
足の甲の骨折で現れる症状

足の甲を骨折した場合、一般的には以下のような症状が現れます。
・激しい痛みと腫脹(腫れ)
受傷直後から足の甲全体に激しい痛みが生じ、大きく腫れ上がります(腫脹)。体重をかけると激痛が走るため、歩行が困難になることがほとんどです。また、皮下出血により、足の裏や甲に広範囲なアザが現れることもあります。
・変形とアーチの消失
骨折による骨のズレ(転位)が大きい場合、足の甲が隆起したり、変形したりすることがあります。これにより、足のアーチ構造が崩れ、扁平足のようになることもあります。変形が残ったまま治癒すると(変形癒合)、靴が履けなくなったり、長時間歩くと痛んだりする原因となります。
認定されうる後遺障害と等級

治療を尽くしても、痛みや機能障害が残ってしまった場合、後遺障害等級が認定される可能性があります。足の甲の骨折では、主に以下の3つの観点から検討されます。
1. 機能障害(足の指の動きが悪くなる)
足の甲の骨(中足骨)は、足の指の動きに関わる腱や筋肉と密接に関係しています。そのため、足の甲を骨折すると、結果として「足の指が動かなくなる(可動域制限)」という後遺障害が残ることがあります。 足の指の用を廃した場合(可動域が2分の1以下など)、以下の等級が認定される可能性があります。
- 第7級11号:両足の足指の全部の用を廃したもの
- 第9級15号:1足の足指の全部の用を廃したもの
- 第11級9号:1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
- 第12級12号:1足の第1の足指(親指)又は他の4の足指の用を廃したもの
- 第13級10号:1足の第2の足指の用を廃したもの
- 14級8号:1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
2. 神経系統の機能の障害(痛み・しびれ)
骨折部位の変形や神経の圧迫により、疼痛(痛み)やしびれが残存した場合に検討されます。
- 第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
- 骨折後の変形や関節の異常が、レントゲンやCT、MRI等の画像で明確に確認でき、痛みの原因が医学的に証明できる場合に認定されます。
- 第14級9号:局部に神経症状を残すもの
- 画像上の異常は明らかではないものの、事故状況や治療経過から、痛みの存在が医学的に説明可能な場合に認定されます。
3. 変形障害
骨折した中足骨などが、変形したまま癒合してしまった場合です。
- 第12級8号:長管骨に変形を残すもの
- 中足骨は長管骨には分類されませんが、癒合不全や変形により裸体で見てわかる程度の著しい変形が残った場合、準用して認定される可能性があります。
足の甲の骨折の治療期間とリハビリについて

足の甲の骨折は、部位や治療方法によって回復までの期間が異なります。
- 基本的な骨癒合(骨がくっつくまで)の目安
- 成人の場合、一般的に3〜5か月ほどで骨が癒合するとされています。
- 骨の癒合が始まる初期段階としては、受傷から3〜4週間程度が目安です。
- 歩行開始までの期間
- 保存療法(ギプス固定など): 松葉杖なしで歩けるようになるまで、4〜6週間がひとつの目安です。
- 手術療法: 金属製のネジなどで固定した場合、3〜4週間程度で歩行訓練が進むケースが多いです。
- スポーツ復帰・完治までの期間
- 一般的なスポーツ復帰には2〜3か月、完治という意味では3〜6か月程度を要することが一般的です。
- ただし、第5中足骨の「ジョーンズ骨折」のような疲労骨折や、リスフラン関節損傷を伴う重度のケースでは、完治まで半年から1年以上かかることもあります。
交通事故におけるリハビリ期間の注意点
交通事故による治療では、単に「骨がくっつく」ことだけがゴールではありません。
- 治療終了(症状固定)の判断 リハビリを含めた治療期間は、早くて半年、抜釘手術(ボルトを抜く手術)などが予定されている場合は1年以上かかることも少なくありません。
- 後遺障害認定の可能性 適切なリハビリを行っても、足首や足指の動きが制限される(機能障害)や、慢性的な痛みが残る(神経障害)場合があります。
足の甲は複雑な構造をしており、無理な荷重は再骨折や変形治癒のリスクを高めます。保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合でも、リハビリの継続が必要かどうかは主治医と相談し、慎重に判断することが重要です。
骨折で認定されうる後遺障害等級の損害賠償について

