ご家族が突然逮捕されたという知らせを受けたとき、みなさんに残された時間は決して多くありません。刑事手続には「72時間」という冷徹なタイムリミットが存在し、この期間に何も手を打たなければ、長期の身柄拘束や実名報道、解雇といった取り返しのつかない社会的不利益を招くリスクが急激に高まります。

逮捕直後の本人は外部との連絡を一切遮断され、孤独な取調べの中で不利な供述を強いられる危険にさらされています。ご家族であってもこの時間内は面会できません。唯一面会できるのは弁護士のみです。

このような絶望的な状況を打破し、早期釈放を勝ち取れる唯一の鍵は、弁護士による迅速な介入です。

本コラムでは、刑事事件の成否を決める72時間についてと、一刻も早く弁護士を呼ぶべき実務的な理由を埼玉県大宮の弁護士が詳しく解説します。大切な人の日常と未来を守るために、今あなたが取るべき最善のアクションを御確認下さい。

逮捕という非常事態と直面する「72時間」の壁

警察から家族を逮捕したという突然の電話が入ったとき、その衝撃に冷静でいられる人はまずいません。何をどうすればいいのか、いつ帰ってこられるのか、会社や学校はどうなるのかという不安が次々と押し寄せ、パニックに陥ってしまうのが普通です。

しかし、刑事手続というものは、家族の動揺や混乱を待ってはくれません。逮捕という手続きが取られた瞬間から、法律が定めた厳格なタイムリミットが動き始めます。

ここで最も重要な事実は、逮捕から勾留が決定するまでの最大72時間が、その後の人生を左右する最大の分かれ道になるということです。この期間にどのような法的措置を講じるかが、早期釈放の成否を決定づけます。

刑事手続のタイムリミットと身柄拘束の流れ

日本の刑事手続においては、逮捕から起訴までの身柄拘束期間が厳しく制限されています。警察が被疑者を逮捕したとき、その時点から48時間以内に、事件を検察官に引き継ぐ送致の手続きを行うか、あるいは釈放するかを判断しなければなりません。

この48時間という枠の中で、警察官は本人に対する集中的な取調べを行い、証拠の収集を急ぎます。

事件を引き継いだ検察官は、そこからさらに24時間以内に、裁判官に対してさらなる身柄拘束を求める勾留請求を行うかどうかを決定します。

これらを合わせた合計72時間が、刑事手続における第一の大きな関門となります。

この72時間以内に適切なアクションを起こせなければ、裁判官によって勾留が決定され、原則としてさらに10日間、場合によっては最大20日間もの身柄拘束が続くことになります。

接見禁止という孤独が招く虚偽自白のリスク

逮捕直後の72時間は、たとえ実の親や配偶者であっても、本人に面会することは原則として認められていません。この外部との隔離こそが刑事手続において最も危険な状況を生み出します。

警察署の取調べ室という閉鎖的な空間で、たった一人でプロの取調官と向き合うことは、想像を絶する精神的プレッシャーとなります。

心細さと恐怖、それから一日も早く外に出たいという切実な思いから、本人は自分に不利な内容であっても、警察官が作成した作文のような供述調書に署名してしまうことがあります。

一度署名捺印してしまった調書を、後から裁判で覆すのは極めて困難です。この孤独な状況に唯一介入できるのが、弁護士という存在です。

弁護士だけが持つ接見交通権の重要性

憲法と刑事訴訟法は、逮捕された被疑者に対し、弁護士と立会人なしで面会する権利、すなわち接見交通権を保障しています。これは、逮捕直後の72時間であっても制限されることはありません。

弁護士は深夜や早朝を問わず警察署へ駆けつけ、本人に対して黙秘権の適切な行使方法や、取調べで何を話し、何を話すべきでないかという具体的なアドバイスを行います。

また、家族がどれほど心配しているかというメッセージを伝え、精神的な支えとなることも弁護士の重要な役割です。

本人が「外には味方がいる」と確信できるだけで、不当な取調べに屈することなく、真実を貫く勇気を持つことができるようになります。

検察官に対する勾留請求回避のアプローチ

弁護士は、接見で本人から事情を聴取すると同時に、検察官に対して勾留請求を行わないよう働きかけを開始します。検察官が勾留を必要と考える根拠は、主に証拠隠滅の恐れや逃亡の恐れがあるという点に集約されます。

弁護士は家族などの身元引受人を確保し、本人に定まった住居と職があり、逃走する理由が皆無であることを論理的に示した意見書を作成して提出します。

また、事件の性質によっては、証拠がすでに警察によって押収されており、これ以上の証拠隠滅は物理的に不可能であることを主張します。

このように、法律的な観点から「勾留の必要性がない」ことを検察官に認めさせることで、勾留請求そのものを阻止し、釈放へと導くことが可能になります。

罪種による身柄解放の傾向と難易度の違い

早期釈放の可能性は、犯したとされる罪の性質によって大きく異なります。

一般的に、被害者が存在する財産犯や軽微な暴行などは、弁護士による迅速な示談交渉によって釈放されやすい傾向にあります。

例えば、万引きや占有離脱物横領、あるいは単発の暴行事件などは、身元引受人がしっかりしており、被害弁償の見込みが立てば、72時間以内の釈放を目指すこともあり得ます。

