
※本記事は、さいたま市大宮区にある、埼玉県内でトップクラスの弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の交通事故集中チームの弁護士が執筆しています。
交通事故という突然の出来事により、お体への苦痛はもちろん、今後の生活や仕事、そして金銭面での不安を抱えていらっしゃることと拝察いたします。
さいたま市大宮区に拠点を置く弁護士法人グリーンリーフ法律事務所では、設立以来30年以上の実績を積み重ね、交通事故専門チームが数多くの事案を解決してまいりました 。交通事故の賠償問題は非常に奥が深く、専門的な知識があるかどうかで、最終的に受け取れる賠償額が数百万円、時には数千万円単位で変わることも珍しくありません 。
本コラムでは、交通事故の損害賠償の中でも、被害者が実際に支出した費用である「積極損害」を中心に論点を網羅的に解説します。
1. 積極損害とは何か:治療費から葬儀費までの算定基準

交通事故の損害賠償は、大きく分けて「財産的損害」と「精神的損害(慰謝料)」に分類されます 。財産的損害のうち、事故によって被害者側から現実に支出を余儀なくされた費用を「積極損害」と呼びます。
この積極損害の算定において、私たち弁護士が基準とするのは、通称「赤い本」と呼ばれる裁判基準です 。保険会社が提示してくる「自賠責基準」や独自の「任意保険基準」よりも高額に設定されており、法的に正当な賠償額を得るためにはこの基準での交渉が不可欠です 。
治療関係費の認められる範囲

交通事故による怪我の治療にかかった費用は、実費として認められますが、そこには「必要かつ相当」という条件がつきます 。ここが保険会社と最も揉めやすいポイントの一つです。
- 治療費・入院費: 医学的に見て必要かつ相当な実費が認められます。
必要性が、相当性がない時は、過剰診療、高額診療として否定されることがあります。すべての治療費が払われるわけではありません。 - 症状固定後の治療費: 症状固定(これ以上治療しても改善が見込めない状態)に達した後の費用は、原則として認められませんが、症状の内容・程度により必要と判断されれば認められる例もあります 。症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めなくなった状態を指し、その日をもって治療費の支払いは原則終了します 。
- 特別室使用料(個室料): 単に「静かに過ごしたい」といった希望だけでは認められず、医師の指示があった場合や、症状が重篤で集中治療が必要だった場合、あるいは満床で空室がなかった場合などの特別な事情がある場合に限り、相当な期間について認められます 。
- 整骨院・鍼灸・マッサージ: 医師が治療の一環として必要性を認め、症状に対して有効かつ相当であると判断されれば、相当額が認められることがあります 。独断でこれらの施術を受けると、後で保険会社から支払いを拒絶されるリスクがあるため、できれば主治医の許可を得るようにしてください 。
入院雑費と交通費

入院生活では日用品の購入や通信費など細かな出費が発生します。入院生活で必要となる日用品代などの雑費は、1日あたり1,500円を基準として計算します 。 また、通院にかかる交通費も重要な項目です 。
- 公共交通機関: 公共交通機関を利用した場合はその運賃。電車やバスなどの実費。
- 自家用車: 1kmあたり15円のガソリン代と、必要に応じた高速料金・駐車場代が認められます 。
- タクシー: 怪我の程度や交通の便からみて、タクシー利用が妥当であると認められる場合に限られます 。
近親者の付き添いや見舞いのための交通費は原則として認められませんが、近親者が遠方に居住し、医師から付き添いを求められた場合など、社会通念上相当な場合には別途認められることがあります。
付添看護費と将来の介護費

入院又は通院の付添看護費は、医師の指示があった場合又は症状の内容・程度、被害者の年齢等から付添看護の必要性が認められる場合は、被害者本人の損害として認められます。
- 入院付添: 近親者の場合、1日あたり6,500円が基準です。
- 通院付添: 症状や年齢(子供など)により必要性が認められれば、1日3,300円が基準となります。
※近親者の付添看護費は、原則として、付添人に生じた交通費、雑費、その他付添看護に必要な諸経費を含むものとして認める場合が多いです。
※有職者が休業して付き添った場合、原則として、休業による損害と近親者の付添看護費の高いほうを認めることになります。 - 将来の介護費: 重度の後遺障害が残り、将来にわたって介護が必要な場合、原則として、平均余命までの期間について認められます。職業付添人の場合は必要かつ相当な実費を、近親者付添の場合は、常時介護を要するときは1日につき8,000円を、随時介護を要するときは(入浴、食事、更衣、排泄、外出等の一部の行動について介護を要する状態であるときは)介護の必要性の程度・内容に応じて相当な額を、被害者本人の損害として認められます。
※将来の介護費の算定に当たっては、対象となる期間に対応して中間利息を控除します。
装具・器具購入費および家屋改造費

