
夫と別居をしたところ、その後に夫の代理人から内容証明郵便が届いたというケースは珍しくありません。
突然、弁護士から内容証明郵便が届いたという場合、どのように対応すべきか分からず感情に任せて行動してしまい後悔するということもあり得ます。
今回は、そのような場合に避けるべき行動と離婚協議を有利に進めるための手順について解説をしていきます。
内容証明郵便とは?

夫から離婚事件について依頼を受けた弁護士は内容証明郵便を使ってこちらに書面を送付してくることがあります。
日常生活を送る中で内容証明郵便が届くというケースは多くないため、まずは見慣れない郵便が届いたということで困惑することになります。
内容証明郵便とは、いつ、どのような内容の文書を、誰が誰に差し出したということを郵便局が証明するサービスのことをいいます。
内容証明郵便を受け取る際にサイン等を求められることがありますが、これはいつこちらに郵便が届いたかの証明のためということになります。
内容証明郵便の効力については以上の限りであるため、離婚事件に関しては内容証明郵便の発送や受取により直接何らかの効力が生じるということはありません。
内容証明郵便の受取を拒否してもよいか?

不在等により内容証明郵便を受け取ることができなかった場合、郵便受けに不在票が投函されることになります。
内容証明郵便はその後7日間郵便局で保管されることになりますが、その間に受け取りをしなかった場合、内容証明郵便は差出人に返送されることになります。
そのため、夫の代理人が差し出した内容証明郵便を受け取らないという方法を取ることは物理的に可能ですが、その対応はお勧めしません。
内容証明郵便の受取を拒否した場合のデメリット

代理人がつく以前の離婚協議の進捗状況にもよりますが、基本的に代理人は内容証明郵便に記載した内容をこちらに確認をしてもらった上で離婚協議を進展させたいと考えています。
内容証明郵便の受取が拒否された場合、代理人はこちらに離婚協議の意思はないと判断した上で離婚協議の次の段階である離婚調停の申立てを準備することになります。
その場合、本来であれば離婚協議でまとまったであろう問題についても離婚調停の対応が必要となりますので、内容証明郵便の受取を拒否することには夫側の判断で手続が次の段階に進んでしまう可能性があるというデメリットがあります。
そのため、内容証明郵便については一旦受け取り、夫が代理人を通じて何を求めているかの確認をすべきです。
内容証明郵便に記載されている事柄

事案によりどこまでの内容を初回の内容証明郵便に盛り込むかは様々ですが、基本的には、以下のような記載内容が想定されます。
- 代理人が就任した旨及び代理人の連絡先
- 離婚の希望
- 離婚の条件
- 離婚成立までの婚姻費用の扱い
- 夫が自宅を出た場合には今後の自宅の扱い
- 調停申立ての有無及び将来的な予定
- 回答期限 など
なお、内容証明郵便を送ってきた弁護士が実在するか疑問であるという場合には記載の代理人名や事務所名についてインターネットで検索してみることをお勧めします。弁護士であれば基本的には事務所の情報などがヒットするはずです。
内容証明郵便についてどのように対応すべきか?

内容証明郵便に記載された内容についてすぐに回答ができるという性質のものであればその場で代理人事務所に連絡をして回答するという方法もあり得ますが、それはあまりお勧めしません。
回答の前提として、夫側が提示してきた離婚の条件等が自身にとって有利なものであるかどうかについて、一度、弁護士のアドバイスを受けるべきです。
離婚の条件等はシンプルなように見えて多くの法的争点を含むものであるためその検討には専門的な知見が必要となります。
また、交渉事に関してはよくあることですが、最初の提案は提案側に有利に作られていることが多いため、夫側としてはこれで応じてくれれば儲けものという条件を提示している可能性もあります。
そもそも今のタイミングで離婚をすべきかどうか、離婚までの婚姻費用や養育費の金額は双方の収入から適切に算定をされたものか、将来的な教育費の処理はどうなっているか、財産分与は双方の財産を網羅した上で検討されているか、年金分割に触れられているか等様々な観点からどのような回答をすべきかを検討することになります。
回答を行う前に弁護士に相談をすれば、上記の各点について自身に有利なアドバイスを受けることができますし、その流れで今後の対応を弁護士に依頼をすればストレスのかかる相手方とのやり取りを弁護士に任せることができ、離婚協議が日常生活に与える精神的負担を軽減できます。
夫側から送付された内容証明郵便について対応する場合には少なくとも回答前に弁護士に相談することが重要となり、相談時のアドバイスを踏まえ、自身で対応するか、弁護士に依頼をするかを選択することになります。
まとめ

今回は、弁護士から内容証明郵便が届いた場合の対応方法について解説をしてきました。
離婚協議にあたっては双方同じ力関係で臨むことが適切な解決につながりますので、夫が弁護士を味方につけている場合には丸腰で向かっていくのではなくこちらも弁護士の助力を受けるべきということになります。
その上で弁護士にどこまでの対応を依頼するかについては個々の事案により判断が異なりますので、自身のケースに関して相談以上の対応が必要であるかどうかもご相談いただければ幸いです。
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