企業経営者の事業承継が問題となっています。

優良な中小企業が多いにもかかわらず、後継者難で倒産する企業も多数存在しており、事業承継は喫緊の問題です。

そして、中小企業の大半は株式を代表者が持っていますので、中小企業の事業承継は、跡継ぎ問題でもあり、相続の問題でもあります。

そこで今回は、さいたま市大宮区で30年以上の歴史を持ち、「相続専門チーム」を擁する弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が、会社経営者の跡継ぎ問題について解説を行います。

中小企業とは

中小企業基本法では、次のように定義されています。

業種分類中小企業基本法の定義
製造業その他資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
(中小企業庁HPから引用)

中小企業の事業承継がなぜ問題となるか

これも、中小企業庁に問題意識が分かりやすく記載されています。

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/b1_3_6.html

年を追うごとに経営者年齢のピーク(最も多い年代)が高年齢の方に移動している様子が見て取れます。

ただし、2023年には「55~59歳」をピークとして分散していると分析されていますので、経営者年齢の分布は平準化(若い経営者も増加している)と言えましょう。

しかし一方で、経営者年齢が70歳以上である企業の割合は2000年以降最高となっており、要するに、高齢の経営者の割合が増え続けており、こうした企業での後継者を速やかに検討しないと、事業継続ができない、ということになります。

従いまして、事業承継は喫緊の問題と言えます。

事業承継とは

事業承継とは

事業承継とは、端的に言えば、会社・事業の経営を引き継ぐことです。

特に、中小企業については、会社経営者が保有している株式や個人事業主の場合には会社経営権を引き継ぐことと言えるでしょう。

事業承継の方法 

事業承継には、概ね、

①親族内承継
②従業員承継
③第三者承継(いわゆるM&Aを含む)

の3種類があります。
①親族内承継の場合、生前に承継する場合と死後に承継する場合があります。

事業承継と相続の関り

生前に親族が事業を承継し、代表者が経営をスムーズに親族に移行していれば問題がありません。

他方、経営者/株主が事業承継の準備中や、準備をせずに他界してしまった場合には、相続に際して大きな問題になりかねません。

株式は、相続財産の一つを構成しますので、相続人が複数いる場合には遺産分割の対象となってしまいます。

そうしますと、事業を承継する予定の親族としては、当該株式を全株取得しようとするのが当然です。

しかし、事業の承継をしない親族としては、当該株式を高く引き取ってほしいのが通常ですので、株式を高く評価しようとします。

その結果、承継予定の親族が支払いを拒み、あるいは、支払ができない金額となってしまえば、株式を、承継を予定しない親族にも相続させなければならなくなります。

この場合に、承継を予定していなかった親族が事業に積極的に参加し、また、承継予定の親族に協力してくれればよいのですが、そうでない場合は、だれを代表者とするかなどで紛争が起きてしまうことがあります。

また、承継を予定していなかった親族が、経営能力や事業への理解がなかった場合には、事業が非常に不安定になってしまいます。

このように、経営者/株主が事業承継の準備中や、準備をせずに他界してしまった場合には、相続に際して大きな問題になってしまう可能性があるのです。

そこで、事業承継の準備を開始した際に、万一のことを考え、株式については遺言で引き継ぐ方を決めておくことが考えられます。

こうしておけば、少なくとも株式に関しては承継を予定している相続人(親族)が引き継ぐことができますので、事業経営が不安定になる可能性を下げることができます。

(ただし、遺留分が発生する場合には、株式の評価は問題になってしまいますが…)

遺言とは 

遺言とは

遺言とは、遺言者の最終の意思を表すもので、法的な意味での遺言としては、遺言者=被相続人が、自身の死後、自身の財産をどのように処分すべきかを記載した意思表示と言えます。

事業承継や相続、遺言とグリーンリーフ法律事務所

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの相続に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、相続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、相続専門チームも設置しています。

また、企業法務を数多く取り扱っていますので、事業承継の問題にも精通しています。

このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士は、相続案件や相続に関する法律相談を日々研究しておりますので、遺言の作成や遺言が関係する相続に関して、自信を持って対応できます。

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦

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