2024年4月からトラック運転手の労働時間規制が強化されることから、トラック運転手の不足、ひいては、物流の停滞が懸念されており、これを「2024年問題」と呼んでいます。

ところで、そもそも、これまで、長時間労働を前提とした運行スケジュールを許容していた運送側企業に問題はなかったのでしょうか。
また、発注側である立場から運送企業に対して安価な運賃を強いたり、荷物の積み下ろしを運転手に強いたりしていた荷主に問題はなかったのでしょうか。
そして、「送料無料」を運送企業に強い、税金で整備された道路を利用して物を配達することで莫大な利益を上げている小売り企業・特にネット通販企業に問題はなかったのでしょうか。
更に、「送料無料」を当然視し、配達されるモノの背後にいる運送従事者を考慮しない消費者に問題はなかったのでしょうか。

コンプライアンスを法令遵守と訳してしまえば、どの企業も消費者も、違法行為はしていないのでしょう。
しかし、「コンプライアンス」には、倫理を遵守することや社会的責任を果たすことも含まれているはずです。
すべての企業、そして消費者が、自身が遵守すべき倫理や社会的責任を自覚すれば、2024年問題は生じなかった、または、もっと早くに解決ができたのではないかと私は思います。
2024年問題は、真の意味でのコンプライアンスを果たす企業のみが生き残っていく契機となるのではないか、なってほしい、私はそう考えています。


■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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