
今回は、さいたま市大宮区で開設以来30年以上、様々な法律相談を取り扱ってきたグリーンリーフ法律事務所が、雪による労災事故についてコメントします。
雪による労災事故の可能性

関東平野は、冬は日照時間が多く乾燥する地域ですが、毎年1-2回、必ずと言っていいほど、道路や公共交通機関がマヒするような積雪に見舞われます。
また、群馬県北部や栃木県山間部は雪の多い地域でもあります。
冬季は雪・凍結に伴う労災事故が増える可能性があるため、雪による労災事故も実は看過することができません。
雪による労災事故の典型例

交通事故(スリップ)
雪や路面凍結は、自動車のスリップの原因にもなりえます。
運送業・配送業では、労災としての交通事故の可能性があります。
積雪地へ配送する皆様は、当然、冬用タイヤやチェーンをまかれると思いますが、お気を付けください。
転倒事故
やはり、雪や路面凍結は、通勤する歩行者の転倒の原因になりえます。首都圏での積雪時に、雪に不慣れな都心の通勤客の光景がニュース映像で流れることは、毎年の風物詩のようになっています。
また、駐車場・出入口・屋外作業での転倒などもあり得ます。
歩行者の皆様も、くれぐれもお気を付けください。
除雪機械の事故
雪国や、関東北部の豪雪地帯では、除雪機械による痛ましい事故が毎年のように報道されます。
巻き込まれ、はさまれなどは、重大な結果をもたらす災害につながりかねません。
特に雪国・豪雪地帯の除雪作業に従事される皆様、お気を付けください。
落雪事故
こちらも、雪国や、関東北部の豪雪地帯で、痛ましい落雪事故が毎年のように報道されます。
落雪は、窒息や凍傷の原因となり、重大な結果をもたらす災害につながりかねません。
特に雪国・豪雪地帯の除雪作業に従事される皆様や、建物・トラック荷台近くで作業される皆様、お気を付けください。
高所作業中の転落
やはり雪や凍結は、屋根・足場・トラック荷台での作業を不安定にします。
雪下ろし・荷役中に転落することもしばしばあり得ますので、くれぐれもお気を付けください。
労災認定の流れ

不幸にして労働災害により受傷してしまった場合、その事実だけでは、労災保険による各種給付を受けることはできません。
労災認定を受けるためにはは、
①従業員が労働災害の発生を会社に報告
②労災の給付請求書を労働基準監督署長に提出する
③労働基準監督署長の調査
④労災給付の判断
という手続が必要になります。
労災認定のポイントと弁護士の役割

労災として認められる範囲(通勤中のスリップ事故、除雪作業中の事故も対象)
通勤中の転倒やスリップによる交通事故、除雪作業中の転落などは、自分のミスだとして、労災が認められないとお考えではありませんか。
必ずしもそうとは言えません。
こうした事故であっても、要件を満たせば、労災として認められます。
まずは、弁護士にご相談ください。
降雪や積雪がある中での作業中の事故の場合は

降雪や積雪がある中での作業をするにあたっては、転落や滑落、転倒がしやすい環境で作業をさせる以上、会社側は、雪に対応した、より一層の安全配慮義務を負うことになります。
安全配慮義務とは?
安全配慮義務とは、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入つた当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものです。
労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務、と定義されています。
労働契約法でも、このことは規定されています。
| (労働者の安全への配慮) 第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 |
従って、安全配慮義務違反とは、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当事者が負うべき義務に違反することを言います。
労災認定された場合に受けられる給付

療養補償給付
これは、いわゆる治療関係費用です。
診察、薬剤や治療材料の支給、処置・手術その他の治療、居宅における看護、病院等への入院や看護などの療養に必要な費用が給付されます。
療養した医療機関が労災保険指定医療機関の場合には、「療養補償給付たる療養の給付請求書」をその医療機関に提出すると、請求書が、医療機関から労働基準監督署長に提出されますので、療養費を支払う必要はなくなります。
療養した医療機関が労災保険指定医療機関でない場合には、一旦療養費を立て替えて支払うことになります。医療機関への支払いの後「療養補償給付たる療養の費用請求書」を、労働者から労働基準監督署長に提出し、その費用が労働者に支払われることになります。
休業補償給付
これは、給与の代わりになるものとイメージできます。
労働災害により休業した場合には、第4日目から休業補償給付が支給されます。
「休業補償給付支給請求書」という書類を、労働基準監督署長に提出することで給付が受けられるようになります。
障害補償給付
残念ながら、労災によって後遺障害が残ってしまった場合には、認定された等級に応じて、一定額の年金または一時金が支給されます。
遺族補償給付
不幸にして、労災によって労働者が死亡してしまった場合には、遺族の方へ、遺族補償年金が支給されます。
葬祭給付
葬祭料が支給されます。
傷病補償年金
休業補償給付を受けていた方が、療養開始後一定期間経過しても治癒せず、一定の障害状態にある場合に支給される給付です。
ただし、労基署長の職権によることになっています。
労災給付のみでは損害をすべて填補出来ない場合にはどうすればよいか

上記のように労災給付は、労働者が仕事中に遭難した事故に対する一定の保障を提供しますが、必ずしも、その損害の全額が補填されるとは限りません。
また、事故が、企業や使用者の安全配慮義務違反によるものであった場合には、労災給付では補償されない損害が生じることがあります。
このように、企業や使用者に安全配慮義務違反が認められる場合、企業や使用者に対して民事訴訟を起こし、損害賠償を請求することが可能と考えられます。
雪による労災事故について、グリーンリーフ法律事務所ができること

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴
開設以来、数多くの労災を含む賠償に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、賠償に精通した弁護士が数多く在籍し、また、労災専門チームも設置しています。
このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・労災専門チームの弁護士は、労災や賠償に関する法律相談を日々研究しておりますので、労災事件に関して、自信を持って対応できます。
なお、費用が気になる方は、上記HPもご参照ください。
最後に

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。





