
※本記事は、さいたま市大宮区にある、埼玉県内でトップクラスの弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の交通事故集中チームの弁護士が執筆しています。
交通事故の被害に遭われた際、多くの方が直面するのが「自分の慰謝料は一体いくらになるのか」という疑問です。インターネットで検索すると「1日4,300円」や「1日8,600円」といった数字を目にすることがありますが、実はこの金額はあくまで最低限の補償を目的とした自賠責保険の基準に過ぎません。
実際には、どの計算基準を用いるかによって、最終的に受け取れる金額には2倍、3倍、時にはそれ以上の差が生じます。埼玉県さいたま市大宮区で30年以上の実績を持つ当事務所の専門チームには、保険会社から提示された金額の低さに驚き、相談に来られる方が絶えません。
本記事では、交通事故の慰謝料が1日あたりいくらになるのか、その仕組みを徹底的に解説し、正当な「最高額」の賠償金を受け取るためのポイントを詳しくお伝えします。
交通事故の慰謝料を左右する「3つの計算基準」

交通事故の慰謝料計算には、法的に認められた3つの異なる基準が存在します。これを知っているかどうかが、示談交渉の成否を分けると言っても過言ではありません。
自賠責基準
自賠責基準は、全ての自動車に加入が義務付けられている「自賠責保険」に基づいた計算方法です。これは被害者への最低限の救済を目的としているため、3つの基準の中で最も低い金額になります。よく耳にする「1日4,300円」という数字は、この自賠責基準による入通院慰謝料の日額です。
具体的には、1日4300円×実治療日数×2 で計算します。
ただし、実治療日数×2が総治療日数を上回る場合には、4300円×総治療日数で計算をします。
実治療日数とは、実際に入院・通院した日数をいい、総治療日数とは、初診から治療を終了した日までの総日数をいいます。
任意保険基準
加害者が加入している任意保険会社が、社内の独自の規定に基づいて提示する基準です。一般的には自賠責基準よりはわずかに高い設定になっていますが、後述する弁護士基準(裁判基準)には遠く及びません。保険会社は営利企業であるため、支払額を抑えるよう交渉してくるのが実務上の常態です。
弁護士基準(裁判基準)
過去の裁判例に基づいて策定された、法的に最も適正な基準です。弁護士が介入して交渉を行う場合や、裁判になった際に採用されます。3つの基準の中で最も高額であり、当事務所のような交通事故専門チームが目指すのは、常にこの「弁護士基準」での回答です。

1日いくらになる?計算の仕組みと具体例

「慰謝料は1日いくら?」という問いに対する答えは、選ぶ基準によって劇的に変わります。ここでは、最も基本的な「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」に絞って詳しく見ていきましょう。
自賠責基準における日額の考え方
自賠責保険では、1日あたりの慰謝料は原則として4,300円と定められています。計算対象となる日数は、「治療期間」と「実際に通院した日数の2倍」を比較して、少ない方の数字が採用されます。
例えば、治療期間が90日で、そのうち実際に病院へ行ったのが30日だった場合、30日×2=60日となり、60日分(4,300円×60日=25万8,000円)が支払われます。
弁護士基準では「1日」という考え方ではない
ここが非常に重要なポイントですが、弁護士基準(裁判基準)では、日額という概念ではなく「入通院の期間」をベースに、いわゆる「赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)」の算定表を用いて計算します。
弁護士基準では、むちうちなどの他覚所見がない場合(別表II)と、骨折などの重傷の場合(別表I)で表を使い分けます。


例えば、骨折で3ヶ月通院した場合、弁護士基準では73万円程度が相場となります。これを自賠責基準の「1日4,300円」で計算すると、仮に週2回ペース(24日通院)であれば4,300円×48日=20万6,400円となり、その差は50万円以上にもなります。
最高額の慰謝料を獲得するための実務的なポイント

単に基準を知っているだけでは、保険会社から満額の賠償を引き出すことはできません。実務において、弁護士がどのような点に注目して交渉を有利に進めているのか、その裏側を解説します。
通院頻度の妥当性
「通院すればするほど慰謝料が増える」と考え、不必要に毎日通院しようとする方もいますが、これは危険です。保険会社から「過剰診療」とみなされ、治療費の支払いを打ち切られるリスクがあります。一方で、痛みを我慢して通院を控えてしまうと、「治った」あるいは「大した怪我ではない」と判断され、慰謝料を不当に低く見積もられてしまいます。適切な頻度での通院と、医師への一貫した症状説明が不可欠です。
症状固定のタイミング
怪我の治療を続けてもこれ以上の改善が見込めなくなった状態を「症状固定」と呼びます。保険会社は早期に治療費を打ち切るために症状固定を急かしてきますが、安易に応じてはいけません。症状固定の判断はあくまで主治医が行うべきものです。入通院期間が長ければその分入通院慰謝料も加算されるため、納得のいくまで治療を継続することが、結果として正当な慰謝料額に繋がります。
後遺障害等級の認定
治療を尽くしても痛みが残った場合、後遺障害等級の申請を行います。等級が認定されれば、「後遺障害慰謝料」と、将来得られるはずだった収入の減少を補う「逸失利益」が追加で請求可能になります。
14級が認定されるだけでも、弁護士基準であれば慰謝料として110万円、これに逸失利益が加わり、総額で数百万円の増額が見込めるのです。
| 後遺障害等級 | 裁判基準 | 労働能力喪失率 |
|---|---|---|
| 第1級 | 2,800万円 | 100/100 |
| 第2級 | 2,370万円 | 100/100 |
| 第3級 | 1,990万円 | 100/100 |
| 第4級 | 1,670万円 | 92/100 |
| 第5級 | 1,400万円 | 79/100 |
| 第6級 | 1,180万円 | 67/100 |
| 第7級 | 1,000万円 | 56/100 |
| 第8級 | 830万円 | 45/100 |
| 第9級 | 690万円 | 35/100 |
| 第10級 | 550万円 | 27/100 |
| 第11級 | 420万円 | 20/100 |
| 第12級 | 290万円 | 14/100 |
| 第13級 | 180万円 | 9/100 |
| 第14級 | 110万円 | 5/100 |
保険会社との交渉で知っておくべき「駆け引き」の現実