後遺障害等級は、症状の重さに応じて最も重い1級から最も軽い14級まで区分されています。そして、等級が認定されるかどうか、また何級に認定されるかによって、後遺障害慰謝料や逸失利益といった賠償金の額が、数百万円から、重い場合には数千万円以上も変わってくるのです。
適切な後遺障害等級が認定されたら、次はいよいよ保険会社との具体的な賠償金の交渉です。ここで知っておかなければならないのが、慰謝料などの計算に用いられる「3つの基準」の存在です。
→慰謝料の計算には3つの基準がある
- 自賠責基準: 法律で定められた最低限の補償。最も金額が低い。
- 任意保険基準: 各保険会社が独自に設定している基準。自賠責基準よりは高いが、次に述べる弁護士基準には及ばない。
- 弁護士基準(裁判基準): 基本的には、過去の裁判例をもとに設定された基準。3つの基準の中で最も高額であり、法的に認められる正当な賠償額と言える。
保険会社が被害者本人に提示してくる金額は、通常「任意保険基準」か、それに近い低い金額です。被害者が「弁護士基準」で賠償金を受け取るためには、弁護士を立てて交渉することが事実上、不可欠となります。
参考までに、後遺障害慰謝料(弁護士基準)の相場をご紹介します。
※下記はあくまで目安です。任意保険会社の提示額は、これよりも大幅に低いことがほとんどです。
| 後遺障害等級 | 裁判基準 | 労働能力喪失率 |
|---|---|---|
| 第1級 | 2,800万円 | 100/100 |
| 第2級 | 2,370万円 | 100/100 |
| 第3級 | 1,990万円 | 100/100 |
| 第4級 | 1,670万円 | 92/100 |
| 第5級 | 1,400万円 | 79/100 |
| 第6級 | 1,180万円 | 67/100 |
| 第7級 | 1,000万円 | 56/100 |
| 第8級 | 830万円 | 45/100 |
| 第9級 | 690万円 | 35/100 |
| 第10級 | 550万円 | 27/100 |
| 第11級 | 420万円 | 20/100 |
| 第12級 | 290万円 | 14/100 |
| 第13級 | 180万円 | 9/100 |
| 第14級 | 110万円 | 5/100 |
逸失利益(将来の収入減に対する補償)

後遺障害によって労働能力が低下し、将来の収入が減少することに対する補償です。 足の甲の骨折により、歩行時痛やバランス能力の低下が生じれば、労働能力の喪失が認められ、以下の計算式で逸失利益を請求できます。
逸失利益は、基本的には1年あたりの基礎収入に、後遺障害によって労働能力を失ってしまうことになってしまうであろう期間(労働能力喪失期間)と、労働能力喪失率(後遺障害によって労働能力が減った分)を乗じて算定することになります。
ただし、将来もらえる金額を、一括してもらう事になるので、「中間利息」というものを控除する事になります。
中間利息の控除は、一般的にはライプニッツ式という方式で計算されます。
まとめると、後遺障害事故における逸失利益は以下の計算式によって算定されます。
逸失利益は、基本的には1年あたりの基礎収入に、後遺障害によって労働能力を失ってしまうことになってしまうであろう期間(労働能力喪失期間。)と、労働能力喪失率(後遺障害によって労働能力が減った分)を乗じて算定することになります。
ただし、将来もらえる金額を、一括してもらう事になるので、「中間利息」というものを控除する事になります。
中間利息の控除は、一般的にはライプニッツ式という方式で計算されます。
まとめると、後遺障害事故における逸失利益は以下の計算式によって算定されます。
| 1年あたりの基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数 |
- 基礎収入⇒ 事故にあった方の事故時の収入です。
- 労働能力喪失率⇒ 後遺障害によりどの程度労働ができなくなるかの率です。表により大体定型化されています。上記に掲載した表に載っています。
- 労働能力喪失期間⇒ 症状固定の日から67歳までとされています。
- ライプニッツ係数⇒ 定型化されています。こちらのページで解説しています。
骨折等の重傷の場合の入通院慰謝料(弁護士基準)

事故で通院をした場合は、後遺障害慰謝料とは別に、入通院慰謝料が請求できます。 骨折など、むちうちより重い怪我の場合は、より高額な「別表Ⅰ(重傷用)」の基準が適用されます。
なお、すべての損害に共通ですが、過失がある場合は、過失分が引かれます。
(例)
・通院期間6ヶ月の場合:基準額 約116万円
→過失9対1の場合の請求額:116万円 × (1 – 0.1) = 約104.4万円
・通院期間1年の場合:基準額 約154万円
→過失9対1の場合の請求額:154万円 × (1 – 0.1) = 約138.6万円
※上記は通院のみの場合の目安です。入院期間があればさらに増額されます。

