
本記事は、さいたま市大宮区にある、埼玉県内でトップクラスの弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の交通事故集中チームの弁護士が執筆しています。
交通事故で被害者が損をしないために、保険会社対応や賠償実務の重要ポイントを、現場の視点で解説します。
レンタカーを運転中、あるいは歩行中や自転車走行中にレンタカーに追突された場合など、レンタカーが絡む交通事故では、通常の自家用車同士の事故とは異なる不利益が生じる可能性があります。実務上、レンタカーの事故であっても被害者が受け取るべき損害賠償の権利は変わりませんが、手続きの複雑さを放置すると、本来受け取れるはずの賠償金が減額されてしまうリスクがあります。
レンタカー事故で誤解されやすい実務上のポイント

「レンタカー事故では、レンタカー会社の保険で自動的にすべて解決する」と誤解されがちですが、実務はそこまで単純ではありません。レンタカー会社が加入する保険で、対人・対物・車両・人身傷害が一定範囲カバーされること自体は多い一方で、免責金額が設定されていたり、補償限度額がある契約だったり、休車損害(NOC)が保険の対象外になっていたりして、被害者側に“説明されない負担”が残ることがあります。特に、被害者自身がレンタカー利用者である場合は、事故後にレンタカー会社からNOC等の支払いを求められ、これが示談交渉上の追加論点になります。
事故後の初動対応で不利益を回避するために

レンタカーが関与する事故が発生した際、以下の対応を怠ると、後の示談交渉や裁判で決定的に不利な状況を招く可能性があります。
- 警察への通報と事故証明書の確保
レンタカーの保険を適用するためには、警察の発行する交通事故証明書が不可欠です。軽微な接触であっても、その場で示談せず、必ず警察を呼んで実況見分を行わせることが、賠償請求のスタートラインとなります。
- レンタカー会社への即時連絡
貸渡約款に基づき、事故報告を怠ると保険が適用されないリスクがあります。被害者としてレンタカーを運転していた場合はもちろん、相手がレンタカーの場合も、相手の連絡先だけでなく、どこのレンタカー会社の車両かを確認しておく必要があります。
- 現場の証拠保存
レンタカーは早期に修理や廃車が進められることが多く、車両の損傷状況を確認できなくなるのが早いです。事故直後の車両の破損部位や現場の状況を写真に収めておくことは、過失割合の争いや衝撃の大きさを立証するために極めて重要です。
- 医師による精密検査の受診
「レンタカーを返却しなければならない」という焦りから通院を後回しにする方がいますが、事故から早めに病院へ行かないと、事故と怪我の因果関係を否定される口実を与えます。
- 保険会社の「特約」確認
ご自身が加入している自動車保険に「他車運転特約」や「弁護士費用特約」が付帯しているかを確認してください。レンタカー自体の保険よりも、ご自身の保険の特約の方が補償内容が手厚いケースが多くあります。
レンタカーの保険の注意点

相談者:「私が借りていた『レンタカー』を運転中に追突された場合はどうなりますか?」
弁護士 :「その場合は、レンタカー会社が加入している保険が適用されますが、注意点があります。レンタカー特有の『NOC(ノンオペレーションチャージ)』、つまり車を修理に出している間の休車損害金は、通常の保険ではカバーされず、ご自身で負担するよう求められることが一般的です。ただし、これも事故の被害者であれば、最終的に加害者側へ損害として請求できる可能性があります」
相談者:「レンタカーの保険が『無制限』ではない場合もあると聞きました。」
弁護士 :「はい。レンタカー会社の保険には対人・対物の限度額が設定されている場合があります。もし損害額がその限度額を超えてしまったら、ご自身が加入している自動車保険の『他車運転特約』などが使えないか、すぐに確認する必要があります。これを怠ると、被害者なのに手出しが発生するという最悪の事態になりかねません」
免責金額(自己負担額)の仕組み
レンタカー保険には、対物や車両に対して免責金額が設定されているケースが少なくありません。これは保険会社が補償する際に、一定額を自己負担として運転者が負う仕組みです。たとえば、修理費が30万円発生し、免責金額が5万円の場合は、保険で25万円まで補償され、5万円を運転者が負担することになります。
この免責金額を免除するためのオプションとして、レンタカー会社が提供する免責補償制度(CDW)があります。これに加入すると、免責金額の自己負担がなくなる仕組みが一般的です。
ノンオペレーションチャージ(NOC)とは
ノンオペレーションチャージ(NOC)は、事故でレンタカーを修理する間、営業に使えないことによる休車損害としてレンタカー会社が請求してくる費用で、レンタカー保険では補償されない整理が一般的です。金額は会社・約款により異なりますが、目安として2~5万円程度とされます。
なお、被害者としてレンタカーを利用していた事案では、レンタカー会社に支払ったNOCを加害者側へ損害として主張する場面もありますが、常に満額が当然に認められるわけではなく、契約内容や事故状況を踏まえて「必要性・相当性」を立てるのが実務上の勘所です。
加害者がレンタカーの場合
加害者の車がレンタカーだった場合、請求先は「運転者だけ」とは限りません。
事故を起こした運転者に対して損害賠償請求をするのが基本ですが、加害車両がレンタカーの場合、レンタカー会社が「運行供用者」として損害賠償責任を負い得るため、請求先の設計が変わります。実務上は、運転者側の任意保険会社との交渉で進むことも多いものの、保険の限度額や責任関係が争点化する局面では、レンタカー会社側の責任も視野に入れて交渉・訴訟戦略を組むべき場面があります。
損害賠償額を決定付ける3つの基準

