下請法は、親事業者の下請業者に対する一定の行為を禁止しています。

親事業者が、下請事業者に対して支払期日を超えてもなお支払いをしないことは禁止されております。

これは合意を得ていたとしても下請法に違反することとなりますので、ここでは下請事業者に対する支払遅延について、その禁止の概要を解説いたします。

下請法が支払遅延の規定を設けた趣旨

下請法は、「下請代金をその支払い期日の経過後なお支払わないこと」を禁止しております。

これは、下請業者としては、支払期日までに納入して品物などの代金の支払いを受けなければ、資金繰りに苦しみ、最悪の場合、会社整理などに追い込まれる可能性があり、経営の安定を守る必要があるために規定されたものです。

下請法は、親事業者と下請事業者とのやりとりにおいて、下請事業者が不利益を被らないように配慮した法律ですから、支払遅延を禁止しています。

支払遅延とは

支払期日の定め

親事業者には、下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合には、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日)から起算して受領日を算入して60日以内で、かつ、できるだけ短い期間内に支払期日を定めなければならないとされています。

支払い遅延になる場合

支払い遅延となる場合は、支払い期日の定められ方によって以下のように場合分けされます。

①支払期日が受領日から60日以内に定められている場合、その定められた支払期日までに下請代金を支払わないとき

②支払期日が受領日から60日を超えて定められている場合、受領日から60日目までに下請代金を支払わないとき

③支払期日が定められていない場合、その給付の受領日に下請代金を支払わないとき

支払遅延の遅延利息

親事業者は、支払遅延となった場合、下請事業者に対して、受領日から起算して60日を経過した日から実際に支払いをするまでの期間について、その日数に応じて未払金額に年率14.6%を乗じた額の遅延利息を支払う必要があります。

支払遅延が下請事業者との合意による場合

親事業者と下請事業者との間で、支払遅延についての合意があったとしても、下請代金は受領日から起算して60日以内に定めた支払期日までに支払わなければ下請法違反となります。

確かに、下請事業者との真意に基づく合意があった場合には、下請事業者を保護するという下請法の趣旨が当てはまらないとも考えられます。

しかし、親事業者との間で、合意さえあれば支払遅延を許容するとなると、実際には合意が行われていないのに、合意を強要するなどのリスクがあり得ます。

そのため、支払遅延は合意があっても下請法に反することになっています。

支払期日の起算日

支払遅延になる場合については上記のとおりですが、支払期日の起算日となる受領日がいつかが問題となります。

支払期日の起算日となる受領日は、「給付の受領」があった日となります。これは、受領日を算入します。

製造委託又は修理委託における「給付の受領」とは、下請事業者の給付の目的物を、検査の有無にかかわらず、受け取り、自己の占有下に置くことを言います。

情報成果物作成委託における「給付の受領」とは、給付の目的物として作成された情報作成物を記録した媒体を受け取り、自己の占有下に置くことを言います。

このような情報成果物を記録した媒体がない場合には、その情報成果物を自己の支配下に置くことを言います。

役務提供委託の場合には、受領という概念がありませんから、支払期日の起算日は「下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日」になります。

やり直しをしてもらった場合の支払い期日の起算日

下請事業者の給付にミスがあるなど、下請事業者の責めに帰すべき理由があって、下請代金の支払前にやり直しをさせる場合には、やり直しをさせた後の物品等又は情報成果物を受領した日が支払期日の起算日となります。

返品が許容される場合に返品を行い、かつ再納品を求める場合も同様に、再納付の対象物品又は情報成果物を受領した日が支払期日の起算日となります。

まとめ

ここまで、親事業者が下請事業者に対して支払遅延をすることについて解説しました。

たとえ真意に基づく合意があったとしても、支払遅延をすることは認められませんので、注意が必要です。

企業経営において、下請法に違反しないかどうかを気にすることは極めて重要です。

しかしながら、下請法に違反しているがどうかを見極めるには、詳細かつ丁寧な専門的判断が必要となります。

正確な専門知識に基づいて判断を行わないと、企業の経営に大きな影響を及ぼすと恐れもありますので、注意が必要です。

下請法についてお悩みの場合、専門としている弁護士に相談することが重要となります。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 遠藤 吏恭

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