●表の見方
- 入院のみの方は、「入院」欄の月に対応する金額(単位:万円)となります。
- 通院のみの方は、「通院」欄の月に対応する金額となります。
- 両方に該当する方は、「入院」欄にある入院期間と「通院」欄にある通院期間が交差する欄の金額となります。
後遺障害の等級認定について

後遺障害は、慰謝料等の保険金に大きな影響を及ぼします。
後遺障害の等級認定は、医師の診断書を元に損害保険料率算出機構が行いますが、被害者が考えているような認定が受けられないことがしばしばあります。
つまり、考えていたよりも低い等級で認定されてしまったり、等級がつかない「非該当」とされることもあります。
適正な後遺障害の認定を受けるためには、適切な治療を受け、適切な検査を受け、適切な行為障害の診断書を作成してもらうことは、重要です。
同じ症状でも、医師がどのような治療を選択するか、検査を選択するかは、全く違います。また、診断書の書き方も全く違います。
従って、適切な後遺障害の認定を受けるためにも、受傷直後、症状固定前から、弁護士に相談されることが重要です。
交通事故に遭われた場合、できるだけ早い段階で当事務所にご相談ください。
- 法律相談料は初回無料
- 10分無料電話相談実施中(お気軽にお電話ください)
判例について

珍しい判例をご紹介します。
「剥離骨折等のため甲が高くなり、右足と大きさが違ってしまった」「既製品の靴と特別注文の靴の差額は本件事故と相当因果関係ある損害」と余命年数分3年に1 足(木型代含む)の特注靴購入費を認めた事例です。
東京地裁 平成15年1月22日判決(確定)
事件番号 平成12年(ワ)第11529号 損害賠償請求事件
■事実の要旨
61歳女子主婦の原告は、平成8年12月9日午後7時52分ころ、東京都品川区
内の歩道で信号待ち中、被告運転の乗用車が暴走衝突、左第1~5趾中足骨骨折、右肋骨骨折等で111日入院、1年7か月余に114日実通院して顔面醜状等10級後
遺障害を残したとして103万6,000円を控除して1,780万3,807円を求めて訴えを提起した。
裁判所は、将来の特注靴購入費約279万円の請求で86万1,356円を認めた。
「剥離骨折等のため甲が高くなり、右足と大きさが違ってしまったのであり、本件
事故前に購入していた既製品の靴と特別注文の靴との差額は本件事故と相当因果関係のある損害とみる」とし、「耐用年数は3年とされている」「木型(15万円)を作成し靴(差額相当分の2万円)」で余命年数分86万1,356円を認めた。
そして、 「唇右横の線状痕及び瘢痕について12級14号、左足1ないし5中足骨折に伴う骨折部のしびれ、痛み」等14級10号の「併合12級」、後遺症逸失利益は「労働能力を5%喪失し」たと認定した。
弁護士特約とは?弁護士費用がかからない?

「弁護士に頼みたいけれど、費用が心配」という方は、【弁護士費用特約】をご確認ください。
これは、ご自身が加入している自動車保険、火災保険、個人賠償責任保険等に付帯している特約です。 弁護士費用特約が付いている場合は、交通事故についての保険会社との交渉や損害賠償のために弁護士を依頼する費用が、加入している保険会社から支払われるものです。
- 費用負担なし: 通常300万円まで補償されます。多くのケースでは300万円の範囲内で、自己負担一切なしでおさまります。
- 等級への影響なし: 弁護士費用特約を使っても、保険の等級は下がらず、翌年の保険料が上がることもありません。
- 家族の保険も確認を: 被害者ご本人だけでなく、同居のご家族の加入している保険の特約が使える場合もあります。
まずは、ご自身やご家族の入られている保険証券を確認してみてください。
骨折等を伴う交通事故 弁護士への早期相談が重要です

足の甲の骨折は、「歩く」という日常動作に直結するため、適切な治療と賠償を受けることが極めて重要です。 「保険会社の提示額が低い」「治療の打ち切りを言われた」「足の痛みが残っている」など、お困りのことがあれば、諦める前にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、多数の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 交通事故専門チームが、皆様一人ひとりのお悩みに寄り添い、正当な賠償金を得るためのお手伝いをさせていただきます。
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