レンタカー事故でも、相手方に過失がある場合は通常の交通事故と同じように、加害者に対して次のような損害を請求できます。
- 治療費・治療関連費
怪我の治療に要した実費は、原則として全額が損害として認められます。 - 通院交通費
通院にかかった公共交通機関の料金や、自家用車のガソリン代なども請求対象になります。 - 休業損害
治療のために仕事を休んだ場合の収入減少分です。 - 慰謝料・逸失利益
後遺障害が残った場合には、将来の収入減少分を含めた請求が可能になります。
そして、交通事故の賠償金には、大きく分けて3つの算定基準が存在します。どの基準が適用されるかによって、最終的に手元に残る金額には数百万円、時には数千万円の差が生じます。
- 自賠責基準: 法律で定められた最低限の補償。最も金額が低いです。
- 任意保険基準: 各保険会社が独自に設定している基準。自賠責よりは高いですが、次に述べる弁護士基準には遠く及びません。
- 弁護士基準(裁判基準): 過去の裁判例をもとに設定された基準。3つの基準の中で最も高額であり、法的に認められる正当な賠償額です。
休業損害の実務と算定根拠

レンタカー事故で負傷し、仕事を休まざるを得なくなった場合、休業損害を請求できます。保険会社は最低限の日額(自賠責基準の6,100円等)を提示してくることが多いですが、実態に合わせた請求が重要です。
- 給与所得者
事故前3ヶ月の収入をベースに日額を算出します。源泉徴収票だけでなく、賃金台帳や休業損害証明書に基づき、賞与の減少分や有給休暇の使用分も損害として認められる可能性があります。 - 主婦(家事従事者)
実収入がなくても、賃金センサスの女性労働者平均賃金を基礎として休業損害を請求できます。保険会社は主婦であることを理由に低額な提示をすることが多いですが、実務上は欠かせない労働として評価されます。 - 個人事業主
前年の確定申告書に基づき算定します。所得が低く申告されている場合でも、固定費(地代家賃や租税公課)の支出が継続している場合は、それらを加味した算定を主張します。
後遺障害等級認定が賠償額に与える影響

骨折や重度のむち打ちなど、治療を継続しても完治しない症状が残った場合、後遺障害等級の申請を行います。
(例)
- 14級9号(局部に神経症状を残すもの)
画像診断で明確な異常が証明できなくても、事故の形態や通院状況から医学的に説明が可能な場合に認定されます。裁判基準での慰謝料相場は約110万円です。 - 12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
MRIやCT画像で神経圧迫や骨折後の変形癒合が確認できる場合に認定されます。裁判基準での慰謝料相場は約290万円となります。
これらの等級認定を受けるには、主治医による「後遺障害診断書」の記載内容が極めて重要です。単に「痛みがある」だけでなく、神経学的検査の結果や画像所見との整合性が求められます。
後遺障害が残った場合、請求できるのは慰謝料だけではありません。全体像を把握しておきましょう。
- 治療関係費: 治療費、入院費、通院交通費、傷跡を隠すための化粧品代など(必要性が認められれば)。
- 休業損害: 治療のために仕事を休んだことによる減収。
- 入通院慰謝料: 入院や通院を強いられた精神的苦痛に対する補償。
- 後遺障害慰謝料: 前述の通り、等級に応じた精神的苦痛への補償。
- 逸失利益: 将来の減収補償。
- 計算式:
1年あたりの基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
- 計算式:
弁護士特約の活用

「弁護士に頼みたいけれど、費用が心配」という方は、【弁護士費用特約】をご確認ください。
これは、ご自身が加入している自動車保険、火災保険、個人賠償責任保険等に付帯している特約です。 弁護士費用特約が付いている場合は、交通事故についての保険会社との交渉や損害賠償のために弁護士を依頼する費用が、加入している保険会社から支払われるものです。
ご自身やご家族の保険に「弁護士費用特約」が付帯している場合、原則として300万円までの弁護士費用が保険会社から支払われます。レンタカーでの事故であっても、多くの場合この特約は利用可能です。
- 自己負担なしでの依頼
相談料や着手金、報酬金を特約でカバーできるため、原則として手出しなしで弁護士による交渉が受けられます。 - 等級への影響なし
弁護士特約を使用しても、保険のノーカウント事故扱いとなり、翌年の等級が下がることはありません。 - 家族の保険も対象
同居の親族や、別居の未婚の子が加入している保険の特約が使える場合もあります。
交通事故実務における弁護士の役割

交通事故の被害者は、事故直後の混乱の中で保険会社との交渉という重圧にさらされます。保険会社は賠償のプロであり、組織的な基準を持って交渉に臨んできます。これに対し、個人で対抗することは困難です。
弁護士は、医学的知見に基づいた後遺障害等級認定のサポート、過失割合の適正な修正、そして「裁判基準」による法的根拠に基づいた賠償額の増額交渉を行います。特に埼玉県内での事故実務においては、管轄裁判所の判断傾向や地域の交通事情に精通していることが、有利な解決を引き出す鍵となります。
まとめ・ご相談

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上にわたり、埼玉県内で多数の交通事故案件を取り扱ってきました。交通事故については専門チームを設け、保険会社との交渉や後遺障害の問題など、実務の最前線で対応しています。
保険会社の提示額に納得がいかない方、治療の打ち切りを打診されて不安を感じている方、今後の生活への影響が心配な方は、一度専門家に相談することで状況が整理できる場合があります。
当事務所では、交通事故の被害者ご本人やご家族からのご相談を受け付けています。電話やLINEでの無料相談も行っていますので、お気軽にお問い合わせください。

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。