保険会社は、示談交渉のプロです。彼らは「当社の基準ではこれが限界です」という言葉を多用しますが、その「基準」とはあくまで彼ら独自の低額な基準に過ぎません。
特に埼玉県内でも、大手損害保険会社の担当者は非常にシビアな交渉を行ってきます。個人で「裁判基準で支払ってほしい」と訴えても、「それは弁護士が入った場合や裁判をした場合の基準ですので、本人交渉では認められません」と一蹴されてしまうのが現実です。
しかし、弁護士が入ると、変わる可能性があります。弁護士が介入するということは、最終的に裁判を起こされるリスクを意味するため、保険会社は「裁判をされるくらいなら、裁判基準に近い金額で示談しよう」という判断に傾くのです。これが、慰謝料を最高額に近づけるための最大の「交渉カード」となります。
交通事故の慰謝料に関するQ&A

Q1. 仕事が忙しくて通院回数が少ないのですが、慰謝料は減ってしまいますか?
回答:
残念ながら、自賠責基準においても弁護士基準においても、実通院日数が極端に少ない場合は慰謝料が減額調整される可能性が高いです。自賠責基準では前述の通り「通院日数の2倍」が計算の基礎となりますし、弁護士基準でも、あまりに通院が疎かだと「精神的苦痛が少ない」あるいは「軽症である」と評価されてしまいます。
仕事が忙しい場合でも、夜間や土日に診療を行っているクリニックを探したり、定期的に主治医の診察を受け、症状の経過をカルテに残し続けることが重要です。どうしても通院できない期間がある場合は、その理由(仕事の繁忙期など)を客観的に説明できるようにしておく必要があります。
Q2. 保険会社から「治療費の支払いを打ち切る」と言われました。どうすればいいですか?
回答:
これは交通事故実務で最も頻繁に起こるトラブルの一つです。保険会社は事故から3ヶ月や6ヶ月といった一定の区切りで、一方的に支払停止を宣告してくることがあります。
まずは、主治医に「まだ治療の継続が必要か」を確認してください。医師が必要と判断しているなら、保険会社に対して医学的な根拠をもって延長を交渉します。もし交渉が届かず打ち切られてしまった場合でも、健康保険に切り替えて自費で通院を継続し、最終的な示談交渉の際にその期間の治療費と慰謝料をまとめて請求するという手法があります。
Q3. 主婦(家事従事者)なのですが、休業損害や慰謝料はどうなりますか?
回答:
主婦の方も、立派な労働者として「休業損害」を請求できます。現実の収入がなくても、女性労働者の平均賃金(賃金センサス)を基準に、家事ができなかった期間分の補償を受けられます。
また、慰謝料についても有職者と一切差別されることはありません。専業主婦の方だけでなく、パートをしながら家事をこなしている「兼業主婦」の方も、実収入と平均賃金のいずれか高い方をベースに請求が可能です。保険会社は主婦の休業損害を低く提示してくる傾向があるため、ここでも弁護士基準による適正な算定が大きな効果を発揮します。
弁護士特約とは?弁護士費用がかからない?

「弁護士に頼みたいけれど、費用が心配」という方は、【弁護士費用特約】をご確認ください。
これは、ご自身が加入している自動車保険、火災保険、個人賠償責任保険等に付帯している特約です。 弁護士費用特約が付いている場合は、交通事故についての保険会社との交渉や損害賠償のために弁護士を依頼する費用が、加入している保険会社から支払われるものです。
- 費用負担なし: 通常300万円まで補償されます。多くのケースでは300万円の範囲内で、自己負担一切なしでおさまります。
- 等級への影響なし: 弁護士費用特約を使っても、保険の等級は下がらず、翌年の保険料が上がることもありません。
- 家族の保険も確認を: 被害者ご本人だけでなく、同居のご家族の加入している保険の特約が使える場合もあります。
まずは、ご自身やご家族の入られている保険証券を確認してみてください。
まとめ・ご相談

交通事故の慰謝料は、1日4,300円という数字に縛られる必要はありません。適切な計算基準と専門的な交渉戦略があれば、受け取れる賠償金は大幅に増額する可能性があります。
特に、骨折などの重傷を負われた方や、後遺症に苦しんでいる方にとって、示談金は今後の生活を支える大切な原資となります。保険会社の言いなりになってハンコを押してしまう前に、一度ご相談ください。
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、多数の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 交通事故においても専門チームを設けており、豊富な経験があります。保険会社の提示額に納得がいかない方、今後の生活に不安を感じている方は、まずは一度お気軽にご相談ください。
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グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。