身体に障害が残った場合、日常生活を送るための環境整備費用も「必要かつ相当な範囲」で認められます 。車椅子、義手、義足、電動ベッド、歩行補助具、サポーターなどがこれに該当します 。これらは一生のうちに何度も買い替える必要があるため、耐用年数に基づいた将来の費用も認められますが、この場合も中間利息の控除が行われます 。
さらに、重度の障害により自宅での生活が困難な場合には、スロープの設置やトイレの改修といった家屋改造費、さらには自動車の改造費用、転居費用なども、症状に応じて必要性が認められれば請求対象となります。
■実例
○ 10年ごとに自由診療製作費の80パーセント、平均余命まで総額127万円余を認めた(東京地判平14.1.15 交民35.1.1)
○ 両足切断(2級)の被害者につき、義足交換費用を、足部の耐用年数は1.5年として余命分13回980万円、ソケット耐用年数は1年として20年間分609万円余、フォームカバーの耐用年数は0.5年として20年間分149万円余を認めた(京都地判平14.10.3 自保ジ1471・16)
○ 剥離骨折等のため左足の甲が6ミリメートル高くなり、右足と大きさも違ってしまったため特注の婦人靴が必要になった被害者(女・63歳)につき3年に一足の割合で木型(15万円)を作製し、特注婦人靴(既製品との差額2万円)を購入することになるとして、余命期間分の特注靴購入費86万円余を認めた(東京地判平15.1.22 自保ジ1511・21)
○ 左下腿部切断(5級5号)、左大腿醜状痕(12級相当)等(併合4級)の会社員(女・固定時34歳)につき、義足等がその外観を含めて実際上果たす機能から、義足等費用145万円余のうちの美観目的費用71万円余を認め、左大腿部の人工ボディにつき、労働能力喪失期間の67歳までではなく、平均余命まで、1.5年ごとに交換するとして総額1194万円余を認めた(名古屋地判平15.1.24 自保ジ1514・2)
○ 左足関節の用廃(8級10号)等の被害者(男・固定時44歳)につき、硬性装具(11万円余)を3年ごとに、杖(5,000円)を3年ごとに、平均余命まで買い換える費用として、計130万円余を認めた(東京地判平15.2.25 自保ジ1517・16)
○ 両眼失明(1級1号)の被害者(男・固定時24歳)につき、義眼費用につき2年ごとに交換、1回14万円として、平均余命までの中間利息を控除し313万円余を認めた(名古屋地判平15.7.9 自保ジ1530・2)
○ 右下腿切断(5級5号)の被害者(男・固定時51歳)につき、義足費用につき耐用年数を4年、1回52万円余として、平均余命までの中間利息を控除し348万円余を認めた(東京地判平15.9.30 自保ジ1535・22)
○ 左第1ないし第5中足骨骨折等の被害者(女・固定時72歳)につき、右足に比して左足が5ミリメートル短縮し、左足底部に疼痛があるため、靴に補高等の加工を施す必要があるとして、1.5年ごとに2万3,000円余、平均余命までの中間利息を控除し18万円余を認めた(東京地判平15.10.23 自保ジ1541・18)
○ 両耳難聴(9級7号)の被害者(男・固定時67歳)につき、補聴器(25万円)につき5年ごとに7回買い換える費用、及び電池代(年1万3,000円)を平均余命まで認めた(大阪地判平15.12.17 自保ジ1548・24)
葬儀関係費用

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。
不幸にも死亡事故となった場合、葬儀費用は原則として150万円を上限に認められます 。これには墓碑建立費や仏壇購入費なども含まれますが、実際に支出した額がこれより低い場合は、実費が基準となります 。
その他

- 事故証明書等の文書料、成年後見開始の審判手続費用等は、必要かつ相当なものについて認められます。なお、医師等への謝礼は、損害として認められていません。
- 弁護士費用
裁判では、認容額の10%程度を事故と相当因果関係のある損害として認めています。 - その他、事案に応じて、交通事故と相当因果関係のある損害については認められます。
- (実例)
- 海外からの帰国費用
- 渡航費用
- 旅行のキャンセル費用
- 修学資金返還
- ペットの飼育費用
- 親族の治療費(PTSD)
- 刑事捜査、刑事裁判に関する費用
- (実例)
弁護士特約とは?弁護士費用がかからない?

「弁護士に頼みたいけれど、費用が心配」という方は、【弁護士費用特約】をご確認ください。
これは、ご自身が加入している自動車保険、火災保険、個人賠償責任保険等に付帯している特約です。 弁護士費用特約が付いている場合は、交通事故についての保険会社との交渉や損害賠償のために弁護士を依頼する費用が、加入している保険会社から支払われるものです。
- 費用負担なし: 通常300万円まで補償されます。多くのケースでは300万円の範囲内で、自己負担一切なしでおさまります。
- 等級への影響なし: 弁護士費用特約を使っても、保険の等級は下がらず、翌年の保険料が上がることもありません。
- 家族の保険も確認を: 被害者ご本人だけでなく、同居のご家族の加入している保険の特約が使える場合もあります。
まずは、ご自身やご家族の入られている保険証券を確認してみてください。
まとめ・ご相談

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、多数の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 交通事故においても専門チームを設けており、豊富な経験があります。保険会社の提示額に納得がいかない方、今後の生活に不安を感じている方は、まずは一度お気軽にご相談ください。 LINEでの無料相談も行っています。
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グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。