一方で、薬物事件や特殊詐欺などの組織犯罪、あるいは否認している性犯罪などは、証拠隠滅の恐れが強いと判断されやすく、釈放のハードルは極めて高くなります。

特に薬物事件では、再犯の恐れや入手ルートの隠蔽を疑われるため、自白していても勾留されるケースが少なくありません。

しかし、そのような困難な罪種であっても、弁護士が再犯防止のための更生プログラムへの参加を確約し、厳格な監督体制を立証することで、例外的に勾留を回避できる余地が生まれます。

裁判官による勾留決定を阻止する「勾留却下」への戦い

もし検察官が勾留を請求してしまった場合でも、まだ釈放のチャンスは残されています。

次は、勾留の可否を最終的に判断する裁判官に対し、勾留請求を却下するよう求める活動を行います。

弁護士は裁判官と面談、あるいは書面を通じて、勾留が本人やその家族に与える社会的、経済的不利益が、捜査上の必要性を大きく上回る不当なものであることを訴えます。

特に、小さな子供がいる場合や、介護が必要な家族がいる場合、あるいは本人が重要なプロジェクトを抱えている会社員である場合など、個別の事情を詳細に伝え、身柄拘束がもたらす過酷な現実を裁判官に認識させます。

この段階で勾留却下の決定を得ることができれば、本人はその日のうちに自由の身となります。

早期示談交渉が釈放に与える決定的な影響

痴漢、盗撮、暴行、窃盗といった被害者が存在する事件において、72時間以内の釈放を勝ち取るための最大の鍵は被害者との示談交渉にあります。

加害者が逮捕されている状態では、加害者本人やその家族が被害者に連絡を取ることは、証拠隠滅や脅迫とみなされるリスクがあるため、事実上不可能です。

しかし、第三者である弁護士であれば、被害者の感情に配慮しつつ、冷静に交渉のテーブルに着くことができます。逮捕直後に迅速に示談を成立させ、被害者から「許す(宥恕)」という意思表示や「処罰を望まない」という合意を得ることができれば、検察官や裁判官が身柄拘束を継続する理由は大幅に失われます。

スピード感のある示談交渉こそが、早期解決への特急券となるのです。

自首という選択が釈放に及ぼす法的メリット

逮捕される前に自ら警察に出向く「自首」を行っている場合、釈放の可能性はさらに高まります。自首は、本人が罪を認め、捜査に協力する意思があることを示す強力な証拠となります。

裁判官や検察官の視点から見れば、自ら進んで罪を告白した者が、今さら逃亡したり証拠を隠滅したりする可能性は低いと判断されるためです。

弁護士は、自首した際の状況や動機を精査し、本人が深く反省していることを客観的な事実として主張します。

自首という誠実な姿勢と、弁護士による身元保証を組み合わせることで、本来であれば勾留されるような事案であっても、在宅捜査に切り替えられる道が大きく開かれます。

長期身柄拘束がもたらす社会的ダメージの回避

もし72時間以内の釈放に失敗し、10日間から20日間の勾留が決定してしまった場合、社会生活への影響は甚大なものとなります。

これほど長期間、連絡も取れずに欠勤が続けば、勤務先からは無断欠勤として懲戒解雇の対象とされる恐れが高まります。

また、学生であれば停学や退学、自営業であれば廃業の危機に直面することもあります。

さらに、身柄拘束が長引けば長引くほど、メディアによって実名で報道されるリスクも増大し、インターネット上に逮捕の記録が永続的に残ってしまうという二次被害も懸念されます。

これらの社会的ダメージを最小限に食い止めるためには、いかに初期段階で釈放を実現し、日常生活との断絶を短期間に抑えるかが決定的に重要です。

刑事事件における「早すぎる相談」はない

刑事事件は一分一秒を争うスピード勝負であり、後手に回れば回るほど状況は悪化していきます。逮捕された本人は、今この瞬間も警察署の冷たい壁の中で、自分一人の力では抗えない巨大な権力と向き合っています。

ご家族にできる唯一、かつ最大のサポートは、一刻も早く刑事弁護に精通した弁護士を送り込むことです。様子を見てから考えよう、あるいは明日の朝になってから動こうというわずかな遅れが、その後の数週間の身柄拘束、ひいては一生消えない前科という結果を招いてしまうかもしれません。

刑事弁護において、早すぎる相談や過剰な心配というものは存在しません。

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 遠藤 吏恭

弁護士のプロフィールはこちら